
インフラエンジニアの平均年収は?経験年数・スキル・働き方別に徹底解説【2025年最新】
クラウド移行やDX推進の加速により、インフラエンジニアの需要は年々高まっています。
企業の基幹システムやクラウド環境を支える重要な職種として、安定した需要と高い専門性が評価されていますが、その一方で「年収が上がりにくい」「スキルによって大きく差が出る」といった声も少なくありません。
本記事では、厚生労働省の統計や転職サイトの公開データをもとに、インフラエンジニアの平均年収や職種別・スキル別の給与水準を詳しく解説します。
また、経験年数別の年収推移や、クラウド・セキュリティ系エンジニアの高収入傾向、フリーランスとしての働き方など、最新の市場動向もあわせて紹介します。
インフラエンジニアとしてキャリアを築く上で、年収の実態を正しく理解することは、今後のキャリア戦略を立てるうえで不可欠です。
自身のスキルや働き方に応じて、どのように収入を伸ばしていけるのか、ぜひ参考になれば幸いです。
インフラエンジニアの平均年収はどれくらい?【2025年最新データ】
インフラエンジニア(サーバー・ネットワーク・クラウド・運用保守)の年収水準は、経験・スキル・担当領域によって大きく異なります。
ここでは、厚生労働省の最新調査(2024年3月公表)と、dodaなどの転職サイトの求人データをもとに、現場の実態を踏まえた平均年収レンジを整理します。
厚生労働省データに見る平均・中央値
厚労省調査では、ITスキル標準(ITSS)をもとに、スキルレベル別の賃金中央値が公開されています。
その中でも「設計・構築(サーバー/ネットワーク)」および「運用・保守(運用スペシャリスト)」領域が、いわゆるインフラエンジニアに該当します。
スキルレベル | スキル定義(要約) | 設計・構築(サーバー/ネットワーク) | 運用・保守(運用・監視など) |
レベル1〜2 | 初級(新人・独力で一部作業可) | 約500万円 | 約500万円 |
レベル3 | 中級(独力で担当、応用知識あり) | 約550万円 | 約550万円 |
レベル4 | 上級(課題解決をリード) | 約635万円 | 約650万円 |
レベル5以上 | 専門・管理職層 | 約700万円 | 約850万円 |
平均年収の中心帯は550〜700万円前後で、ITSSレベル4以上の上級層では700〜850万円と上昇。
スキルが上がるほど「設計〜構築〜運用改善〜クラウド導入」へと領域が拡大し、給与も比例して上がる傾向です。
また、運用系職種の上位層は、設計構築職を上回るケースも見られます。
ただし、これら厚労省データは「中央値」であり、実際には企業規模・地域・業界・経験年数などで大きく上下する可能性があるため、あくまで参考までにみておくと良いでしょう。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」における個人アンケート調査について:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf(2024年3月)
doda求人データに見る年収レンジ
一方、転職サイトdodaの求人情報では、実際の募集時点で提示される年収・月給が公表されています。
ここでは2025年10月時点のdoda求人検索結果から代表的なレンジを整理しました。
経験レベル | 提示年収レンジ(doda求人) | 主な募集条件 |
未経験・育成枠 | 400〜500万円前後 | 社内研修・OJT前提、残業代別途支給型が多い |
実務経験者(3〜5年) | 500〜650万円前後 | 設計・構築経験、LPIC/CCNAなど資格保持を条件とする案件多数 |
クラウド・リーダー層 | 700〜900万円前後 | AWS/Azure構築経験、リーダー・PM経験が条件 |
マネージャー・専門職 | 900〜1,200万円超 | 大規模インフラ統括、クラウド戦略推進など高難度ポジション |
参照:doda インフラエンジニアの求人一覧:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__0314M/-preBtn__3/(2025年10月)
doda求人の平均年収は約542万円(サーバー系465万円/ネットワーク系449万円)とされ、厚労省の中央値(550〜650万円)とおおむね近い水準にあります。
ただし、求人提示額は「固定残業代込み」や「賞与別途」など条件によって異なるため、実際の年収は面接時に確認するなどすると良いでしょう。
厚労省×dodaデータから見る「現実的な年収レンジ」
両者のデータを統合すると、インフラエンジニアの実勢年収レンジは以下のように整理できます。
キャリア段階 | 想定年収レンジ(中央値ベース) |
