
キャリアコンサルタントの平均年収はいくら?【資格・年齢・働き方別に徹底解説】
キャリアコンサルタントは、国家資格として2016年に制度化されて以来、注目度が高まっている専門職です。働く人のキャリア形成を支援する重要な役割を担い、企業の人材育成や大学のキャリアセンター、ハローワークなど幅広い場面で活躍しています。近年では副業やフリーランスとして活動する人も増え、働き方の多様化が進んでいます。
しかし、これからキャリアコンサルタントを目指す人や、転職・独立を検討している人にとって最も気になるのは「年収はいくらなのか」という点でしょう。平均年収や働き方による収入の違い、口コミから見える実態、将来的なキャリアの展望などを知ることで、今後のキャリア戦略を立てやすくなります。
本記事では、最新の統計データや求人情報をもとに「キャリアコンサルタントの年収」について徹底解説します。資格の有無や働き方による年収差、ボーナス・月給の内訳、さらに口コミ・転職市場の実情まで幅広く紹介しますので、これからのキャリア設計にぜひお役立てください。
キャリアコンサルタントの平均年収はどれくらい?【2025年最新データ】
キャリアコンサルタントの年収は、勤務先や雇用形態、経験年数によって大きく異なります。厚生労働省の調査や求人票の公開情報、各種転職サイトのデータをもとに整理すると、全体的な年収水準は300万〜500万円程度に収まるケースが多いと報告されています。
特に企業内で正社員として勤務するキャリアコンサルタントは年収400万〜600万円程度が目安とされ、安定した給与や賞与を得られる傾向があります。一方、大学や公的機関での非常勤・契約社員の場合は200万〜400万円にとどまるケースが多く、フリーランスや独立の場合は実績や案件単価次第で年収100万円台から1000万円超まで幅があります。
国家資格キャリアコンサルタントと企業内キャリアコンサルタントの違い
- 国家資格キャリアコンサルタント
厚生労働省が定める国家資格で、ハローワークや大学、職業訓練校などで活動するケースが多く見られます。収入は200万〜400万円台が中心で、非常勤や契約職員としての勤務も多いため安定性に課題があります。 - 企業内キャリアコンサルタント
人事部門や教育研修部門に所属し、従業員のキャリア支援や人材育成を担う形です。一般的な企業の給与テーブルに準じるため、年収400万〜600万円前後と比較的安定しているのが特徴です。
他の士業との比較
他の国家資格系の士業と比べると、キャリアコンサルタントの年収はやや低めといえます。
- 社会保険労務士(社労士):平均年収500万〜700万円程度
- ファイナンシャルプランナー(FP):300万〜600万円程度(勤務先による差が大きい)
- キャリアコンサルタント:300万〜500万円程度
この比較から、キャリアコンサルタントは「働き方次第で収入が変動しやすい資格職」といえるでしょう。
参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) 労働政策研究報告書No.227 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2023年6月)
年齢別・働き方別のキャリアコンサルタント年収
キャリアコンサルタントの年収は、年齢や雇用形態によって大きく差があります。特に正社員として企業に所属している場合と、非常勤・契約社員、フリーランス・独立の場合では収入レンジが大きく変動します。ここでは、調査データや求人票の情報をもとに「年齢別」と「働き方別」の年収イメージを整理します。
年齢別の年収相場
キャリアコンサルタントは、経験を積むことで徐々に収入が上がります。ただし、士業のように資格そのものが高額報酬に直結するわけではなく、勤務先や担当領域による影響が大きいのが特徴です。
年齢層 | 年収レンジの目安 | 特徴 |
20代 | 250万〜350万円 | 初期キャリア。学校や公的機関での非常勤が中心。 |
30代 | 300万〜450万円 | 企業内勤務や契約社員として安定収入を得る人が増える。 |
40代 | 350万〜500万円 | キャリアの中核期。正社員や主任・係長級で活躍。 |
50代 | 400万〜600万円 | マネジメントや講師業を兼任することで高収入化。独立事例も多い。 |
※「労働政策研究・研修機構の調査報告書No.227(2023年)」や求人票の傾向をもとに整理
働き方別の収入比較
次に、雇用形態や働き方による収入の違いを見ていきましょう。
働き方 | 年収レンジの目安 | 特徴 |
正社員(企業内) | 400万〜600万円 | 安定した給与+賞与。人事部門や研修部門で勤務。 |
契約社員・非常勤 | 200万〜400万円 | 公的機関や大学で多い。短期契約で更新制。 |
フリーランス | 100万〜800万円 | 案件単価による。講師業や研修依頼で収入増も可能。 |
独立(法人化含む) | 300万〜1,000万円以上 | 企業研修やコンサル契約を拡大できれば高収入化。 |
副業(週数日〜夜間) | 50万〜150万円 | 本業と並行して収入源を増やすケースが多い。 |
