
中途採用でコンサルタントへ転職!転職するのは難しい?転職難易度は?
コンサルタントは、企業や組織が抱える経営課題や業務上の問題を分析し、最適な解決策を提案・実行支援する専門職です。企業にとっては外部の視点を取り入れ、自社だけでは見つけにくい課題を浮き彫りにできる重要な存在です。
本記事では、コンサルタントの仕事内容から転職の難易度、未経験での挑戦可否、求人の探し方、年収事情、必要なスキル、そして転職成功のコツまでを網羅的に解説。キャリアチェンジを検討するあなたが、コンサルタントというフィールドで自分らしい働き方やキャリアを実現できるよう、企業サイトや公的機関の信頼できる情報をもとに丁寧にご紹介します。
「自分にコンサルタントが向いているか分からない」「コンサルティングファームはどこを選べばいい?」「年収を上げるにはどうすれば?」──そんな疑問をお持ちの方に、確かなヒントと実践的なアドバイスをお届けします。
はじめに|コンサルタントへの転職を考えている方へ
業界経験が重視されるが、未経験歓迎の求人も存在
一般的にコンサルタントは専門性が求められるため、業界経験が重視されがちです。しかし近年は人材不足や若手育成ニーズから、ポテンシャル採用や未経験歓迎の求人も増えています。特にITコンサルや業務改善コンサルなどは、異業界の経験が活かされやすいと言われています。
未経験の場合、「ポテンシャル採用」で挑戦できる20代〜30代前半が転職が成功しやすいという情報も誤りではありませんが、一方で大手のコンサルティングファームは新卒採用を積極的に行っており、若手は充足している傾向にあります。
このことから、社会人3年目から30代前半(30歳〜33歳)ぐらいまでが「コンサルティングファームが最も採用したいボリュームゾーン」と言われています。
ダイヤモンド・オンラインの記事によると、
“ 社会人としての経験は十分積んでおり、現職で実績や成果をあげて、一番脂がのっている時期でもあります。ファームとしては、この年代でコンサルタントとしてのポテンシャルが高い人を採用してしっかりと育成することができれば、40歳前後でパートナーになれる事例が多いことを、経験からわかっています。”
(出典元:ダイヤモンド・オンライン 【マッキンゼー、ボスコン】大手コンサルに最も転職しやすい年齢とは? 30代後半でもチャンスが増えた理由 https://diamond.jp/articles/-/339959(2024年6月)
という中途採用に対し、中長期的な育成の考えがコンサルティングファームにあることが伺えます。
年収・キャリアアップを目的とした転職先として人気
コンサルタントは年収が高水準で、キャリアアップのスピードも早いことから、20代・30代を中心に人気の高い転職先です。特に外資系ファームでは成果主義が徹底しており、実力次第で年収1,000万円超を目指すことも可能です。
また、プロフェッショナルなビジネスパーソンとしての道を歩める可能性を大いに秘めた職種です。基礎的なスキルから多岐にわたる業務範囲の応用スキルを否応なしでリスキリングし、身につけることが要求されるので成長という観点においても着実に養われていくことが魅力として挙げられます。
OpenWorkのクチコミによるコンサルティングファームの入社理由
- 短期間で圧倒的に成長したかった
- 給料水準が高い
- 周囲の社員が優秀であるから
- 先端技術・最新テーマ、経営戦略などに関われるため
- マネジメントスキルや業務推進の経験を得られると思ったため
コンサルタントの仕事内容とは?