未経験〜若手(1〜3年目) | 400〜500万円 |
中堅(4〜9年目) | 550〜650万円 |
上級・リーダー層(10年以上) | 700〜850万円 |
マネージャー/専門職 | 850〜1,000万円超 |
このように、厚労省データと求人市場の提示額はおおむね一致しており、「中堅層で550〜650万円」「上位層で700〜850万円」というのが2025年時点の現実的な中央値レンジといえます。
また、クラウド・セキュリティ領域(AWS・Azure・SREなど)に携わる人材は、市場価値が特に高く、同じインフラ職でも年収差が100〜200万円生じるケースもあります。
システムエンジニア・アプリ開発エンジニアとの比較
インフラエンジニアの年収を正しく理解するには、同じIT領域であるシステムエンジニア(SE)やアプリケーション開発エンジニアとの比較が欠かせません。
ここでは「職種ごとの相対的な立ち位置」と「転職市場での実勢水準」を見ていきましょう。
厚生労働省データに見る職種構造の違い
厚生労働省『IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業』(2024年3月)によると、職種別の賃金中央値(スキルレベル3〜4相当)は以下のとおりです。
職種区分 | スキル定義(中級〜上級) | 年収中央値 |
システム開発(アプリ・業務系) | 要件定義・設計・コーディングを独力で担当 | 約580万円 |
インフラ設計・構築(サーバー/ネットワーク) | 設計・構築・導入をリード | 約635万円 |
運用・保守(監視・SRE含む) | 運用設計・改善を主導 | 約650万円 |
このデータからわかるように、インフラ系(設計・運用)はSE/アプリ開発系と同等か、やや上位の年収帯に位置しています。
特にクラウド基盤や自動化・運用最適化(SRE)を担う層では、運用職でも高年収化が進んでいる傾向があります。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」における個人アンケート調査について:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf(2024年3月)
doda求人データに見る「転職市場のリアル」
一方、転職サイトdodaが公開している職種別平均年収データ(2025年10月時点)では、以下のような傾向が見られます。
職種 | 平均年収 |
システムエンジニア(SE)/プログラマ | 約425万円 |
サーバーエンジニア | 約465万円 |
ネットワークエンジニア | 約449万円 |
この数値でも、インフラエンジニアはアプリ開発職と大差はなく、わずかに上回る水準です。
厚生労働省とdodaの双方のデータを総合すると、インフラエンジニアとシステムエンジニア(アプリ開発系)の年収差は大きくないことが分かります。
職種そのものよりも「どの領域に専門性を持つか」によって上振れ幅が決まるといえるでしょう。
参照:システムエンジニア(SE)とは?仕事内容や年収、資格など、知っておきたいポイントを解説:https://doda.jp/engineer/guide/it/070.html(2025年2月)
参照:インフラエンジニアとは?仕事内容や年収、未経験からの転職のポイントなどを解説:https://doda.jp/engineer/guide/it/070.html(2025年2月)
経験年数・年齢別のインフラエンジニア年収水準
インフラエンジニアは、経験年数に応じて担当業務の範囲やスキルレベルが大きく変化します。
未経験~3年目(20代前半)の平均年収:350〜500万円
インフラエンジニアとしてキャリアをスタートしたばかりの層では、年収は350万〜480万円前後が中心帯です。
この層は「運用・監視・ヘルプデスク」などのサポート業務からスタートすることが多く、勤務先によっては夜勤・シフト手当が加わることで実収入がやや上がるケースもあります。
dodaの求人データでは、未経験歓迎ポジションの提示年収が400〜500万円前後に設定されている案件が増えており、ITインフラの基礎知識(CCNA、LPICレベル1など)を持つ人材は初年度から400万円台後半を提示されることもあります。
特に近年は、クラウド運用監視などの育成枠採用も多く、入社2〜3年で年収が50〜100万円上がる事例も見られます。
中堅層(30代前半~40代前半)の年収相場:550〜750万円
実務経験5〜10年前後の中堅インフラエンジニアは、年収550万〜700万円前後がボリュームゾーンです。
この層では、単なる運用担当から脱却し、設計・構築・チームリードの役割を担うようになります。
