
監査法人BIG4への転職ガイド|業務内容から年収、転職成功のコツまで徹底解説
監査法人への転職を検討している公認会計士や会計分野のプロフェッショナルにとって、BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)は大手の中でも特に注目される存在です。これらの監査法人は、財務諸表の監査業務をはじめ、クライアント企業へのアドバイザリー支援や税務・会計コンサルティングまで幅広いサービスを展開しています。そのため、年収水準やキャリアの成長機会が他の事務所と比べても魅力的であり、転職市場でも高い人気を誇ります。
本記事では、監査法人BIG4の業務内容、求められる人物像、転職の流れや成功のコツに加え、気になる年収・待遇やクライアントとの関わり方まで徹底解説します。
監査法人への転職を考える方が、自身のキャリアを次のステージへ進めるための指針となるはずです。
※本記事は2025年8月に掲載されました。
※記事中の情報は掲載時点でのWeb情報の公開情報を元に弊社が編集・掲載したものであり、企業の公式見解ではありません。
※組織の詳細や制度等は大きく変更になる可能性があります。ご転職を検討の際は、公式HP等で最新の情報をご確認ください。
監査法人BIG4の定義と業界内での位置付け
監査法人BIG4とは、世界的に展開する大手会計事務所ネットワークに所属する、日本の4大監査法人を指します。有限責任監査法人トーマツ(デロイト)、EY新日本有限責任監査法人(EY)、有限責任あずさ監査法人(KPMG)、PwCあらた有限責任監査法人(PwC)の4法人がこれに該当します。これらは公認会計士による監査業務を中心に、アドバイザリーや会計支援サービスなど幅広い業務を手がけており、業界の中で「大手監査法人」と位置づけられています。
厚生労働省の資料によると、日本における大手監査法人は「上場企業を多数監査している」「所属する公認会計士が1,000人を超える」などの規模的要件を満たしている法人が該当します(厚生労働省「会計士の就業実態調査」より)。これに該当するのが、上記のBIG4監査法人です。
BIG4監査法人は、監査業務を担う「会計の専門機関」であると同時に、クライアントの経営課題を解決するアドバイザリー機能を兼ね備えた大手法人です。厚生労働省が示す規模基準を満たし、さらに各社の公式情報にある通り、いずれも世界規模のネットワークを背景に活動している点が、他の監査法人との最大の違いです。
監査法人BIG4の主要4社(デロイト、EY、KPMG、PwC)
監査法人BIG4とは、世界的に業界をリードする大手監査法人で、日本においてはデロイト トーマツ(Deloitte)、EY新日本(EY)、KPMG、PwC Japan(PwC)の4社を指します。
これらは監査法人としての枠を超え、監査・アドバイザリー・税務などの幅広いサービスを提供する「会計プロフェッショナル集団」として位置付けられます。
- デロイト トーマツ:税務・コンサルも強み。日本法人では税務職の平均年収が最も高く986万円という報告もあります。
- PwC Japan:財務諸表監査をはじめ、内部統制やリスクアシュアランス、アドバイザリー業務をワンチームで提供。Fortune Global 500企業の98%をクライアントに持つなど、グローバルネットワークを活かした強みがあります。
- EY新日本:他のBig4と年収水準は大きな差はないが、残業代のウエイトが高く、残業時間によって手取り額が変動する傾向あり。
- KPMG LLP:社員口コミによると平均年収は約802万円で、同業界平均より高く、業界内で3位という結果です。
これら4社は、グローバル・ネットワークと大手クライアント基盤を活かして、監査、アドバイザリー、税務といったサービスを提供する点で共通しています。
BIG4が提供するサービス(監査業務、アドバイザリー業務、税務)
監査法人BIG4は、監査・保証(アシュアランス)を中核に、アドバイザリー(コンサルティング/ディール)、税務まで一気通貫で支援できるのが特徴です。各社の公式サイトやOpenWorkの会社紹介でも、監査に加えてリスクや取引(M&A)、テクノロジー、グローバル税務まで幅広い業務ラインを掲げています。転職を考える公認会計士や会計バックグラウンドの方は、どの領域でキャリアを築くかを意識して志望先を選ぶのがポイントです。
監査・保証(アシュアランス)
BIG4の基幹業務。財務諸表監査、内部統制(J-SOX)評価、IT監査、非財務情報の保証などが含まれます。
- PwC Japanは、財務諸表監査に加えて「ブローダーアシュアランス(BAS)」としてESG・データ保証など非監査領域の保証も提供。データ活用やリアルタイム監査などテクノロジー活用を前面に出しています。
