
中途採用で外資系IT企業へ転職!転職するのは難しい?転職難易度は?
「もっと実力を評価してくれる環境で働きたい」「英語力やITスキルを活かしてキャリアアップしたい」——そんな思いから、外資系IT企業への転職を検討する人が増えています。
グローバルに展開する外資系IT企業は、成果主義による高年収、フラットでスピード感のある組織、英語を使った国際的な仕事環境など、日系企業とは異なる魅力を数多く持っているため、エンジニアや営業職をはじめとした多様なポジションで、特に20代後半〜30代のミドルキャリア層を中心に注目を集めています。
一方で、「外資は厳しそう」「英語ができないと無理?」といった不安や、「そもそも転職できるチャンスがあるのか?」という疑問を持つ人も少なくありません。
本記事では、外資系IT企業の仕事内容や年収相場、求められるスキル、未経験からの挑戦方法、転職成功のポイントまでを、転職希望者の目線で詳しく解説します。
「自分にチャンスはあるのか?」と迷っている方こそ、ぜひ最後までご覧ください。
外資系IT企業の仕事内容とは?
外資系IT企業では、職種ごとに専門性が明確に分かれており、日系企業に比べて役割分担が明確で、各ポジションが持つ責任範囲もはっきりしているのが特徴です。以下では代表的な職種について紹介します。
■ エンジニア職:開発・運用・インフラ・クラウド構築
プロダクト開発やアプリケーション運用、インフラ整備などを担当します。AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウド環境に精通した人材のニーズが高まっているのも特徴です。
また、SaaS企業ではAPI連携・拡張機能開発などのフロント/バックエンド開発も重要となります。
■ 営業職:BtoBソリューション営業・アカウント管理
主に法人顧客に対する提案型営業を行います。技術的な知識+業界理解+課題解決力が求められるハイレベルなポジションで、担当アカウントとの中長期的な関係構築が重要です。
成果に応じてインセンティブが支給されるため、年収の上振れが大きい職種でもあります。
■ 技術支援職:導入支援・サポート・カスタマーサクセス
クライアント企業への製品導入・運用支援を担います。プリセールスとして営業と同行するケースも多く、技術的な視点と顧客対応力の両方が求められます。
SaaS系企業ではカスタマーサクセス職(CSM)として、契約継続・活用促進・定着支援などを担う職種が主流です。
■ マネジメント職:PM・チームリーダー
プロジェクト管理やチーム運営を行うポジションです。プロダクト開発や顧客導入、グローバルチームとの連携など、高い管理能力と英語力が求められるケースが多いです。
特に外資では、チームの成果に対する責任が明確に定義されているため、リーダーシップと戦略思考が重視されます。
参照:Google 求人一覧
https://www.google.com/about/careers/applications/jobs/results?hl=ja_jp(2025年6月)
参照:日本マイクロソフト 求人一覧
参照:SAP 求人一覧
参照:セールスフォース・ジャパン 求人一覧
外資系IT企業への転職は難しい?実際の転職難易度
外資系IT企業への転職は、一般的に「中〜高難易度」とされています。求められるのは、単なるスキルではなく、即戦力として活躍できるかという視点での評価です。そのため、英語力やIT分野での専門知識に加え、過去の成果や論理的な自己アピール力が大きく影響します。
専門性は必須、英語力はほぼ必須
多くの外資系IT企業では、社内の共通言語が英語であることが珍しくなく、「ビジネスレベルの英語力」や、「英語による技術文書の読み書き」が求められることがほとんどです。一部、英語力が必須でない求人も存在はしますがその数は多くはないため、その分「応募率が高い=転職難易度も高い」と考えて良いでしょう。
また、クラウド(AWS、Azure)、セキュリティ、データ分析、ソフトウェア開発などのエンジニアはもちろん、営業やマーケティング職も含めたほぼ全ての職種で専門スキルは重視され、保有資格や業務経験が明確に問われます。
評価は「実績ベース」で行われる
日系企業のようなポテンシャル採用や「やる気重視」ではなく、外資系ではこれまでの実績・スキルセットをベースに評価される傾向が強いです。
たとえば「前年比120%の売上達成」「プロジェクトのリーダーとしてXXを推進」など、数値化された成果を語れるかどうかが大きな差となります。
企業によっては選考内で、コーディングテスト(エンジニア職)、ケーススタディの実施が行われることもあります。
過去にはGoogleが想像力を試す超難問を選考に組み込んでいたこともありますが、現在では「超難問を面接に取り入れても優秀な候補者の判定にはつながらないことがわかったため、出題していない」としています。
参照:Google 採用プロセス
https://www.google.com/about/careers/applications/how-we-hire/?hl=ja_jp(2025年6月)
未経験から外資系IT企業に転職するのは可能?
