
経理職に転職するには?未経験から年収アップを狙えるキャリア戦略と求人探しのポイント
経理職の平均年収は509.3万円と、日本の平均年収460万円を上回る水準です。専門性が高く、企業の根幹を支える重要な役割を担うため、安定したキャリアと着実な年収アップが期待できます。
そこで本記事では、経理職のリアルな年収事情から、未経験からの転職を成功させる方法、さらなる年収アップを実現するためのキャリア戦略まで、公的データを基に徹底解説します。
経理としてのキャリアを歩み始めたい方、さらなる高みを目指したい方は、ぜひ最後まで読んでください。
経理職の仕事内容と求められるスキル
経理職は、単にお金の計算をするだけではありません。企業の経済活動を正確に記録・管理し、経営判断に必要な財務情報を提供する、経営の中枢を担う重要な仕事です。
仕事内容は日次・月次・年次といったサイクルで、主な業務には仕訳・伝票処理、決算業務、税務対応、資金管理などがあります。日々の取引を勘定科目に分類して会計ソフトに入力する地道な作業から、月次・年次で企業の財政状態をまとめる決算書の作成、法人税などの申告・納税、会社の資金繰りを管理する業務まで、その役割は多岐にわたります。
また、働く企業の規模や形態によっても、経理の業務範囲は大きく異なります。中小企業では少人数で経理から総務まで幅広い業務を担うことが多く、経営全体を見渡せる面白さがあります。
一方で上場企業では業務が細分化・専門化されており、決算開示や内部統制対応など、高い専門性が求められます。外資系企業の場合は、親会社への英語でのレポート業務もあり、国際会計基準の知識や高い語学力も必要です。
経理職の年収相場とキャリアパス
経理職の年収は、年齢や経験、スキル、勤務先の企業規模によって大きく変動します。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、経理事務の平均年収は509.3万円です。
年齢別の年収を見ると、以下のようになります。
20代から30代にかけて年収が大きく伸び、40代以降も経験を積むことで着実に年収が上昇していくことが分かります。日本の給与所得者全体の平均年収が460万円であることを考えると、経理は安定して平均以上の収入が期待できる職種といえるでしょう。
また、実務経験の有無でも年収は大きく変動します。
上図を見ると、未経験の場合の月収は27.04万円です。5年以上経験を積むと、31万円を超え、15年以上になると36万円超えも目指せます。
経理職のキャリアパスは多岐にわたります。一つは、経理部門内で専門性を高め、管理職を目指すスペシャリストの道です。また、経理の経験を活かして財務や経営企画、内部監査といった関連部署へキャリアを広げるゼネラリストの道もあります。
最終的には、企業の財務戦略を担うCFO(最高財務責任者)を目指すことも夢ではありません。さらに、公認会計士や税理士の資格を取得して独立・開業する選択肢もあります。
出典元:厚生労働省の職業情報提供サイト|job tag(2025年9月)
出典元:令和5年分民間給与実態統計調査|国税庁(2025年9月)
経理職への転職は未経験でも可能?