厚労省データでは、ITSSレベル3〜4相当の「設計・構築職」が中央値550〜635万円とされており、doda求人でも「インフラ設計・構築経験3年以上」で年収600〜750万円の案件が多く見られます。
特にクラウドインフラ(AWS/Azure)やセキュリティ設計を担当するエンジニアは、700万円を超える提示額が一般的になりつつあります。
この年代では、「技術力+折衝力+改善提案力」が年収評価の軸となり、資格取得(AWS認定ソリューションアーキテクト、LPICレベル2以上、ネットワークスペシャリストなど)が昇給・昇格に直結する傾向があります。
リーダー・マネージャークラス(40代後半~50代)の給与レンジ:750〜1,200万円
リーダー・マネージャークラスになると、年収は750〜1,000万円前後まで上昇します。
厚労省データ上では、ITSSレベル5(上級専門職・管理職)層の中央値が700〜850万円であり、運用統括や基盤アーキテクトを兼ねる層ではそれ以上のレンジも珍しくありません。
実際の求人でも、「インフラ部門マネージャー」「クラウド推進リーダー」といったポジションでは年収900万円〜1,200万円の提示も見られます。
この層では、技術スキルに加え、組織運営力・プロジェクトマネジメント・経営理解力が求められ、マネジメント経験の有無が年収を大きく左右します。
また、フリーランスとして独立するケースもあり、AWS設計・移行案件などでは月単価70〜100万円以上(年換算800〜1,200万円)の案件も増加傾向にあります。
企業に属するか、個人として稼ぐかによって、収入レンジの幅が非常に大きくなる段階です。
年収アップのタイミング(昇給・昇格の傾向)
インフラエンジニアの昇給は、「スキルの幅が広がるタイミング」で明確に起こる傾向があります。
具体的には以下のようなステップです。
- 入社1〜3年目:基礎構築スキルの定着期
OJT・運用経験を積み、トラブルシューティングや設定変更を一人でこなせるようになる時期。
このタイミングで年収400→480万円程度への上昇が一般的。 - 3〜6年目:設計・構築を任され始める時期
「上流工程」に関わることで評価が上がり、年収550〜650万円帯に到達。
資格取得(CCNP、AWS SAAなど)をきっかけに昇給する例が多く見られます。 - 7〜10年目以降:リーダー・マネジメントへの移行期
チームマネジメントやクラウド導入を主導できる人材は、年収700万円台〜。
プロジェクト責任者や課長クラスでは800万円を超える事例も増えています。
このように、「キャリア段階 × 技術領域 × 資格」が年収上昇の主要ドライバーとなっており、特にクラウド・セキュリティ・自動化領域のスキル習得は、昇格スピードを加速させる傾向にあります。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」における個人アンケート調査について:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf(2024年3月)
参照:doda インフラエンジニアの求人一覧:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__0314M/-preBtn__3/(2025年10月)
インフラエンジニアの職種別・スキル別の年収比較
「インフラエンジニア」といっても、実際の職務内容はネットワーク設計からサーバー構築、クラウド、セキュリティまで幅広く分かれています。
それぞれの専門領域によって、求められるスキルや責任範囲、そして年収水準にも大きな差があります。
ここでは、主要3領域に分けて詳しく見ていきましょう。
ネットワークエンジニア・サーバーエンジニアの違いと給与水準
ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは、どちらもインフラの中核を支える職種ですが、担当範囲と評価ポイントに違いがあります。
- ネットワークエンジニア:LAN・WANなどの通信基盤の設計・構築・運用を担当し、通信の安定性とセキュリティを確保する役割。
サーバーエンジニア:WebサーバーやDBサーバーなど、アプリケーションを稼働させる環境の設計・構築・チューニングを担います。
厚生労働省の調査(ITSSレベル別賃金中央値)では、これらの「設計・構築職」がレベル3〜4で550〜635万円前後、上位層(レベル5以上)では700万円超とされています。
両者の年収差は小さいものの、サーバーエンジニアは近年クラウド連携やコンテナ技術(Docker/Kubernetesなど)を扱う案件が増え、平均年収がやや上昇傾向にあります。