- EY新日本は、監査・保証にFAAS(財務会計アドバイザリー)やForensics/Integrityを束ね、アナリティクス主導の高品質な監査を掲げています。
- KPMGあずさは、監査・保証に加えIFRS・会計アドバイザリー、IT関連なども提供。全国主要都市に体制を持ちます。
- トーマツ(Deloitte)は、「Quality first」を掲げ、監査・保証とリスクアドバイザリーを一体で提供。ガバナンスや内部統制の高度化を支援します。
【参照元】
・監査およびブローダーアシュアランスサービス(BAS) | PwC Japanグループ(2025年8月時点)
・アシュアランス | EY Japan(2025年8月時点)
・あずさ監査法人 – KPMGジャパン(2025年8月時点)
・有限責任監査法人トーマツ 法人案内 | デロイト トーマツ グループ(2025年8月時点)
アドバイザリー(コンサルティング/ディール)
監査知見を基盤に、M&A(デューデリジェンス、PMI)、内部監査・リスク管理、経営・デジタル変革などでクライアントの意思決定と実行を支援します。
- PwCは戦略から実行まで一貫支援するコンサルティング体制に加え、PwCアドバイザリーがM&Aや再生を担います。
- Deloitteはコンサルティング(戦略〜実行)、リスク・規制・フォレンジック、トランザクション(Strategy & Transactions)など多面的に展開。
- KPMGはリスクコンサル、ディールアドバイザリー、マネジメントコンサルで構成。制度対応からM&A・事業再生までをカバーします。
- EYはEYストラテジー・アンド・コンサルティングとして、経営コンサルや戦略的トランザクション支援を提供。さらにFAASが財務会計領域を横断支援します。
【参照元】
・コンサルティングサービス | PwC Japanグループ(2025年8月時点)
・デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 | デロイト トーマツ グループ(2025年8月時点)
・アドバイザリー – KPMGジャパン(2025年8月時点)
・コンサルティング | EY Japan(2025年8月時点)
税務
グローバル対応が求められる法人税、国際税務、移転価格、間接税(消費税・関税)、M&A税務、税務BPO/テクノロジーまでを各社の税理士法人が提供します。
- PwC税理士法人は、企業税務・国際税務・移転価格・M&A税務・事業承継・アウトソーシングなど幅広いメニューを明示。
- EY税理士法人は、申告・コンサルに加えて税務DXやグローバル人事・アウトソーシングまで対応。
- KPMG税理士法人は、国際税務、移転価格、関税・間接税、タックスマネジメント再構築(Tax Reimagined)などを網羅。
- デロイト トーマツ税理士法人も、国際税務・グローバルコンプライアンスや人事税務(Global Employer Services)等を掲げています。
【参照元】
・税務 | PwC Japanグループ(2025年8月時点)
・税務 | EY Japan(2025年8月時点)
・税務 – KPMGジャパン(2025年8月時点)
・Tax(税務) | デロイト トーマツ グループ(2025年8月時点)
比較表:BIG4各社の代表的な提供領域(抜粋)
サービス領域 | Deloitte(トーマツ) | EY(新日本ほか) | KPMG(あずさほか) | PwC(Japan) |
監査・保証 | 監査・保証、リスクアドバイザリー連携(ガバナンス・内部統制・IT) | 監査・保証、FAAS/Forensicsを含むアシュアランス | 監査・保証、IFRS/会計/IT含む保証・関連サービス | 監査・保証、BAS(非財務保証) |
アドバイザリー | コンサル(戦略〜実行)、リスク・規制・フォレンジック、トランザクション | 戦略・経営コンサル、トランザクション支援、FAAS | リスクコンサル、ディール、マネジメントコンサル | コンサル(Strategy through Execution)、ディールアドバイザリー |
税務 | 税務(国際・人事・コンプライアンス等) | 税務(法人・国際・M&A・人事・法務関連) | 税務(国際・移転価格・関税/間接税・機能再構築) | 税務(企業税務・国際・移転価格・M&A・事業承継・BPO等) |
出典:各社公式サービスページ/会社案内
・What we do | デロイト トーマツ グループ(2025年8月時点)
・サービス – KPMGジャパン(2025年8月時点)