顧客(企業)の課題をヒアリングし、解決策を提案
コンサルタントは、クライアント企業の課題をヒアリングし、課題の本質を見極めたうえで最適な解決策を提案します。提案後も実行支援に関わることが多く、プロジェクトが成果を生むまで伴走するのが特徴です。
業界分析、競合調査、資料作成、会議ファシリテーションなどを担当
具体的な業務としては、業界動向の分析、競合他社のリサーチ、クライアント向けの報告資料や提案書の作成などがあります。また会議のファシリテーションを担い、関係者の意見を整理しながら意思決定を促す役割も重要です。
戦略、業務改革、人事、IT、財務など多岐に分かれる
コンサルタントと一口に言っても、担当する領域は多岐にわたります。
戦略コンサルは企業の経営戦略を立案し、業務改革コンサルは業務プロセスの効率化を支援します。
人事コンサルは人材制度の設計を、ITコンサルはITシステムの導入や活用を、財務コンサルは資金調達やM&Aを担当します。
クライアント企業との密な連携が求められる
コンサルタントは外部の専門家でありながら、クライアントの一員のように密に連携してプロジェクトを進めます。信頼関係を築くためには、日々のコミュニケーション力や調整力が欠かせません。
コンサルタントへの転職は難しい?実際の転職難易度
戦略系や外資系ファームは高難易度
戦略系ファーム(例:マッキンゼー、BCG、ベイン)や外資系ファームは、高度な問題解決力やビジネス感覚、英語力を求められるため、転職難易度が非常に高いとされています。選考では複数回のケース面接や英語によるインタビューが行われることもあります。
※ご参考 マッキンゼー・アンド・カンパニー Webサイトより
「Personal impact(個人としての影響力)、Entrepreneurial drive(起業家精神)、Inclusive Leadership(包摂的なリーダーシップ)、Problem Solving(問題解決力)、Courageous Change(勇気ある変革)、そして Values & Purpose(価値観と目的意識)を重視しており、これらのスキルは様々な方法で身につけられると考えています。」
出典元:マッキンゼー・アンド・カンパニー採用情報 https://www.mckinsey.com/jp/careers/interviewing(2025年7月)
業務・IT系は経験を活かしやすく、比較的転職しやすい
一方で、業務改善系やITコンサル系のファームでは、前職での業務知識やシステム経験が評価され、比較的転職のハードルが下がります。特に製造業や人事、経理業務に関する経験は活かされやすい領域です。
IT・業務系のコンサルティングファームの中途社員のバッググラウンドとしては、SIer出身者(プログラマー、システムエンジニア、プロジェクトマネージャー)、ソフトウェアベンダー出身者、ネット系企業やSaaS系企業のエンジニア、事業会社のIT/DX業務経験者、何かしらのプロジェクトマネジメント経験者、IT営業経験者などIT系の経験者が多数在籍しています。
コンサル未経験者向けポジションも増加傾向
近年は若手人材不足や多様なバックグラウンドを求める動きが広がり、ポテンシャル採用を行う企業が増えています。特に20~30代前半を対象とした未経験OKの求人は、コンサル業界への入り口としてチャンスです。
未経験OKのコンサルタント(BIG4)求人例
ポジション | コンサルタント |
業務内容 | パブリックサービス(PS)は、チームの多様なプロフェッショナルがその豊富な経験と独創的な発想力を生かし、パブリックサービスおよびサービスインフラが抱える課題の解決を支援しています。 |
募集条件 | ・大卒以上
・社会人経験3年以上 以下いずれかに該当する方 ・コンサル、シンクタンク出身者 ・官公庁・公的機関、地方自治体、大学・研究機関出身者 ・観光・レジャー、物流・輸送、人材サービス業界出身者 |
出典元:コンサル転職支援実績No.1の転職エージェント「ムービン」 戦略コンサルタント・経営コンサルタント 求人情報 https://www.movin.co.jp/kyujin/kyujin.php?page=C(2025年7月)
面接やケーススタディで論理的思考力が厳しく問われる
いずれのファームでも、選考において論理的思考力は必須です。ケース面接(例:市場規模の推定、業績改善案の提示)を通じて、考えるプロセスや構造化能力が厳しく評価されます。
相手方の前提知識と考え方を正しく把握し、相手方がスムーズに理解できるように伝える力、これがコンサルタントに求められる論理的思考力です。(一部、ファシリテーションスキルとも重複しますがご容赦ください。) 論理的思考能力ではコンサルタントの思考法でもあるMECEやゼロベース思考や3C分析ロジックツリーなどのツールを使いながら全体を俯瞰し物事を整理しながら進めていきます。 |
出典元:コンサル転職支援実績No.1の転職エージェント「ムービン」 コンサルタント求められる人材像 – ベーススキル・コンサルスキル・資格 ・ポジション別 https://www.movin.co.jp/consul/spec.htmlより引用。(2025年7月)
未経験からコンサルタントに転職するのは可能?