未経験から経理職への転職は十分に可能です。特に20代であれば、ポテンシャルを重視して採用する企業は多く存在します。
人手不足によりポテンシャルを重視する中小企業やベンチャー企業、また研修制度が充実している大手企業のグループ会社などでは、経験よりも将来性を評価する傾向があります。こうした企業の第二新卒・若手向け求人は、未経験者にとって狙い目といえるでしょう。
ただし、専門職であるため、最低限の知識と意欲を示す準備が不可欠です。
未経験者が経理への転職を成功させるためには、最低でも日商簿記2級は取得しておきましょう。ほかにも、前職で培ったポータブルスキルをアピールすることも重要です。たとえば、営業職の目標達成意欲や、事務職の正確なPCスキルなどは経理でも活かせます。ただし、未経験者採用は長期的な育成を前提とするため、一般的に30代前半までが有利とされており、年齢を意識したキャリアプランニングが求められます。
他にも、外資系を目指すならUSCPA(米国公認会計士)、税務のスペシャリストを目指すなら税理士、そして会計資格の最高峰である公認会計士など、目指すキャリアに応じた資格を取得することで市場価値を大きく高められます。
経理転職を成功させるポイント
転職活動を成功させるためには、戦略的な準備が必要です。経理転職を成功させる人には、「なぜ経理としてどうなりたいのか」という明確なキャリアプラン、簿記2級などの客観的なスキル・資格、そして自身の経験と経理業務を結びつけて語れる論理的な自己PR能力といった共通点があります。
志望動機では「なぜ経理職なのか」に加えて「なぜその会社なのか」を具体的に伝えることが重要です。たとえば、「貴社の〇〇という事業の成長を財務面から支えたい」といったように、企業研究に基づいた熱意を示すといいでしょう。面接では、これまでの経験から得たスキルが入社後にどう貢献できるかを具体的に説明できるように準備しておくのが大切です。
一方で、経理の転職では失敗しやすいパターンがあります。年収や待遇だけで企業を選んでしまい入社後にミスマッチが起きる、自己分析が不十分で志望動機が曖昧になる、資格取得だけで満足してしまい実務への意欲を伝えられない、といった点です。こうした失敗を避けるためにも、自分のキャリアプランを軸に、多角的な視点で企業を研究し、自分の言葉で熱意を語れるように準備しておきましょう。
求人の探し方とおすすめ転職エージェント
効率的に転職活動を進めるためには、自分に合った求人の探し方を知ることが大切です。求人を探す主な手段として、求人数が豊富な大手総合型転職サイトや、専門的な相談が可能な経理・管理部門特化型エージェントなどがあります。まずは総合型サイトで市場感を掴み、その後特化型エージェントで具体的な相談を進めるのがいいでしょう。
求人情報を探すには、公開求人と非公開求人の違いを理解しておくことが重要です。公開求人は誰でも応募できる一方、非公開求人は転職エージェントの登録者のみに紹介される求人です。企業の重要ポジションや好条件の求人は、応募の殺到を避けるために非公開で募集されることが多いため、転職エージェントに登録することで、思わぬ優良求人に出会える可能性が高まります。
経理職の転職においては、特化型エージェントの活用がおすすめです。経理業界に精通したキャリアアドバイザーから専門的なアドバイスを受けられるほか、一般には出回らない質の高い非公開求人を紹介してもらえる可能性があります。また、経理職の選考で評価されるポイントを踏まえた書類添削や面接対策など、手厚いサポートも期待できます。
外資系・上場企業・中小企業の経理職比較
企業形態ごとの経理職の特徴を比較し、以下の表にまとめました。ぜひ、自分に合ったキャリア選択の参考にしてみてください。
外資系企業 | 上場企業 | 中小企業 | |
主な業務 | 親会社へのレポート、英文経理、資金管理 | 決算開示、監査対応、内部統制、税務申告 | 日常経理から決算、給与計算、総務など広範囲 |
求められるスキル | 英語力(読み書き・会話)、国際会計基準(IFRS等)の知識 | 連結決算、開示業務、J-SOX対応などの高い専門性 | 幅広い業務に対応できる柔軟性、コミュニケーション能力 |
年収傾向 | 実力主義で高い | 比較的高く、安定している | 企業によるが、一般的には外資系企業や上場企業よりも低い傾向 |
キャリアパス | 経理マネージャー、コントローラー、CFO | 経理スペシャリスト、経営企画、内部監査 | 経理部長、管理部長、経営幹部 |
向いている人 | 語学力を活かしたい人、実力で評価されたい人 | 専門性を深めたい人、安定した環境で働きたい人 | 幅広い経験を積みたい人、経営に近い立場で働きたい人 |
まとめ|経理転職でキャリアと年収アップを実現しよう
経理職は専門性が高く、安定した年収アップが期待できる職種です。未経験からでも経理職になれますが、日商簿記2級の取得など、入念な準備が必要となります。
また、企業規模によって業務内容や求められるスキルは大きく異なるため、自分のキャリアプランに合った選択をすることが重要です。
転職活動においては、転職エージェント、特に経理職に特化したエージェントの活用が効率的な情報収集と選考対策において役立ちます。
経理職は企業の成長を支えるやりがいのある仕事であり、適切な準備と戦略的なアプローチにより、理想のキャリアを築いていけるでしょう。