・サービス | PwC Japanグループ(2025年8月時点)
・EYのサービス | EY Japan(2025年8月時点)
OpenWorkから見える“実務の幅”
OpenWorkの会社紹介でも、監査・保証に加えてアドバイザリー(IFRS・IT・成長支援等)や税務まで事業内容として明記されており、BIG4が大手として幅広い会計・監査・支援業務を担うことが反映されています。転職希望者は、所属部門により業務内容・働き方が異なる点も把握しておくと良いでしょう。
監査法人BIG4は「監査」で信頼を担保しつつ、「アドバイザリー」で経営課題を解き、「税務」でガバナンスと最適化を支える——この三位一体の業務モデルが、クライアントに対する総合的な会計支援の強みです。
世界的なネットワークとグローバル展開の強み
監査法人BIG4の大きな特徴は、世界規模のネットワークを通じて、グローバルに一貫した監査・アドバイザリー・税務サービスを提供できる点です。各法人の公式ホームページやOpenWorkの紹介文でも「世界150か国以上の拠点」「グローバル連携による一体的サービス」といったキーワードが強調されています。これは、国内だけでなく海外展開を進めるクライアントにとって、信頼性の高いパートナーとなる根拠になっています。
各社のグローバル展開
- デロイト トーマツグループ
Deloitteは150以上の国・地域にメンバーファームを展開し、約45万人規模の専門家が在籍。日本のトーマツはその一員として、グローバルに統一された監査基準やリスクアドバイザリーを提供しています。
- EY新日本有限責任監査法人
EYは150以上の国・地域に約39万人を超える人材を擁し、監査・コンサル・税務をグローバルに提供。日本でもクロスボーダー案件やIFRS導入支援で海外チームと連携する事例が多く見られます。
- KPMGジャパン(あずさ監査法人を含む)
KPMGは143か国以上にメンバーファームを展開し、約27万人のプロフェッショナルが在籍。日本ではあずさ監査法人が中核となり、国際監査や海外子会社の連結支援などで強みを発揮しています。
- PwC Japanグループ
PwCは152か国に約32万人を超える人材を配置。日本においてもクロスボーダーM&Aやグローバル税務など、多国籍企業の複雑な課題をワンストップで支援できる体制を整えています。
グローバルネットワークがもたらす価値
- 国際的な会計基準対応:IFRSや米国会計基準への対応を、各国の専門家と連携して実施可能。
- クロスボーダー案件の支援:海外進出、M&A、グローバル税務などの場面で、現地法人と連携した迅速なサービスを提供。
- 人材交流・海外勤務機会:BIG4では、海外出向やグローバルプロジェクトへの参画機会が広く用意されており、キャリア形成にも直結します。
OpenWorkに見る社員の声
OpenWorkに寄せられた社員口コミからも「海外案件やグローバルチームとの協働経験が得られる」「英語を活用したプロジェクトが多い」といった意見が多く確認されます。これは、BIG4で働く魅力の一つとして「グローバルな視野を養える」点を裏付けています。
BIG4のグローバルネットワークは、単に規模の大きさだけでなく、国際基準への対応力、クロスボーダー案件の実行力、人材育成の機会といった多面的な強みをもたらしています。転職希望者にとっても、このネットワークは将来のキャリアの幅を広げる大きな魅力となるでしょう。
監査法人の業務内容と役割
監査法人BIG4に転職を考える際に、まず理解しておきたいのが「どのような業務を担っているのか」という点です。監査法人は単に財務諸表のチェックを行うだけでなく、クライアント企業の信頼性を高め、経営の意思決定を支援する役割も担っています。特にBIG4は、監査業務に加えてアドバイザリーや税務など多岐にわたるサービスを展開しており、公認会計士としての専門性を活かす場が幅広く用意されています。ここでは、監査法人の基本的な業務内容と、その役割について整理していきましょう。
主に、監査法人BIG4では以下のような業務が行われます。
監査業務の基本的な流れ
上場企業の財務諸表に対する適正性の検証(財務諸表監査)から、内部統制の評価・報告までを担うのが基本です。PwCでは高品質な監査支援と、先端ツールの活用による監査業務を推進しています 。
クライアント業界別の監査ニーズ
金融、製造、ITといった業界ごとに特化したノウハウを持ち、業種別に対応する体制が整っています 。
BIG4のアドバイザリー業務とコンサルティングの役割
Accounting advisory(財務報告支援)、統制・ガバナンス・内部監査(GRC)、サステナビリティ開示、デジタルガバナンスや不正調査など幅広く提供しています 。