正社員は比較的安定している一方で、契約社員や非常勤は「年収300万円前後」に集中する傾向があります。また、フリーランスや独立は実績や営業力によって収入の幅が非常に大きいのが特徴です。
参照:
独立行政法人 労働政策研究・研究機構(JILPT) 労働政策研究報告書No.227 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2023年6月)
厚生労働省 ハローワーク求人情報(2025年9月)
indeed キャリアアドバイザー求人一覧(2025年9月)
キャリアコンサルタントの口コミ・評判
キャリアコンサルタントは「キャリア支援の専門家」として注目される一方で、現場で働く人々の声からはポジティブな意見と課題の両面が見えてきます。口コミや評判を整理すると、キャリアコンサルタントとしてのやりがいや働き方に関する実感がよく分かります。
ポジティブな口コミ
- やりがいを感じる
「相談者の不安が軽くなったり、新しいキャリアの方向性を見つけられたときに、自分の仕事の価値を実感できる」 - 自己成長につながる
「相談対応を通じて、人の話を丁寧に聴くスキルや、ファシリテーション力が大きく向上した」 - 副業やフリーランスで柔軟に働ける
「本業とは別に副業でキャリアコンサルティングを行い、週末だけでも収入や経験を積むことができる」
ネガティブな口コミ・課題
- 収入面の不安定さ
「非常勤やフリーランスは収入が不安定で、キャリアコンサルタントだけで生活を成り立たせるのは難しい」 - 資格更新の負担
「更新講習に時間や費用がかかり、続けるためのコストが大きい」 - 社会的認知度の低さ
「国家資格であるにもかかわらず、キャリアコンサルタントの存在や役割を知らない人が多い」
評判の総合評価
キャリアコンサルタントは「人の役に立ちたい」「教育や支援に関心がある」といった人にとっては非常にやりがいの大きい仕事です。ただし、現状では収入の安定性や社会的認知度の低さが課題として多く挙げられており、資格取得後にどのようなキャリアパスを描くかが重要となります。
参照:
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) 労働政策研究報告書No.227 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2023年6月)
OpenWork ヴォイスキャリアコンサルティング株式会社 (2025年9月)
OpenWork パーソルキャリアコンサルティング株式会社(2025年9月)
OpenWork 株式会社リクルートキャリアコンサルティング(2025年9月)
OpenWork 株式会社ムービン・ストラテジック・キャリア(2025年9月)
キャリアコンサルタントへの転職・キャリア形成のポイント
キャリアコンサルタントとして活躍するには、資格取得だけでなく「どのようなキャリアパスを描くか」を意識することが大切です。特に転職を目指す場合や、独立を視野に入れる場合には、事前に準備しておきたいポイントがあります。
1. 資格取得と実務経験のバランス
キャリアコンサルタントは国家資格であり、受験資格には養成講習修了や実務経験が必要です。資格を取得しただけでは高収入につながりにくく、相談対応件数や実務経験を積むことがキャリア形成の土台になります。大学や公的機関での非常勤勤務からスタートし、実績を積んで企業内人事や研修講師へとキャリアを広げる人も多いです。
2. 専門分野の強みを持つ
キャリア支援は幅広い領域に及ぶため、「得意分野」や「専門性」を持つことが強みになります。
- IT・デジタル人材のキャリア支援
- 女性・若手層のキャリア形成支援
- シニア層やリスキリング支援
など、特化分野を打ち出すことで独立時の案件獲得にもつながりやすくなります。
3. ネットワークと情報発信
フリーランスや独立を目指すなら、人脈形成と情報発信が欠かせません。労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査でも、仕事の獲得経路は「既存顧客や知人の紹介」が最も多いと報告されています。SNSやセミナー登壇を通じて専門家としての存在感を高めることが、案件獲得につながります。
4. 転職活動のポイント
転職を考える場合は、求人票だけでなく口コミサイトの情報も参考にするのが有効です。
- OpenWork:社員の平均年収や勤務環境
- 転職会議:残業時間や評価制度の評判
- Indeed:実際の募集条件や給与幅
などを併用することで、実態に近い情報を把握できます。
参照:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) 労働政策研究報告書No.227 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2025年9月)
indeed キャリアアドバイザー求人一覧(2025年9月)
未経験からキャリアコンサルタントを目指すには?