ネットワーク系では、セキュリティ・ゼロトラスト・VPN構築など新技術領域への対応が報酬アップの鍵となっています。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」における個人アンケート調査について:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf(2024年3月)
参照:システムエンジニア(SE)とは?仕事内容や年収、資格など、知っておきたいポイントを解説:https://doda.jp/engineer/guide/it/070.html(2025年2月)
参照:インフラエンジニアとは?仕事内容や年収、未経験からの転職のポイントなどを解説:https://doda.jp/engineer/guide/it/070.html(2025年2月)
クラウドエンジニア(AWS・Azure)の需要と高年収傾向
インフラ分野で現在もっとも年収上昇率が高いのが、クラウドエンジニア(AWS/Azure/GCPなど)です。
企業のシステム基盤がオンプレミスからクラウドへ移行しているため、AWS設計・構築・運用の実務経験を持つ人材はどの企業からもニーズが高まっています。
- 経験3〜5年:年収600〜750万円前後
- リーダー・アーキテクト層:年収800〜1,000万円超
- フリーランス案件:月単価70〜120万円(年換算840〜1,400万円)
特に、AWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト/プロフェッショナル)や、Azure Administrator/DevOps Engineer Expertなどの資格保持者は、求人票で明確に「優遇」と記載されているケースが多く、同じポジションでも+50〜150万円の差がつくことも珍しくありません。
また、クラウド領域は「技術×ビジネス」の両視点が評価されるため、コスト最適化・アーキテクチャ設計・IaC(Infrastructure as Code)実装経験を持つ人材ほど高報酬を得やすい構造になっています。2025年時点では、インフラエンジニアの中で最も高年収を狙いやすい領域といえるでしょう。
参照:doda インフラエンジニアの求人一覧:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__0314M/-preBtn__3/(2025年10月)
セキュリティエンジニアの給与プレミアム
セキュリティエンジニアは、近年急速に年収が上昇している職種の一つです。
クラウド化やゼロトラスト化の流れを背景に、セキュリティ脆弱性の管理・SOC(セキュリティオペレーションセンター)・インシデント対応などのスキルが評価されています。
「情報セキュリティアナリスト/運用スペシャリスト」領域はITSSレベル4〜5で中央値650〜850万円と高水準に位置づけられており、具体的な求人提示年収は以下のように他職種を上回っています。
- セキュリティ運用担当(経験3〜5年):年収600〜750万円
- SOC/CSIRTリーダー/脆弱性診断担当:年収800〜1,100万円
- セキュリティアーキテクト/CISO補佐:年収1,000〜1,300万円
この職種の特徴は、「専門性の高さ」と「リスク管理責任」が直接報酬に反映される点です。
特にグローバル企業や金融・通信系では、セキュリティ資格(CISSP、CEH、情報処理安全確保支援士など)を持つ人材が高く評価され、インフラ系の中でも年収プレミアム(+150〜300万円)が発生しやすい職種となっています。
また、SOCや脆弱性診断業務を中心にリモート案件が増加しており、クラウドセキュリティやDevSecOpsの知識を持つ人材は、海外企業からのリモート採用で年収1,200万円超のケースも見られます。
参照:doda インフラエンジニアの求人一覧:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__0314M/-preBtn__3/(2025年10月)
年収に影響する要素(スキル・資格・働き方)
インフラエンジニアの年収は、「スキルレベル」「保有資格」「雇用形態(働き方)」によって大きく変動します。
ITSSレベルが1段階上がるごとに賃金中央値がおおよそ+50〜100万円上昇する傾向が示されており、実務経験や専門性の有無が報酬に直結する職種であることがわかります。
保有資格(CCNA、AWS認定、LPICなど)とスキルによる給与差
インフラエンジニアの給与を左右する最大の要素が資格とスキル証明です。
特にクラウドやネットワーク分野の資格は、転職時の評価や昇給の指標として強い影響力を持ちます。
代表的な資格ごとの傾向は以下の通りです。
- CCNA(Cisco Certified Network Associate)
ネットワークの基礎構築・設計スキルを証明する資格で、20代の若手層では年収+30〜50万円の上昇が見込まれます。