公認会計士としてのスキルセットと求められる能力
監査法人BIG4への転職を目指す際、単に「公認会計士の資格を持っている」だけでは不十分です。クライアント企業の多様な課題に対応し、質の高い監査・アドバイザリー支援を提供するためには、専門的な会計知識に加えて、ビジネススキルや対人スキルが求められます。以下は、厚生労働省による職業能力の可視化と、OpenWork上の社員クチコミをもとに整理した、監査法人における高度なスキル要件です。
主に求められるスキル・能力
- 読解力・説明力
監査対象の書類や財務情報を深く理解し、監査報告書として適切に意見を表明するには高い読解力と説明力が不可欠です。
- 論理的思考力と問題解決能力
財務諸表や内部統制に潜むリスクや矛盾を洗い出し、クライアントへの説得力ある提案へとつなげるためには、論理的に考え抜く力と、問題に対して柔軟かつ的確に対応する複雑な問題解決能力が求められます。
- 対人調整力と説得・交渉力
チーム内やクライアントと円滑にコミュニケーションを図り、合意形成を導くには対人調整、説得、交渉のスキルが大きな武器になります。 - 他者の反応理解・指導力:
現場では、後輩の教育やクライアントへの対応でもリーダーシップが求められます。他者の反応をつかみ指導できる能力が、チームの成功にもつながります。 - 業務への柔軟な対応力:
新しい会計基準や制度の変化に敏感に柔軟に対応し続けるため、新情報を応用する力や継続的観察と評価、学習方法の選択・実践が重要です。 - 自発的に課題を把握し解決策を提示する姿勢:
厚生労働省による経理職情報でも、「自発的に数字を読み取り、問題を把握して解決策や善後策を提示できる能力」が要件に挙げられています。BIG4のような監査法人でも、このような主体性の高い取り組みは評価されます。 - ビジネススキル・プロマネ意識:
OpenWork上では、PwC Japanの社員から「会計知識にあぐらをかかずに、システム理解やプロジェクトマネジメント、ロジカルシンキング、営業マインドも磨く必要がある」との声があります。これは、会計士として専門性だけでなく、案件推進やクライアントとの関係構築に必要な全体スキルの重要性を示しています。
監査法人BIG4の求められる人物像
監査法人BIG4への転職を目指すなら、求人票の条件だけでなく「どのような人物が評価され、活躍できるのか」を理解することが欠かせません。大手監査法人では、公認会計士としての会計・監査の専門知識はもちろん、クライアント対応力やチームで成果を出すための協働力、そしてグローバルに通用する柔軟性が強く求められます。
さらにOpenWorkの社員クチコミや各法人の採用ページを見ると、誠実さや主体性といった人間性の部分も重視されていることが分かります。ここでは、監査法人BIG4がどのような人物像を求めているのかを整理していきましょう。
KPMGあずさ監査法人/KPMGジャパン(コンサルティング含む)
口コミにある通り、KPMGでは「誠実であることを何より重視」しつつ、クライアントとの長期的な信頼関係構築や“KCファンをつくる”文化を重視しています。以下のような人物像が求められています。
- 高い倫理観を持ち、誠実に業務に取り組める人
- クライアントと共に汗をかき、長期的信頼を築く姿勢を持つ人
- オーナーシップを持ち、チームで協働できるプロフェッショナル(例:「オーナーシップ」「リスペクト」「コラボレーション」が評価軸であることが示されています)
PwCあらた有限責任監査法人/PwC Japanグループ
PwCは“インクルーシブなカルチャー”を掲げ、多様な価値観を尊重する環境づくりを重視しています。以下のような人物が適しています。
-
- 多様な価値観を受け入れ、協調できる人
- 専門性をテクノロジーでさらに強化する意欲がある人
- 違いを尊重し、自分らしく居場所を感じられる協働文化を大切にできる人
EY新日本有限責任監査法人
EY新日本は「一人ひとりが成長し続けるプロフェッショナルであること」を掲げ、基準改正や社会の変化に対応する姿勢を重視しています。以下のような人物が適しています。
- 自律的にチャレンジできる人材
「毎年変わらない業務の中で、自分の中でテーマを定めて新しいことに取り組める人」
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(監査法人グループ関連)
デロイトは「成長意欲のある人材に大きな裁量を与える文化」を特徴とし、挑戦を歓迎する環境です。以下のような人物が適しています。
- 高い専門性と自信がある人材
「リードパートナーのもとで、社外からも認められるトップとして自信をもってクライアント支援ができる人」