キャリアコンサルタントは国家資格であり、相談者のキャリア形成を支援する専門職です。未経験からでも挑戦可能ですが、資格取得のステップや実務経験の積み方を押さえておくことが重要です。
1. 資格取得のルートを理解する
キャリアコンサルタント資格の受験には、次のようなルートがあります。
- 養成講習ルート:厚生労働大臣認定の養成講習(約140時間)を修了 → 国家試験受験
- 実務経験ルート:職業相談や人材育成の分野で3年以上の実務経験 → 国家試験受験
未経験の場合、多くは「養成講習ルート」を選び、講座受講後に試験に臨むのが一般的です。
2. 実務経験を積む場を選ぶ
資格取得後にすぐ独立するのは難しく、実務経験を積める環境に入ることがキャリア形成の第一歩です。
- 大学のキャリアセンター(非常勤)
- ハローワークや公的職業支援機関
- 人材会社や研修会社のアシスタント職
などで経験を積む人が多い傾向にあります。
3. 副業・ボランティアから始める方法も
すぐにフルタイム就業が難しい場合、副業やボランティア活動としてキャリア相談に関わることも有効です。JILPTの調査でも「兼業・副業で活動している」キャリアコンサルタントが約6割と報告されており、まずは副業から始めてスキルを磨き、将来的に本業化するパターンも増えています。
4. 学習とネットワークづくり
資格取得後も、継続的な学習やネットワーク形成が不可欠です。更新講習や勉強会、キャリアコンサルタント同士の交流を通じて、最新の知見や相談スキルをアップデートし続けることが、キャリア形成を支える基盤となります。
参照:厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ(2025年9月)
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) 労働政策研究報告書No.227 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(2025年9月)
キャリアコンサルタントの将来性
キャリアコンサルタントは2016年に国家資格化されて以降、登録者数が増加し続けています。特に働き方改革やリスキリングの流れを背景に、今後も需要が高まると予測されています。
1. 働き方改革・リスキリング需要の追い風
近年は「人生100年時代」や「学び直し(リカレント教育)」が国の政策として推進されており、労働者が自律的にキャリアを考える機会が増えています。厚生労働省のガイドラインでも、キャリアコンサルティングを定期的に受ける仕組みづくりが推奨されており、今後は企業・教育機関の現場で活躍の場がさらに広がる見込みです。
2. 企業内での活用拡大
これまでキャリアコンサルタントの活動は公的機関や教育機関が中心でしたが、近年は企業内人事部門や研修部門での導入が増加しています。JILPTの調査でも、活動領域が「需給調整機関(ハローワーク等)」から「企業」へシフトしている傾向が確認されています
これは人材育成や従業員エンゲージメントの重要性が増していることの表れと言えるでしょう。
3. デジタル人材・シニア層への支援
今後特に求められるのが、IT・デジタル分野に強いキャリアコンサルタントです。転職市場ではエンジニアやデータ人材の需要が高く、相談者のキャリア設計にも専門的な知見が求められます。また、定年延長やシニア層の就業継続に伴い、中高年層のキャリア支援ニーズも拡大しています。
4. 課題と可能性
一方で課題も残されています。
- 収入の安定性:特に非常勤・フリーランスは年収200万〜400万円台に集中している
- 社会的認知度:国家資格であるにも関わらず、一般的な知名度はまだ低い
- 更新制度の負担:更新講習の費用や時間的負担がネックになりやすい