CCNPなど上位資格を保有している場合、企業によっては月1〜2万円の資格手当が支給されるケースもあります。 - LPIC(Linux Professional Institute Certification)
Linux環境構築スキルを証明する資格。特にLPICレベル2以上を持つサーバーエンジニアは、求人票で「優遇」と記載されることが多く、年収600万円以上の案件も増えています。 - AWS認定資格(SAA/SAP/DevOps等)
クラウド分野で最も評価が高い資格群。AWS認定ソリューションアーキテクト(アソシエイト)を取得していると、未保有者と比較して平均年収+70〜100万円の差が出るケースもあります。
プロフェッショナルレベル(SAP)保持者は年収800万円以上も現実的です。 - 情報処理技術者試験(ネットワーク/情報セキュリティマネジメント等)
公共系・大企業案件で評価されやすく、昇格条件に指定されるケースもあります。
このように、資格は単なる「学習実績」ではなく、業務範囲の拡大・給与テーブルの上昇・転職時の提示額アップの3つに作用します。
特にAWSやAzureなどのクラウド系資格は、給与上振れ効果が最も大きい領域といえるでしょう。
参照:doda インフラエンジニアの求人一覧:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__0314M/-preBtn__3/(2025年10月)
残業代・深夜手当の実態
インフラエンジニアは、システム稼働を支える職種であるため、残業や夜間対応が発生するケースもあります。
そのため、残業代・深夜手当の有無や支給方法が実収入に大きく影響する職種です。
dodaの求人では、正社員案件の多くが固定残業代制(20〜40時間/月)を採用しており、超過分が別途支給されるケースと、まれに残業代全額支給のケースに分かれます。
実際の労働実態としては、以下のような傾向があります。
- 運用・保守系:夜勤・シフト制が多く、深夜手当+月2〜3万円程度の上乗せが一般的
- 設計・構築系:残業時間は月20〜30時間程度で、残業代支給額は月3〜5万円前後
- クラウド・自動化系:フルリモートや裁量労働制の導入が進み、残業代より成果評価型の給与体系が主流
厚労省の調査でも、ITエンジニア全体の平均残業時間は月20.7時間(2023年度平均)と報告されており、近年は働き方改革や自動化の進展により、時間外労働は減少傾向にあります。
一方で、深夜シフト勤務を選択することで年収を上げるエンジニアもおり、「安定+夜勤手当」で年収500万円を超えるケースも少なくありません。
参照:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査」における個人アンケート調査について:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf(2024年3月)
正社員・派遣・フリーランスでの収入差
インフラエンジニアは、雇用形態によっても年収レンジが大きく変わります。
2025年現在では、以下のような構造が一般的です。
- 正社員エンジニア
安定した給与と福利厚生が魅力。年収は450〜750万円前後が中心。
賞与や退職金制度を含めた総合的な待遇重視層に向いています。 - 派遣・契約社員
スキル次第では高時給案件も多く、時給2,800〜3,500円(年収換算で500〜600万円程度)が目安。
ただし賞与や昇給がない分、長期的な年収成長は限定的。 - フリーランスエンジニア
クラウド設計やSREなどの上位スキルを持つ層は、月単価70〜100万円(年換算840〜1,200万円)も可能。
高収入を得やすい反面、案件単位での契約リスクや福利厚生の欠如に注意が必要。
フリーランス市場では、特にAWS/Azure設計案件やセキュリティ関連の需要が高く、同じスキルでも雇用形態を変えるだけで実収入が1.5〜2倍になるケースも存在します。
一方、正社員として安定性・昇給制度を重視する場合は、「資格・役職手当」「在宅手当」などを含めたトータル報酬で比較するのがポイントです。
転職でインフラエンジニアの年収を上げる方法
インフラエンジニアとして年収を上げるには、業界選び・スキルの方向性・交渉材料の3つが鍵になります。
単に転職回数を増やすよりも、「どの領域で専門性を高めるか」「どの業界でそのスキルを活かすか」が収入差を生むポイントです。
高年収を狙いやすい業界(金融・大手通信・クラウドベンダー)
インフラエンジニアの中でも、業界によって年収レンジの差が最も大きいのが特徴です。
- 金融業界(銀行・証券・保険)
システムの安定稼働が最優先されるため、インフラ構築や運用の責任範囲が大きく、年収600〜900万円台のレンジが中心です。