監査法人BIG4に共通する求められる経験、スキル
- 学歴・資格:公認会計士は必須。税理士や関連資格があるとアドバイザリーや税務業務で評価されやすい。
- 語学・コミュニケーション力:グローバル案件への対応にはビジネス英語が不可欠。チームとの連携、クライアント折衝能力も重視されます。
- チームワーク・リーダーシップ:案件はチームで進行。協働力、自立性、課題解決の推進力が重要です。
- 柔軟性:複雑なクライアントニーズは多様。常に変化に対応できる柔軟な思考と問題解決力が求められます。
【参照元】
・EY新日本有限責任監査法人 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
・デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
・有限責任あずさ監査法人 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
・PwCコンサルティング合同会社 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
監査法人BIG4への転職の流れ
監査法人BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)への転職は、通常の企業転職と比べて専門性や適性が強く問われるプロセスです。応募から内定までの流れは基本的に共通していますが、法人ごとに求められる人物像や選考の視点には違いがあります。ここでは、公式採用サイトやOpenWorkに記載されている社員体験談をもとに、転職活動の各ステップと成功のポイントを整理します。
転職活動のステップ(応募書類の提出から面接まで)
BIG4各法人では、公式キャリアページからの応募が基本です。
- 応募書類の提出:履歴書・職務経歴書をオンラインで提出。公認会計士資格の有無や監査経験、英語力などが初期段階で確認されます(出典:EY Japan How we hire、PwC Japan Careers)。
- 書類選考:経験や専門性の適合度を審査。OpenWorkの口コミによれば、「Big4はポジションごとに求められるスキルが明確であり、マッチすれば通過率は高い」とされています。
- 面接(複数回):人事担当者、現場マネージャー、パートナー層との複数面接を経て、専門知識やカルチャーフィットが確認されます。
転職エージェントの活用方法
監査法人BIG4は直接応募も可能ですが、多くの候補者が転職エージェント経由で情報収集・応募しています。
エージェントを活用するメリットは以下です:
- 非公開求人情報の入手:特にシニア層やアドバイザリー部門の求人は公開されないことも多い(出典:OpenWork口コミ)。
- 書類・面接対策の支援:監査法人で評価されやすい応募書類の書き方や、面接での回答準備をアドバイスしてもらえる。
- 条件交渉の代行:年収や待遇の調整を直接行うよりもスムーズ。
面接でよく聞かれる質問と求められる回答例
OpenWorkの面接体験談によると、BIG4の面接で多く聞かれる質問は以下の通りです。
- 「なぜBIG4に転職したいのか」
- 「これまでの監査・会計業務の経験をどう活かせるか」
- 「困難なクライアント対応をどう解決したか」
求められる回答のポイントは、具体的な事例を交えて論理的に説明することです。たとえば「上場企業の内部統制監査において短納期で資料提出を求められたが、チームでタスクを分担し、期限内に成果物を提出できた」という形で答えると評価につながります。
監査法人BIG4に求められる転職経験とスキル
各法人の公式ページには「求める人材像」が示されています。
- デロイトトーマツ:挑戦心と協働力を兼ね備えた人材
- EY新日本有限責任監査法人:誠実さ、インテグリティ、クライアントへの信頼構築力
- KPMGあずさ監査法人:プロフェッショナルとして誠実に行動し、チームで成果を上げられる人材
- PwCあらた有限責任監査法人:課題解決力とグローバルな視野を持つ人材
共通して求められるのは、会計・監査の専門性に加え、クライアントとの信頼関係を築くためのコミュニケーション能力と柔軟性です。
監査法人BIG4の年収と待遇
監査法人BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)に転職を考える方にとって、「年収の仕組み」「各種手当・休暇などの待遇」「他業界との比較」は必須のチェックポイントです。公式サイトとOpenWorkの情報をもとに、各テーマを簡潔に整理します。
監査法人BIG4の平均年収と職種別の年収差
表で比較してみます。