こうした課題を解消しつつ、専門性を高めていけば、キャリアコンサルタントは今後さらに需要が拡大する有望な職業といえます。
参照:厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ(2025年9月)
厚生労働省 職場における学び・学び直し促進ガイドライン(2025年9月)
キャリアコンサルタントに向いている人の特徴
キャリアコンサルタントは、相談者の人生や働き方に深く関わる仕事です。単なるスキルや資格だけでなく、人柄や姿勢も成果に直結します。口コミや調査結果をもとに、キャリアコンサルタントに向いている人の特徴を整理します。
1. 傾聴力と共感力が高い人
キャリア相談では、相談者の不安や悩みを引き出すことが最初のステップです。
- 相手の話を最後まで遮らずに聴ける
- 言葉だけでなく表情や態度から気持ちを汲み取れる
こうした傾聴力と共感力がある人は、相談者から信頼を得やすく、長期的な支援につなげられます。
2. 人の成長を支援することに喜びを感じられる人
「相手の変化や成長を自分の喜びと感じられる」姿勢は、この仕事に欠かせません。特に教育や研修の現場では、相談者の成長を見守ることが大きなモチベーションになります。
3. 学び続けられる人
キャリアコンサルタントは資格更新が5年ごとに義務付けられており、講習受講やスキルアップが必要です。心理学・組織論・労働法制など関連分野の知識も幅広く求められるため、継続的に学び続けられる人が向いています。
4. ビジネス感覚を持てる人
特にフリーランスや独立を考える場合は、単に相談対応のスキルだけでなく、営業力・企画力・発信力が必要です。JILPT調査でも、独立コンサルタントの多くが「案件獲得の難しさ」を課題に挙げています
ビジネス感覚を持ち、収益モデルを考えられる人は独立後も安定して活動しやすいでしょう。
5. 多様なバックグラウンドを尊重できる人
相談者の属性は学生・社会人・シニア層・女性・外国人など幅広く、多様性を理解し尊重できる姿勢が重要です。固定観念にとらわれず柔軟に対応できる人ほど、幅広い層の相談に応えられるでしょう。
参照:厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ(2025年9月)
OpenWork パーソルキャリアコンサルティング株式会社(2025年9月)
まとめ:転職を考えている方へのメッセージ
キャリアコンサルタントは、相談者のキャリア形成を支援する専門職として注目が高まっています。
- 平均年収は300万〜500万円程度で、正社員か非常勤か、フリーランスかによって大きな差がある
- やりがいは大きい一方、収入の安定性や社会的認知度の課題も残されている
- 未経験からでも資格取得・副業・ボランティアを経て挑戦可能であり、専門性やネットワークを築くことがキャリア形成のカギ
- 今後の将来性は高く、リスキリングや企業内人事での活躍領域は拡大中
転職を検討している方にとって大切なのは、「資格取得後のキャリアパスをどう描くか」です。安定した収入を重視するなら企業内キャリアコンサルタント、副業や独立を目指すなら専門性や営業力を磨く必要があります。
キャリアコンサルタントは、人の人生に深く関わる責任ある仕事ですが、その分だけ得られるやりがいも大きい職業です。もし「人の成長を支えたい」「教育や人材育成に関わりたい」という思いがあるなら、一歩踏み出す価値は十分にあるでしょう。
転職活動は情報収集がカギです。JILPT調査や厚労省資料、OpenWorkなどの口コミ情報など自分で情報を集めつつ、プロの転職エージェントからの情報提供も受けながら進めていくと良いでしょう。そして実際の求人票や面接で待遇を確認することが成功への第一歩になります。
「後悔のない転職」を目指して、あなたのキャリアに合った選択をしてみてください。