特に大手金融機関の情報システム部門や、FinTech企業ではSRE・セキュリティ経験者が高く評価されます。 - 大手通信・キャリア系
ネットワークインフラやクラウド基盤を大規模に扱うため、マネジメント職やプロジェクトリーダーで700〜1,000万円超の例も珍しくありません。
クラウド移行・ゼロトラストなどの最新技術案件が増えており、設計・企画層が高収入層を形成しています。 - クラウドベンダー/ITコンサル系
技術トレンドの中心に位置する企業群では、専門スキルと英語力が年収を押し上げます。
AWS認定資格やGCP Professional資格を持つエンジニアは、転職時提示年収が平均+100〜200万円高い傾向があります。
SaaS・PaaS基盤を扱う職種ではリモート・裁量労働制も多く、成果評価型で年収1,000万円以上も現実的です。
一方、SES(客先常駐)やアウトソーシング中心の企業では、上流に近づくほど年収が上がるため、スキル転換と同時に業界を選ぶことが年収アップの近道となります。
年収交渉に有利なスキルセット
転職時に提示される年収は、スキルシート上のキーワードで大きく変わります。
dodaの求人からは、次のような傾向が見受けられます。
- クラウド関連スキル:AWS(EC2、VPC、CloudFormation)、Azure、GCPなど
設計経験者は年収650〜900万円台、プロフェッショナル資格保有者は1,000万円超の提示もあり。 - IaC(Infrastructure as Code)スキル:Terraform、Ansible、Pulumi
自動化・SRE職種での需要が高く、保守系エンジニアからのキャリアチェンジでも評価されやすい。 - コンテナ/マイクロサービス:Docker、Kubernetes、EKS、ECS
クラウド移行プロジェクトで必須スキル化。運用から設計へのステップアップに直結。 - セキュリティスキル:SOC/SIEM運用、ゼロトラスト、脆弱性診断、CISSPなど
金融・公共領域では報酬プレミアムが付きやすく、800〜1,000万円級の案件も存在。 - 英語+顧客折衝能力:外資クラウドベンダーやグローバル企業では年収を左右する主要要素。
特にAWS・Google Cloud・Cisco系の外資では、技術力+コミュニケーション力が昇給条件になります。
これらに加えて、「設計できる人」+「ビジネス理解のある人」が最も高く評価されます。
単に技術スキルを積み上げるだけでなく、プロジェクトマネジメント・要件定義力を伸ばすことが、転職時の年収交渉で決定的な差を生む要因となります。
参照:doda インフラエンジニアの求人一覧:https://doda.jp/DodaFront/View/JobSearchList/j_oc__0314M/-preBtn__3/(2025年10月)
転職成功者の共通点(資格取得・マネジメント経験など)
インフラエンジニアとして転職で年収アップを実現した人には、いくつかの明確な共通点があります。
- 資格取得を戦略的に行っている
AWS認定・CCNP・LPICなどを取得し、「実務+資格」のセットで自分の市場価値を客観的に示しています。
特にAWS SAA(ソリューションアーキテクト)やAzure Administratorは、転職時の書類選考通過率が大幅に上がる傾向があります。 - 構築・設計など上流工程の経験をアピールしている
「手順書に沿った運用」から、「自ら提案・設計を行う」立場にステップアップしている人ほど、自走できる人として転職成功率をアップしている傾向があります。
- マネジメントやチームリード経験がある
マネージャー職では、部門規模やPL責任の有無によって年収が大きく変動します。
5〜10名規模のチームリード経験を持つだけでも、提示額が+50〜100万円上がるケースも。
プロジェクトマネージャー(PM)・SREリーダー職では、年収900万円〜1,200万円のオファーも現実的です。
フリーランスインフラエンジニアの年収相場
インフラエンジニアは、クラウドや自動化の普及によってフリーランス案件の需要が急増しています。
特にAWSやKubernetesを扱える人材は、企業のクラウド移行やSREチーム立ち上げにおいて高単価で求められています。
案件単価の目安
レバテックフリーランスが公開する職種別単価相場データ(2025年10月時点)によると、インフラエンジニアの平均月単価は約68万円で、案件によっては100万円を超える高単価案件も確認されています。
平均単価とレンジ
平均月単価 | 約 68万円 |
最高単価 | 165万円(クラウド・SRE案件など) |
最低単価 | 約 45万円(運用・監視中心の案件) |
案件の主流領域 | AWS/Azureなどのクラウド構築、TerraformによるIaC導入、自動化設計 |