監査法人 | 職種別平均年収(例) | 特記事項 |
PwC Japan | 監査職:約788万円(440~2600万円)アドバイザリー:約832万円(500~1800万円)マネージャー:約1136万円(800~1600万円) | 幅広い職種・レベルでの待遇に柔軟性あり。 |
デロイト(税理士法人) | 税務職:約986万円(540~2000万円)コンサルタント:約773万円 | 税務専門職が高水準。 |
KPMG LLP | 平均:約802万円(550~1300万円) | 業界平均より高く、安定的。 |
EY新日本 | Big4間と大きな差なし。ただし残業代の割合が高いため、残業量次第で手取りに差が出る | ワークライフバランスに依存する。 |
加えて、Big4転職者からは「以前の会計事務所より年収300万円アップ」という声もあります。
年収の昇給システムと評価基準
BIG4各社の公式サイトでは詳細な評価制度は明示されていないものの、PwC Japanのキャリアページには「Your career is a journey of challenges and growth… you’ll be challenged and encouraged to grow by the work and by the people on your team」 とあり、評価に基づく成長の機会が制度化されていることが窺えます。
また、EYの紹介文にも「未来志向のスキルを育て、柔軟な環境で個別サポートを提供」するとあり、成長を前提とした評価文化を予感させます。
参照元:キャリア | PwCジャパングループ(2025年8月時点)
EYでのキャリア | EYジャパン(2025年8月時点)
ボーナス、福利厚生、株式オプションなどの待遇
各社の公式ページで確認できた福利厚生の一部を以下に示します:
- PwC Japanグループ(コンサルティング部門)では、年次有給(入社初年度最大20日)に加え、リフレッシュ休暇5日、柔軟な働き方制度(ハイブリッドワーク、フルリモート、コアなしフレックスなど)を整備。
- EY Japanでは、”Work lifestyle”や”Health & Insurance”、”Vacations / Leave absence”などの制度が公式で紹介されており、柔軟勤務、医療・保険、休暇制度などを包括的に整備していることが示されています(例:柔軟な働き方、25日間の年次休暇、病気休暇など)。
- EY新日本有限責任監査法人の新卒採用サイトには、法人契約によるスポーツクラブ、リゾート施設、カフェテリアプラン、リフレッシュ休暇(5日)、育児・介護休暇、ベビーシッター補助、社内マッサージなどがあるとの記述があります。
注)なお、株式オプションについては、各公式サイトに明示的な記載は見当たりません。
参照元:福利厚生(PwCコンサルティング合同会社 総合採用サイト) | PwC Japanグループ(2025年8月時点)
制度全般 |新日本有限責任監査法人 新卒採用サイト(2025年8月時点)
他業界との年収比較(一般企業、他の会計事務所など)
公式サイトおよびOpenWorkでは、具体的な年収比較の記載がないため、正確な数値による比較は控えざるを得ません。ただし、PwC Japanグループの採用ページでは「チャレンジと成長を促す報酬体系」が強調されており、競争力のある報酬を用意していることが示唆されています。
監査法人BIG4でのキャリアパスと成長機会
監査法人BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)に転職する大きな魅力のひとつは、明確に設計されたキャリアパスと豊富な成長機会です。入社直後から体系的な教育が用意されており、経験を積むごとに責任あるポジションへと昇進していく仕組みが整っています。また、グローバルファームならではの海外勤務や国際プロジェクトへの参加機会も多く、公認会計士としてスキルを磨き続けられる環境が用意されています。
初期の業務経験とスキル習得
BIG4に入社した初期のキャリアは、監査チームの一員としての実務経験から始まります。
EY新日本有限責任監査法人の採用サイトでは、若手のうちから「上場企業を含む多様なクライアントの会計監査に携わり、財務諸表の理解力や内部統制の評価スキルを磨ける」と明記されています(EY Japan Careers)。
また、PwC Japanグループも公式サイトで「配属後すぐにチームでのプロジェクトに参加し、先輩社員のOJTを通じて業務を習得する」としています(PwC Careers)。
これにより、短期間で会計・監査の実践スキルを獲得できる仕組みが整っています。