ポテンシャル採用や若手採用枠が存在
多くのファームでは第二新卒や20代前半を対象にしたポテンシャル採用を設けています。この枠では、職種経験よりも思考力・成長意欲・素直さといった姿勢が重視されます。
業務改善、営業企画、人事などの経験が評価されやすい
コンサルティング経験がなくても、業務プロセスの改善提案や部門横断の調整経験、営業戦略の立案などは高く評価されます。これらの経験を『課題解決力』として言語化できるかが鍵です。
面接対策やケース面接の準備が成功の鍵
ケース面接対策には『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』(東洋経済新報社)などの書籍が定番です。
また、実際のコンサルタントに模擬面接を依頼する方法も有効です。
転職エージェントを活用して未経験歓迎の求人にアプローチ
レイスキャリア、アクシスコンサルティング、ムービンといったコンサル業界特化の転職エージェントを活用することで、未経験者向けの非公開求人にアクセスできます。
コンサルタントに求められるスキル・経験とは
「コンサルタント」と一括りに言っても戦略系、業務・IT系、ブティック系などコンサルティングファームによって細かく要求されるスキル・経験は異なります。
しかし、共通して必要なのは、論理的思考力、クライアントと良好な関係を築くコミュニケーション力、説得力のある資料を作成するドキュメンテーション力、そして誠実さと高い倫理観です。コンサルタントはクライアントにとって信頼できるパートナーでなければなりません。また、タイトなスケジュールや高いプレッシャーの中でも成果を出し続けるためのスタミナも不可欠です。
ここでは、コンサルタントに要求されるスキル・経験の中で特に必須となる6つを表にまとめています。
- 主なスキル一覧とその解説
スキル | 説明 |
ロジカルシンキング(論理的思考力) | 物事を体系的に整理し、筋道を立てて矛盾なく考える思考法。コンサルの基礎スキル。 |
コミュニケーション能力 | 相手の意図を理解し、意見を調整しながら伝える力。 |
問題解決能力 | 問題や課題を認識し、その原因を分析して、解決策を考え、実行し、結果を評価する能力 |
調査・分析能力 | 情報やデータを収集・整理し、そこから意味のある結論や洞察を導き出す能力 |
ヒアリング能力 | 相手の話を注意深く聞き、理解する能力 |
プレゼンテーション能力 | 情報を効果的に伝え、聞き手の理解と共感を得て、行動を促す能力 |
出典元:JACリクルートメント コンサルタントに必要な15のスキル・能力を徹底解説
https://www.jac-recruitment.jp/market/consulting/q-consultant-skill/(2025年7月)
コンサルタントの求人の探し方と選び方
転職活動では、コンサル業界に特化した転職エージェントを使うことで、企業文化や選考傾向などの非公開情報も得られます。
以下は代表的な転職エージェント:
・アクシスコンサルティング
・ムービン
・リクルートダイレクトスカウト
・JACリクルートメント
・sincereed
また、求人選びでは以下の点を比較することが大切です:
・ファームの種類(戦略系、IT系、人事系など)
・プロジェクト内容と働き方
・年収やキャリアパスの明確さ
コンサルタントの年収・給与相場
doda(2024年)によると、コンサルタント全体の平均年収は下記の通りです:
役職 | 年齢 | コンサル経験 | 固定給与 | 業績賞与 |
---|---|---|---|---|
アナリスト | 22~28歳 | 0~3年 | 500~800万円 | 固定給の20% |
コンサルタント | 25~35歳 | 0~6年 | 900~1300万円 | 固定給の20% |
マネージャー | 28~40歳 | 2~10年 | 1400~2000万円 | 固定給の30% |
プリンシパル | 32~45歳 | 5~15年 | 1700~2500万円 | 固定給の30% |
パートナー | 35歳以上 | 7年以上 | 2500万円以上 | 業績次第 |
出典元:コンサル転職支援実績No.1の転職エージェント「ムービン」コンサル年収ランキングファーム別・業界別で年収を徹底比較 https://www.movin.co.jp/gyoukai/salaryrank.html(2025年7月)
コンサルタントへの転職を成功させるために
コンサルタント職への転職を成功させるには、自己PRや志望動機の精度を高めること、想定質問に的確に答えられる準備をすること、そして信頼できる転職エージェントの活用で情報とサポートを最大限に受けることが重要です。
