
中途採用で法務へ転職!転職するのは難しい?転職難易度は?
法務職は企業経営に欠かせない重要なポジションです。特にデジタル化やグローバル化が進む現代では、企業はビジネス拡大に伴う法的リスクを未然に防ぐ必要があります。そのため、コンプライアンス強化や海外展開に対応できる法務人材の需要が高まっています。
転職を考える際には、年収や仕事内容、求められるスキルが気になりますよね。
本記事では、法務職への転職難易度や成功のポイントを網羅的に解説します。
法務の仕事内容とは?
法務担当者は単に契約書をチェックするだけでなく、企業活動のあらゆる場面で法的な観点からサポートします。
ここでは、法務担当者が日々どのような業務に取り組んでいるのか、表にまとめました。
仕事内容 | |
契約書関連業務 | • 売買契約書、取引基本契約書、委託契約書などのドラフト作成
• 契約書の内容チェック・レビュー • 取引先との条件交渉支援 |
コンプライアンス対応 | • 社内規程の整備・改定
• 法令遵守の啓蒙活動 • 内部通報制度の運用 • 企業のコンプライアンス体制の構築・維持 |
会社機関運営業務 | • 株主総会招集手続き
• 取締役会議事録の作成 • 重要会議運営に必要な書類作成 • 会社の重要会議の事務局運営 |
トラブル・訴訟対応 | • 取引先や第三者との契約トラブル対応
• クレーム対応 • 裁判・行政手続きへの対応支援 • 顧問弁護士との連携による訴訟対応 |
法改正対応・リスク管理 | • 会社法・民法・労働法など関連法規の改正チェック
• 法改正に伴う社内対応の実施 • 法的リスクの事前洗い出し • 内部統制・リスク管理体制の整備 |
法務担当者の業務は多岐にわたり、企業経営の根幹を支える重要な役割を担っています。特に昨今では、コンプライアンスの重要性が高まり、企業の社会的責任が厳しく問われる時代です。
デジタル化やグローバル化により法的リスクが複雑化する中、適切な法務対応は企業の競争力向上に直結します。法務担当者は、企業が持続的に成長していくための「縁の下の力持ち」として、今後もその重要性はますます高まっていくでしょう。
出典元:職業情報提供サイト|企業法務担当https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/446(2025年6月)
法務への転職は難しい?実際の転職難易度
法務職は専門性が高いため、実務経験の有無が転職難易度に大きく影響します。既に企業法務や法律事務所での実務経験がある場合は、専門知識を活かして比較的スムーズに転職できる傾向にあります。
実際に大企業の法務担当部署では、同等の事業規模や同じ業界分野における法務業務の経験者が、すぐに活躍できる貴重な人材として求められるケースが少なくありません。
一方で未経験者の場合、転職のハードルが高くなります。法務未経験者を採用する求人は限られるため、まずは法務アシスタント職や中小企業の法務職を狙うのが現実的でしょう。
大手企業や外資系企業では高い専門性が重視され、類似業界・類似規模の企業での法務経験や英語を使った実績が求められる傾向にあります。
未経験から法務に転職するのは可能?
未経験から法務職への転職は可能です。法学部出身者や法律関連資格保有者は採用担当者にとってよき判断材料となります。
一般社団法人人材サービス産業協議会の調査によると、異業種から法務未経験で法科大学院修了や法学部卒が採用されていることがわかります。
また、未経験者でもキャリアの一部で総務・人事・経理など他部門の経験がある場合、企業理解やビジネスの視点を持っている点で評価されるでしょう。これらの部門では契約書に触れる機会や、法的リスクを考慮した業務経験が評価につながります。
第一歩として法務アシスタント職や契約管理職を経験し、契約書作成や法的調査、法務補助業務に携わる方法も有効です。たとえば法務アシスタントは契約書のドラフト作成・管理や、法務部門の庶務的なサポート業務を担当するため、ここで実務スキルを身につけることでキャリアチェンジの足がかりとなります。
未経験からでも段階的にスキルを積み重ねることで、法務職としてのキャリアを築けます。
出典元:一般社団法人人材サービス産業協議会|転職賃金相場https://j-hr.or.jp/wage/33777/(2025年6月)
法務に求められるスキル・経験
法務職に求められるスキルや経験を以下の表にまとめました。
スキル・経験 | 内容 |
基礎的な法律知識 | 会社法・民法・労働法などの理解、最新法改正への対応 |
文章読解・作成スキル | 契約書や社内規定のドラフト作成・リスクを見抜いた修正・チェック能力 |
コンプライアンス意識・リスク感度 | 法令遵守の仕組み構築、内部統制の運用、法的リスクを予測・回避 |
ビジネスレベルのコミュニケーション力 | 他部署・取引先・顧問弁護士と円滑に調整し、交渉をまとめるスキル |