マネージャー、シニアマネージャー、パートナーへの昇進の道
BIG4各社はグローバルに共通する階層型のキャリアモデルを採用しています。
デロイト トーマツ グループのキャリア紹介では「スタッフからシニア、マネジャー、シニアマネジャー、パートナーと段階的に昇進していく」と説明されています(Deloitte Japan Careers)。
昇進は勤続年数だけでなく、クライアント対応力、リーダーシップ、専門領域での成果などを基準に決定されるのが特徴です。特にパートナーに昇格するためには、組織の収益や人材育成に貢献できるかどうかが評価の中心となります。
海外勤務やグローバルプロジェクトへの参加チャンス
BIG4の最大の特徴は、世界各国のネットワークを活かしたキャリア機会です。
KPMG Japanの公式サイトでは「グローバルに展開するネットワークを活用し、国際的な案件に携わるチャンスがある」と明記されています(KPMG Careers)。
また、PwC Japanも「海外赴任やクロスボーダープロジェクトへの参加機会が提供される」としており(PwC Careers)、国内だけでなく国際舞台での成長が期待できます。
継続的な教育プログラムと資格取得支援
BIG4は社員教育にも力を入れており、専門知識の継続的なアップデートを支援する仕組みが充実しています。
EY Japanでは「グローバル共通のラーニングプラットフォームを通じて最新の会計・監査知識を学べる」と記載されており(EY Careers)、公認会計士の継続教育や国際資格の取得支援も行われています。
新日本有限責任監査法人の採用ページでも「リフレッシュ休暇や資格取得支援制度」を整備していることが示されています。
このように、長期的に専門性を高められる環境が整っていることはBIG4で働く大きなメリットです。
参照元:各社公式サービスページ/キャリア
・キャリア | PwCジャパングループ(2025年8月時点)
・EYでのキャリア | EYジャパン(2025年8月時点)
・デロイト トーマツ グループ 採用情報(2025年8月時点)
・キャリアパス|KPMGコンサルティング 採用サイト(2025年8月時点)
監査法人BIG4の社風と働き方
監査法人BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)では、グローバル基準のプロフェッショナリズムとチームワークが重視される一方で、労働時間の長さや業務のプレッシャーといった特徴もあります。公式情報やOpenWorkの社員口コミをもとに、社風や働き方の実態を整理します。
ワークライフバランスと労働時間の実態
OpenWorkの社員口コミによると、BIG4では案件ごとの繁忙期に労働時間が長くなる傾向があります。特に決算期や監査報告の提出前は残業が増えるケースがある一方、公式サイトでは柔軟な勤務制度やハイブリッドワークの導入により、ワークライフバランスを意識した取り組みも進められています。
- PwC Japan Careersでは「柔軟な勤務制度を導入し、個々のライフステージに応じた働き方を支援」と明記(PwC Careers)。
- EY新日本も「フレックス勤務やリモートワークにより、社員が業務と生活を両立できる環境」を提供(EY Japan Careers)。
チームでの協働とクライアントとの関係構築
BIG4はチームベースの業務が基本であり、社員はクライアントと密に連携しながら業務を進めます。OpenWorkの口コミでも「チームで協力し、上司や先輩から学びながら課題を解決する文化」が多く報告されています。
公式サイトでも、Deloitte Japanは「多様なチームでの協働が成長の鍵」と明記しており、クライアントとの信頼関係を築くことが重要であることが示されています(Deloitte Careers)。
業務のプレッシャーとその対策(ストレス管理、メンタルヘルス)
BIG4では高い専門性とスピードが求められるため、業務上のプレッシャーは避けられません。OpenWorkでは「納期前は精神的に負荷がかかる」「上司やチームメンバーのサポートが重要」との声があります。
一方で、PwC JapanやEY Japanの公式サイトでは、メンタルヘルスサポートやカウンセリング制度、健康支援プログラムを提供しており、ストレスマネジメント体制が整備されています(PwC Careers, EY Careers)。
監査法人BIG4における社内文化とその特徴
BIG4各社の社内文化は、多様性・成長・協働を軸としています。
公式サイトやOpenWorkの情報から見える特徴は以下の通りです:
- 成長重視の文化:社員の能力開発や資格取得支援に注力(EY Careers)。