自己PR・志望動機で伝えるべきこと
戦略系・IT系・業務系問わず、コンサルタントの面接で最初に問われるのは「自分はどんなコンサルタントになりたいか」「その根拠はどこにあるか」です。
ハイクラス転職エージェントのkotoraよると、自己PRや志望動機は特定のコンサルファームを選んだ理由やコンサル業界への興味を具体的に説明する必要があります。たとえば、「御社のプロジェクトで具体的な成果を上げた事例に共感した」や「課題解決を通じ、多様な業界を支援したい」といった、自分自身の経験や価値観と照らし合わせた動機付けが必要とされています。
出典元:コンサル面接完全攻略!成功の秘訣と面接官が求めるポイントとは
https://www.kotora.jp/c/63147/ (2025年5月)
- なぜコンサルタントを志望するのか
これまでの経験の中で、課題を整理し、仮説を立て、周囲を巻き込んで解決に導いたエピソードを中心に語るのがポイントです。例えば、現職での業務改善提案や、部署横断でのプロジェクト推進などが有効です。
- どのように貢献できるか
志望先のコンサルティング領域(戦略/IT/業務改善/特化型)を理解し、自分のスキルや経験を「どのテーマで、どのように成果に繋げられるか」まで具体的に示すと、説得力が増します。
- 将来ビジョン
「3〜5年後にどのようなコンサルタントとして成長したいか」「どの領域で専門性を築きたいか」を伝えることで、熱意だけでなく、長期的なキャリア形成の意思を示すことができます。
面接でよく問われる質問とその意図
indeedの情報を整理すると、コンサルタント職の面接では以下のような質問が頻出する可能性が高いと言えます。
Q:コンサルタントはプロジェクトの対価をどう設定すべきだと思いますか?
企業が外部のコンサルタントに仕事を依頼する場合は、対価の設定について必ず話し合うことになります。特に個人のコンサルタントは、料金の相場への理解や価格交渉力を備えている必要があります。コンサルタントの仕事は企業にもたらす価値がすべてであることを、候補者が理解していることが分かる回答を探しましょう。候補者の回答から、次のようなスキルや適性を持っているか判断しましょう。
- コンサルタント業界について、また価格を決定する要因について候補者が理解している
- 業務経費を計算して管理でき、採算の取れるプロジェクトの価格を設定できる
- 交渉とコミュニケーションのスキル
Q:プロジェクトに取り組む際に、企業文化にどうやって適応していますか?
コンサルタントは一時的に依頼を受けることが多く、期間はわずか数週間の場合もあれば、数年に及ぶ場合もあります。コンサルタントには、企業文化を渡り歩いた経験と、柔軟な適応能力が必要です。個人のコンサルタントを雇用する場合でも、コンサルティング会社にチームメンバーを採用する場合でも、この質問から候補者のコミュニケーション能力や協調性を知ることができます。候補者の回答から、次のようなスキルや適性を持っているか判断しましょう。
- 新しい企業文化に適応する方法
- チームワークの価値に関する意見
- 信頼関係を構築する能力
出典元:indeed 6つの『コンサルタント』の採用面接 質問例 & 回答例 https://jp.indeed.com/求人広告/interview-questions/コンサルタント(2025年7月)
上記を参考に、面接の対策を行ってみてください。
転職エージェント・キャリア相談の活用
コンサルタント転職は競争が激しく、非公開求人やジョブ型採用など独自の選考フローが多いため、転職エージェントの活用は非常に有効です。
転職エージェントを活用するメリット例:
- 面接対策: 模擬ケース面接や、自己PRのフィードバックが受けられる
- 非公開求人: MBBやBig4などの未公開ポジション情報を得られる
- 職務経歴書・志望動機の添削: 客観的視点でブラッシュアップしてくれる
- キャリア相談: 戦略系/IT系/特化型など、自分に最適なポジションの整理ができる
コンサルタントへの転職を成功させるためのポイント
転職成功の鍵は、徹底した自己分析と志望動機の明確化にあります。また、ケース面接や適性検査対策を早めに始め、職務経歴書では成果と課題解決の流れを論理的に伝えることが重要です。
まとめ|コンサルタントへの転職は準備と戦略がカギ
コンサルタントは転職難易度が高い職種ですが、適切な準備と戦略で未経験からのチャレンジも十分可能です。
自分の強みや過去の経験を言語化し、企業理解を深めながら転職活動を進めていきましょう。
必要に応じて専門エージェントを活用することで、より精度の高いキャリア形成が目指せます。