英語力 | 外資系・海外案件に対応するための英語での契約レビュー・説明能力 |
法務職には、企業活動の法的リスクを適切に管理・回避するための幅広いスキルが求められます。
特に、会社法・民法・労働法といった企業実務に直結する法律の知識は必須です。
さらに、契約書の作成・レビューでは細かな条文の意味を正しく理解し、企業側に不利益が生じないよう文章を修正する力も重要です。
加えて、コンプライアンス意識やリスク感度を持つことで、社内の内部統制体制を強化し、問題の芽を早期に摘む役割も担います。
また、法務は社内外の調整が多いため、論理的に説明・説得するコミュニケーション能力が欠かせません。
近年ではグローバル案件の増加により、英語力の重要性が高く、英文契約書を扱えるかどうかで年収や求人の選択肢に差が出るケースもあります。
さらに、日常の業務では「この契約は本当にリスクがないか」などを的確に分析・問題解決するスキルが不可欠です。
法務担当としての総合力が求められるといえるでしょう。
法務の求人の探し方と選び方
法務職の求人は、総合転職サイトや法務専門の転職エージェントの活用がおすすめです。法務系に特化したエージェントは非公開求人を多く抱えており、応募先企業の選考基準や面接での注意点など、きめ細かいサポートを受けられます。
求人票をチェックする際は、求めるスキルや経験と、担当業務の具体的な範囲を必ず確認しましょう。同じ「法務担当者」でも、会社の規模や文化によって任される仕事内容は異なります。たとえば中小企業の法務は総務・人事を兼務するケースが多く、大手企業では契約管理やリスクマネジメントなどを細分化して担当します。
また、インハウス法務と法律事務所の法務では働き方のスタイルに違いがあります。企業の法務部で幅広いビジネス支援をしたいのか、専門的に訴訟・法的代理人として活躍したいのか、自分の志向に合うキャリアを選びましょう。
将来的に管理職や海外法務などのキャリアパスを描くなら、マネジメント経験や語学力が活かせる環境を意識して求人を選ぶのがポイントです。
法務の年収・給与相場
法務職は専門職の中でも比較的高い水準の年収が期待できます。
管理職やマネージャークラスになると、800~1,000万円以上の収入が見込まれます。
一般的な年収の目安を以下の表にまとめました。
経験・役職 | 年収目安(万円) |
未経験~2年程度 | 350~450程度 |
3~5年程度(経験者) | 500~700程度 |
管理職・マネージャー | 800~1,000以上 |
特に外資系企業や上場企業、IPO(新規上場)準備中の企業では法務人材への報酬が高めに設定される傾向があります。
一般社団法人人材サービス産業協議会の調査によれば、年収400万円以上から英語力が求められ、グローバル案件への対応力が年収に反映されるケースが多いことが示されています。
出典元:職業情報提供サイト|企業法務担当https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/446(2025年6月)
出典元:一般社団法人人材サービス産業協議会|転職賃金相場https://j-hr.or.jp/wage/33777/(2025年6月)
法務への転職を成功させるためのポイント
法務職への転職を有利に進めるには、4つのポイントを押さえることが重要です。
・資格取得
・実務スキル強化
・市場価値把握
・応募書類の対策
まず、ビジネス実務法務検定や行政書士などの資格を取得し、法務基礎知識を証明しましょう。
実務スキル強化では、契約書レビューや法務文書の模擬演習を通じて実務対応力を養うことが重要です。
市場価値把握のため転職エージェントに相談し、自分の強みや適正年収を客観的に把握することで戦略的な転職活動が可能になります。
最後に応募書類対策では、「法務補助」ではなく「月10件の契約書レビュー、リスク条項の指摘経験あり」など、対応した法務業務を具体的に記載することで採用担当者にアピールできます。
これらの準備を整えることで、法務職への転職成功率の大幅なアップが可能です。
まとめ|法務への転職は準備と戦略がカギ
法務職は専門性が非常に高いため、計画的な転職準備が不可欠です。
未経験でも、スキル・資格・志望動機次第で十分にチャンスはあります。転職活動を進める際は、企業が法務に何を期待しているかを理解し、自身の経験やスキルを戦略的にアピールしましょう。
法務職は企業成長とともに活躍の場が広がる職種です。焦らず長期的な視点を持って、自分に合った企業でキャリアを築くための準備を進めてみてください。
担当コンサルタント:南雲 亮

2008年株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社。
キャリアアドバイザー、マーケティング企画・DX推進マネジャー、HR領域のSaaS新規事業開発・サービス企画部長を歴任。
2021年にsincereedを創業。