外資系IT企業への転職は、基本的には即戦力採用が中心のため、未経験からの挑戦はハードルが高めです。ただし、近年では一部企業で第二新卒やポテンシャル採用の枠も広がっており、英語力とITへの学習意欲・資格取得などを組み合わせることで、チャンスを掴むことは可能です。
第二新卒・ポテンシャル採用枠の存在
SAPなどの外資系大手では、第二新卒の採用も行っています。
この枠では、職務経験の少なさよりも将来の成長可能性や素地が重視される傾向があり、未経験者でも応募可能なケースがあります。
参照:SAP 新卒採用について
https://jobs.sap.com/content/graduates/?locale=ja_JP(2025年6月)
英語力やIT資格で可能性を広げる
実務経験が乏しくても、ビジネス英語力(TOEIC700点以上目安)や、IT系の資格(例:AWS Certified Cloud Practitioner、CCNA、CompTIAなど)を取得しておくことで、書類選考・面接の通過率は大きく向上します。
例えば、Googleのセールスアソシエイト求人では、セールスアソシエイトの経験がなくても「デジタル広告 / マーケティング、コンサルティング営業、デジタル メディア セールスのいずれかに携わった経験」と「英語と日本語による優れたコミュニケーション能力(社内外共に)」があれば応募ができます。
参照:Google セールスアソシエイト
外資系IT企業に求められるスキル・経験
外資系IT企業で求められるのは、単なる専門知識だけではありません。グローバルなビジネス環境に適応し、自律的に動ける人材が高く評価されます。ここでは、選考や実務で重視される主なスキル・経験を紹介します。
ビジネス英語力(TOEIC700点以上が目安)
社内コミュニケーションや資料作成、会議が英語で行われる企業が多く、TOEIC700点〜800点以上が一つの目安とされます。
特にエンジニア・営業・マネジメント職では、海外本社や他国のチームとの連携が日常的なため、読み書き+会話の実践力が必要不可欠です。
ITスキル(クラウド、開発、セキュリティ等)
特にエンジニア職では、クラウド環境(AWS、Azure、GCP)、ソフトウェア開発(Java、Python等)、サイバーセキュリティ、DevOpsなど、職種に応じた専門スキルが求められます。
外資系企業では、職種ごとに求められるスキルセットが明確に記載されており、資格取得や業務実績で証明できることが重要です。
自走力・論理的思考・プレゼンテーション力
外資系では、指示待ちではなく自ら課題を発見し、行動する「自走力」が特に重視されます。
また、プレゼンやレポートで成果を「ロジカルに説明できる能力」も不可欠です。面接では行動に裏付けられた思考力・発信力が重要視されると言えるでしょう。
グローバル環境への適応力とスピード感
国籍・文化・価値観の異なる人たちと協働する機会が多いため、多様性を理解し、柔軟に対応できるマインドセットが求められます。
さらに、意思決定やリリースサイクルが速いため、スピード感を持って業務に取り組む姿勢も重要です。
参照:Google 求人一覧
https://www.google.com/about/careers/applications/jobs/results?hl=ja_jp(2025年6月)
参照:日本マイクロソフト 求人一覧
参照:SAP 求人一覧
参照:セールスフォース・ジャパン 求人一覧
外資系IT企業の求人の探し方と選び方
外資系IT企業を目指す際には、情報の収集ルートと選考ルートを戦略的に使い分けることが大切です。求人は表に出にくいものも多く、公式ルート・SNS・エージェントを組み合わせて情報収集するのが効果的です。
外資系に強い転職エージェントを活用
まず有効なのが、外資系やグローバル企業に特化した転職エージェントの活用です。外資ITに精通した専任コンサルタントが在籍し、非公開求人や選考対策のアドバイスも提供しているエージェントを活用しましょう。
ただし、エージェントに頼りすぎず、自分でも情報の裏を取る姿勢が大切です。
LinkedInなどのSNS求人も有効
外資系IT企業は、LinkedInを始めとしたSNSを活用した採用活動も行っています。プロフィールを英語で整え、スキル・実績を明示することで、企業や採用担当者からスカウトを受けられる可能性が高まります。
職種・勤務地・条件で比較検討を
外資系IT企業の求人は、同じ職種でも「勤務地」「チーム規模」「対象顧客」「英語の使用頻度」などで環境が大きく異なります。
以下のポイントで求人ごとにしっかりと比較検討することが重要です。
・勤務地(東京・大阪・リモートなど)
・職務内容(開発/運用/営業/プリセールスなど)
・英語の使用頻度・海外チームとの連携の有無
・給与体系(年俸+RSU有無)や福利厚生
※RSU:譲渡制限付き株式ユニット。企業が社員に対して将来的に自社株を無償で付与する報酬制度です。GAFAをはじめとする外資系IT企業で広く導入されています。
・働き方(フルリモート可否・裁量労働制など)
外資系IT企業の年収・給与相場