稼働形態 | 週5日常駐案件が中心だが、リモート・週4稼働案件も増加中 |
案件内容別の単価傾向
案件タイプ | 主な作業内容 | 平均単価レンジ(月額) | 特徴 |
オンプレミス案件(サーバー構築・運用保守) | データセンター常駐、監視設定、障害対応、VPN構築など | 60〜75万円前後 | 安定性重視。夜勤・シフト勤務あり。クラウド移行前の保守継続案件が中心。 |
クラウド/SRE系案件(AWS・Azure・GCPなど) | クラウド設計・構築、IaC導入(Terraform/Pulumi)、自動スケーリング、監視設計など | 80〜110万円前後 | リモート案件が増加。TerraformやAWS認定資格保持者は高単価案件に直結。 |
セキュリティ・ゼロトラスト関連 | クラウドセキュリティ設計、SOC/CSIRT運用、脆弱性診断 | 90〜130万円前後 | 金融・公共業界で需要増。AWS+セキュリティ+IaCの複合スキルは最上位報酬帯(年収1,200万円以上)。 |
レバテックフリーランスの公開データ(2025年10月時点)によると、インフラエンジニアの平均月単価は約68万円前後となっています。
一方で、クラウドやSRE(Site Reliability Engineering)領域の案件では、100万円を超える高単価案件も増加傾向にあります。
特に、Terraform・AWS・セキュリティといったスキルを組み合わせて保有しているエンジニアは評価が高く、単価レンジが一気に上位層(90〜130万円前後)へと移行するケースが多く見られます。
また、掲載案件のおよそ半数がリモート勤務やハイブリッド勤務(週数日の出社)に対応しており、クラウド化の進展とともに、働き方の柔軟性や選択肢の広がりも年々高まっているのが現状です。
参照:レバテックフリーランス 単価相場を比較:https://freelance.levtech.jp/project/marketprice/(2025年10月)
正社員とフリーランスのメリット・デメリット比較
正社員 | フリーランス | |
収入安定性 | 毎月固定。賞与・昇給制度あり。 | 案件単価は高いが、稼働が止まると無収入リスク。 |
年収レンジ | 450〜1,200万円(役職で上限) | 700〜1,200万円超(スキル次第) |
働き方 | 固定勤務/フルタイム | リモート・週3勤務・複数案件も可 |
保障・福利厚生 | 社保・有給・退職金など完備 | 自己負担(国保・年金・税務対応) |
スキル成長機会 | 社内教育・OJT・資格支援あり | 案件ベース。自主学習・案件選定が重要。 |
自由度 | 所属組織に制約あり | 高いが、自己管理力が求められる。 |
安定を重視するなら正社員、報酬・裁量を重視するならフリーランスが向いているといえます。
特にクラウド・自動化スキルを持つ人材は、フリーランス化で年収が1.5〜2倍になる傾向があり、年収を重視する人にとっては魅力的な条件といえるでしょう。
ただし、継続的な案件確保と確定申告・保険対応など「自己マネジメント力」が必要となります。
まとめ|インフラエンジニアの年収を正しく理解してキャリア戦略を立てよう
インフラエンジニアの年収は、経験・スキル・働き方によって大きく変動します。
厚生労働省のデータや求人市場の傾向を総合すると、20代前半では400万円台前後、30〜40代の中堅層では600〜800万円台、クラウド設計やマネジメントを担う上位層では1,000万円を超えるケースも見られます。
とくに最近では、クラウド・セキュリティ・自動化(IaC)といったスキルの習得が年収アップを実現するための最重要要素となっています。AWSやAzureなどのクラウド基盤、TerraformやAnsibleなどの自動化ツール、さらにはゼロトラストやSOC/CSIRTといったセキュリティ領域に踏み込むことで、報酬レンジを一段引き上げることが可能です。
また、働き方の選択肢も多様化しています。
安定した給与と福利厚生を重視するなら正社員としてのキャリアを、スキルを武器に高報酬・自由な働き方を目指すならフリーランスや副業案件への挑戦を選ぶのも一つの方法です。
レバテックフリーランスのような専門エージェントサービスを活用すれば、自分のスキルと希望条件にマッチした案件や転職先を効率的に見つけることができます。
キャリア戦略のカギは「学びを止めないこと」
インフラエンジニアのキャリアは、環境の変化とともに常に進化しています。
クラウドやセキュリティの分野で学び続ける姿勢こそが、「安定」と「成長」の両立を実現する最大のポイントです。
これからの時代、インフラエンジニアは「縁の下の力持ち」から「事業を支えるテクノロジスト」へ──。
正しい情報と戦略をもとに、自分らしいキャリアを築いていきましょう!