
大学別平均年収ランキング|理系・文系別年収データ&企業別の違い
大学のブランドは、卒業後のキャリアや年収にどれほど影響するのでしょうか?「大学別平均年収」は、就職活動や転職を控えた人々にとって、将来を見据えたキャリア戦略を立てる上で非常に重要なデータです。
この記事では、最新の調査データを基に、大学別の平均年収ランキングを徹底解説。理系・文系別の違いや、人気企業における出身大学別の年収データ、さらには年収アップに繋がるキャリア設計のヒントまで、網羅的にご紹介します。
大学別平均年収について
大学別平均年収とは、特定の大学の卒業生が獲得している平均的な年収を示すデータです。この数値は、企業の有価証券報告書や転職サイト、専門の調査機関などが公開しているデータを基に算出されます。
ただし、これはあくまで全体の平均であり、個人の年収は所属する業界・企業・職種、個人のスキルや実績などによって大きく変動します。
大学別平均年収が注目されている理由
大学別平均年収が注目される背景には、日本の雇用慣行に深く根ざした学歴社会の存在があります。特に、高年収が期待できる大手企業や金融機関、総合商社などでは、採用活動において出身大学が依然として重要な評価基準となるケースが多いです。
また、同じ大学の卒業生で形成される強固なネットワーク(OB・OG)も、就職や転職、その後のキャリア形成において、貴重な人脈として有利に働くことが少なくありません。
出身大学が年収に与える影響
出身大学が年収に影響を与える主な理由は、「就職機会の広がり」と「入社後の昇進スピード」にあります。
難関大学の学生は、就職活動の段階で大手企業や専門性の高い職種へのアクセスが容易になります。これは、企業側が特定の大学に対して特別な採用ルートを設けたり、説明会を積極的に開催したりするためです。
さらに入社後も、大学のブランドが個人の潜在能力を測る指標として、上司などから評価されるケースがあります。高学歴であるほど、早い段階で責任あるポジションを任されたり、重要なプロジェクトに抜擢されたりする機会が増え、結果的に昇進が早まり、年収アップに繋がるのです。
ただし、最終的な成功は個人の努力と実績に大きく依存することを忘れてはいけません。
2025年最新版!大学別平均年収ランキング
日経転職版が2025年に実施した調査では、大学別平均年収ランキングは以下のようになります。
出身大学別年収ランキング(万円)
順位 | 大学名 | 平均年収 |
1 | 東京大学 | 1266.9 |
2 | 一橋大学 | 1250.6 |
3 | 京都大学 | 1122.4 |
4 | 慶應義塾大学 | 1117.0 |
5 | 大阪大学 | 1064.8 |
6 | 神戸大学 | 1049.5 |
7 | 東京工業大学 | 1043.6 |
8 | 早稲田大学 | 1028.1 |
9 | 九州大学 | 952.7 |
10 | 横浜国立大学 | 946.9 |
※2024年4月〜2025年3月までの間に登録した新規会員を対象
参照:大卒年収調査2025年度版|日経転職版(2025年8月時点)
上表のように、ランキングの上位には東京大学・一橋大学・京都大学といった名だたる難関大学が名を連ねています。また、トップ8までが平均年収1,000万円を超えており、受験偏差値の高さがそのまま年収に反映される傾向にあると言えるでしょう。
理系・文系別の年収比較
一般的に、理系学部出身者の平均年収は文系学部出身者よりも高い傾向です。独立行政法人経済産業研究所「RIETI」の調査によると、文系出身者の平均年収が約559万円であるのに対し、理系出身者は約600万円と、約40万円の開きがあります。
理由としては、IT・製薬・メーカー・研究開発といった専門性の高い分野で、理系の技術や知識が希少価値として高く評価されるためです。理系の技術職や専門職は、景気に左右されにくい安定した需要があり、年収が上がりやすい傾向があります。
参照:理系出身者と文系出身者の年収比較|独立行政法人経済産業研究所「RIETI」(2011年3月調査結果)
理系・文系別大学別年収の違い
理系分野で高い年収を誇る大学には、東京工業大学や大阪大学、東北大学などが挙げられます。特に、IT・AI・半導体などの成長産業においては、大学で培った専門性が高く評価され、高年収に直結する傾向です。
一方、文系学部出身者の年収は、理系に比べて職種や業界によるバラつきが大きいのが特徴です。その中でも、慶應義塾大学や早稲田大学、一橋大学など上位校の卒業生は、金融・総合商社・コンサルティングといった高年収が期待できる業界に多く進むため、平均年収も高くなります。
また、企業経営・経済学の知識を活かして、経営企画やマーケティングなどの部門で活躍する人材も見受けられ、文系出身者でも高年収を実現できるケースは少なくありません。
大学別年収ランキングのデータ分析
大学別年収データは、日経転職版や大手転職サイトが独自に調査・発表しています。これらのデータは、特定の期間における卒業生を対象としたり、回答者の年齢や職種を限定したりして算出されるため、分析の際は注意が必要です。
例えば「特定の転職サービスに登録した30代のビジネスパーソン」を対象にしたデータと、「大学卒業後10年目の正規雇用者」を対象にしたデータでは、結果に大きな違いが出る場合があります。データの信憑性を判断する際には、調査方法や対象をよく確認することが重要です。
データの解析方法とキャリアプランへの活用