外資系IT企業は、成果主義に基づく高い報酬体系を特徴としており、実力次第で年収が大きく伸びる可能性があります。特に営業職やマネジメント職では、ベース給与に加えて成果連動型のインセンティブやRSUが支給される企業も多く、年収レンジの幅が広いのが特徴です。(RSUは一定年数の勤務で段階的に株式を受け取れる制度で、企業の成長と連動して報酬額が増える仕組みです)
エンジニア職:年収500〜1,200万円前後
Google、Amazon Web Services(AWS)、Microsoftなどの外資系企業では、中途採用のエンジニア職で年収500万円〜スタートし、スキルや経験によって1,000万円以上も可能です。
クラウド、セキュリティ、データ分析といった専門領域での経験者は、より高い報酬レンジでオファーされる傾向があります。
営業職:年収600〜2,000万円(インセンティブ含む)
BtoB営業職では、基本給+インセンティブが一般的で、売上に応じて支給額が大きく変動します。トップセールスでは年収2,000万円を超えるケースもあり、実力がダイレクトに年収に反映される仕組みです。
ベース給与+成果報酬・RSUが一般的
多くの外資系IT企業では、年俸制(12分割 or 14分割)+インセンティブ+RSUという報酬体系を採用しています。
これにより、報酬は「固定+変動」のミックス型となり、成果を出せば大きなリターンが見込めます。
福利厚生はシンプルだが実質年収は高め
外資系企業は、日系企業と比べて福利厚生(住宅手当・家族手当など)が限定的な傾向にあります。
一方で、給与やストックオプションが手厚く、「自分で選択して使う」前提の高報酬型モデルとなっているため、可処分所得ベースで見ると実質的な待遇は高水準といえるでしょう。
参照:Google 求人一覧
https://www.google.com/about/careers/applications/jobs/results?hl=ja_jp(2025年6月)
参照:日本マイクロソフト 求人一覧
参照:SAP 求人一覧
参照:セールスフォース・ジャパン 求人一覧
外資系IT企業への転職を成功させるためのポイント
外資系IT企業への転職は、求められるハードルが高い一方で、準備次第でチャンスを確実につかめる環境です。ここでは、転職成功に向けて押さえておきたい具体的なポイントを解説します。
英語+専門スキルの両立が重要
多くの外資系企業で最も重視されるのが、職種に必要な専門スキルと業務遂行に必要な英語力の両立です。
たとえばGoogleの機械学習エンジニア職では、MLモデルやコーディングの経験に加えて、日本語・英語でのコミュニケーションが必須スキルとされます。
いずれも片方だけでは足りないため、転職前の段階で資格取得や英語学習にしっかり取り組んでおくことが成功の鍵となります。
実績を数字で語れるように準備
外資系の選考では、「どんな課題にどう取り組み、どんな成果を出したか」を定量的に説明できることが求められます。
特に、営業であれば「前年比○%の売上増」、エンジニアであれば「改善による○%のパフォーマンス向上」など、成果を数字で語れるように整理しておきましょう。
この準備が、履歴書・職務経歴書はもちろん、面接での説得力にも直結します。
英文レジュメと日本語職務経歴書を両方用意
外資系企業では、英文レジュメと日本語の職務経歴書の両方を求められる場合もあります。
英文レジュメは単なる直訳ではなく、成果と役割を簡潔に記述する英語表現の慣れが必要です。
chatGPTなどのAIツールや、有識者からの添削などを活用しながら準備を進めましょう。
自己分析・業界研究・模擬面接で万全の準備
採用面接では、「なぜその企業か」「自分が何を提供できるか」をロジカルに語れることが重要です。
そのためにも、自分の強み・志向性・キャリアの軸を明確にする自己分析、志望企業の業界ポジションやカルチャーへの理解、そして模擬面接での実践的な練習が不可欠です。
特に外資系では、ケーススタディ面接が行われるケースもあり、「質問にどう答えるか」を事前に練習しておくことが成功確率を大きく高めます。
まとめ
外資系IT企業は、高報酬・実力主義・グローバルな環境といった魅力を備えた、非常にやりがいのある職場です。成果に応じて正当に評価される文化、明確な職責、スピーディな意思決定など、自らの力でキャリアを切り拓きたい人にとっては絶好のフィールドと言えるでしょう。
とはいえ、転職のハードルは低くありません。英語力や専門スキルに加え、実績を論理的に語れるプレゼン力や、自走力・適応力といったソフトスキルも問われます。また、「自分は何を提供できるのか」という強みを明確にし、それを企業に伝えるための情報収集・自己分析・面接対策も大切となります。
しっかりと戦略を立てて準備を重ねていきましょう!
担当コンサルタント:南雲 亮

2008年株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社。
キャリアアドバイザー、マーケティング企画・DX推進マネジャー、HR領域のSaaS新規事業開発・サービス企画部長を歴任。
2021年にsincereedを創業。