- チームワークの重視:上下関係よりもプロジェクト単位での協働が中心(Deloitte Careers)。
- 多様性と柔軟性:性別やライフステージに応じた働き方を尊重(PwC Careers)。
社員はグローバル基準のプロフェッショナルとして、チームで課題を解決しながらキャリアを積む環境が整っています。
【参照元】
・EY新日本有限責任監査法人 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
・デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
・有限責任あずさ監査法人 「社員クチコミ」 就職・転職の採用企業リサーチ OpenWork(2025年8月時点)
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監査法人BIG4の転職成功のコツ
監査法人BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)への転職は、専門性の高さやグローバル基準の文化を理解しておくことが重要です。単なる応募書類の提出だけではなく、業界理解・企業研究・面接準備まで一貫して行うことで、転職成功の可能性が高まります。OpenWorkや公式情報から得られる知見をもとに、具体的なコツを整理します。
監査法人BIG4に特化した転職活動のポイント
BIG4への転職は一般企業の採用とは異なり、会計・監査に関する専門性とクライアント対応力が重視されます。
- OpenWorkの口コミでは「応募者は公認会計士資格を持っていることが前提」「会計実務経験や内部統制評価の経験があると有利」との声があります。
- PwC Japan公式サイトの採用情報でも「経験豊富な専門人材を求める」と明記されており、専門スキルを中心にアピールすることが重要です(PwC Careers)。
企業研究と業界理解を深める方法
転職成功のためには、BIG4各社の企業理念、事業領域、クライアント層を理解することが不可欠です。
- EY Japanの公式サイトでは、監査・アドバイザリー・税務といった事業領域ごとの特徴が紹介されています(EY Careers)。
- OpenWorkでは社員のリアルな口コミから「社風やチーム構成、残業状況、評価基準」なども確認可能です。
これらの情報を整理することで、面接や応募書類での具体的なアピール材料を準備できます。
成功する履歴書と職務経歴書の作り方
BIG4向けの履歴書・職務経歴書では、専門性と成果の可視化がポイントです。
- OpenWorkの口コミによれば「監査経験やアドバイザリー案件での成果、担当クライアントの規模や業界」を明確に記載すると評価されやすいとのこと。
- PwCやEYの公式採用ページでも「具体的なプロジェクト経験を簡潔かつ論理的にまとめることが推奨」と明示されています。
資格取得年やリーダー経験も記載し、専門性と貢献度を両方アピールできる構成にすると良いでしょう。
面接対策:具体的な事例を交えた回答準備法
BIG4の面接では、実務経験に基づく具体的事例を交えた質問への回答が重視されます。
- OpenWorkでは「財務分析や内部統制評価で直面した課題、それにどう対応したか」を具体例で説明できる人材が高評価と報告されています。
- PwC Japan公式サイトでも「ケーススタディや実務経験に基づく質問に論理的かつ明確に回答する能力が求められる」と記載されています(PwC Careers)。
面接準備のポイントは、業務で直面した課題 → 対応策 → 結果の順で整理し、自身の役割と成果を明確に伝えることです。
まとめ
監査法人BIG4(デロイト、EY、KPMG、PwC)への転職は、専門性やクライアント対応力だけでなく、企業研究や面接準備、キャリアパスの理解も重要です。OpenWorkや各社公式情報からも分かる通り、BIG4は成長機会やグローバルな経験が豊富である反面、求められるスキルや経験も明確に設定されています。
初めてBIG4への転職を検討する方にとっては、情報量の多さや応募プロセスの複雑さに戸惑うことも少なくありません。そんなときに頼りになるのが、専門の転職エージェントです。
特に 「sincereed」 は、監査法人BIG4に特化した支援実績があり、応募書類のブラッシュアップから面接対策まで、個別にサポートしてくれます。自分の強みや経験を最大限にアピールできるよう丁寧にサポートしてくれるため、初めてのBIG4転職でも安心です。
転職を具体的に考え始めたら、まずは sincereed に相談して、自分に最適なキャリア戦略を一緒に整理してみるのが成功への第一歩です。