大学別年収データをキャリアプランに活用するには、ランキングの順位だけを見るのではなく、その内訳の深い分析が鍵となります。例えば、ある大学の平均年収が高い場合、それはその大学の卒業生が、平均年収の高い業界に多数就職しているのが要因かもしれません。
データの内訳を読み解くことで、「高年収を目指すには、どのような業界・企業を目指せば良いのか」といった、より具体的なキャリア戦略の構築が可能になります。また、希望する業界や職種にどの大学の卒業生が多く、どのようなキャリアパスを歩んでいるかを分析することも、将来の年収アップに向けた有益な情報となります。
学歴以外の年収を左右する要因
年収は学歴だけで決まるわけではありません。同じ大学の卒業生でも、業界や職種が異なれば、年収に大きな差が出ます。例えば、ITエンジニアと公務員では、大学のブランドに関わらず年収相場は大きく異なります。
大学別年収データは、あくまで全体的な傾向を示す参考情報として捉え、自分の興味や適性、将来性を見据えた上で、個別にリサーチすることが重要です。学歴に加えて、個人のスキル・実績・キャリアパスが、最終的な年収を決定する重要な要素なのを認識しておきましょう。
企業別の大学別年収データ
ここからは、日本を代表する企業「トヨタ自動車」「ソニー」「NTT」の平均年収と、出身大学の関係について解説します。
トヨタ自動車
平均年収:約983万円(2025年3月31日現在)
大学別就職者数
順位 | 採用大学 | 就職者数 |
1 | 名古屋大学 | 52人 |
2 | 名古屋工業大学 | 24人 |
3 | 京都大学 | 24人 |
4 | 大阪大学 | 21人 |
5 | 同志社大学 | 20人 |
参照:企業ごとの大学別就職者数 トヨタ自動車|大学通信(2024年度)
ソニー
平均年収:約1,118万円(2025年3月31日現在)
大学別就職者数
順位 | 採用大学 | 就職者数 |
1 | 東京大学 | 58人 |
2 | 慶應義塾大学 | 44人 |
3 | 東京理科大学 | 43人 |
4 | 大阪大学 | 42人 |
5 | 早稲田大学 | 41人 |
参照:有価証券報告書|ソニーグループ株式会社(2024年度)
参照:企業ごとの大学別就職者数 ソニーグループ|大学通信(2024年度)
NTT
平均年収:約1,069万円(2025年3月31日現在)
大学別就職者数
順位 | 採用大学 | 就職者数 |
1 | 東京大学 | 58人 |
2 | 慶應義塾大学 | 44人 |
3 | 東京理科大学 | 43人 |
4 | 大阪大学 | 42人 |
5 | 早稲田大学 | 41人 |
参照:企業ごとの大学別就職者数 NTT|大学通信(2024年度)
上記のデータから、トヨタ自動車では地元の名古屋大学からの採用が多く、地域性も影響していると考えられます。一方、ソニーやNTTは、東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学といった全国的な難関大学からの採用が目立ち、学歴を重視する傾向がうかがえます。
これらの企業は、いずれも平均年収が1,000万円前後に達しており、出身大学のブランドが就職機会に影響を与え、結果的に高年収に繋がりやすいと言えるでしょう。ただし、年収は職種や役職によって大きく変動するため、学歴だけでなく個人のスキルや実績が最終的な年収を決定する重要な要素であることは言うまでもありません。
転職市場における大学の評価
新卒採用とは異なり、転職市場では個人のスキルや実績が最も重視されます。しかし、特定の難関大学出身者は、その潜在能力や論理的思考力が評価され、未経験の職種に挑戦する場合でも有利に働くことがあります。
また、上位大学の卒業生が多く在籍する企業は、一般的に高年収である可能性が高いです。そのため、転職先を検討する際には、企業の出身大学データを参考にすることが、将来の年収アップを考える上で有益な情報となります。
企業が求める人材と出身大学
企業が求める人材像は、事業内容や組織文化によって大きく異なります。例えば、最先端の技術開発を重視する企業は、東京工業大学や京都大学といった理系大学の卒業生を積極的に採用する傾向があります。一方、グローバルな事業展開を目指す企業は、東京外国語大学や上智大学など、国際的な視野を持つ大学の卒業生を求める傾向が強いです。
出身大学は、その人の潜在能力や学習意欲を測る一つの指標であり、採用後のキャリアや年収にも影響を与えることがあります。企業は、特定の大学の卒業生が持つ知識やスキル、そして共通の価値観を期待して採用活動を行うため、結果として年収データに反映されることになります。
大学別年収データの活用法
自身の出身大学の平均年収データを参考にすることで、自身の市場価値を客観的に評価できます。もし現在の年収が平均を下回っている場合は、自身のスキルセットを見直し、スキルアップや資格取得を検討する良い機会となります。
また、自身の出身大学の卒業生が多く活躍している企業をリサーチし、転職のターゲットとすることも有効な戦略です。データは単なる比較対象ではなく、具体的な行動に移すための羅針盤として機能します。
転職活動においては、自身の出身大学の年収データを参考に、自分の市場価値を客観的に評価しましょう。もし自分の年収が平均を下回っている場合は、スキルアップや資格取得、あるいは年収の高い業界・企業への転職を検討する良い機会となります。
転職活動と大学別年収の関係
転職市場では、新卒採用に比べて出身大学の評価は薄れる傾向ですが、完全に無視されるわけではありません。特に、職務経験が浅い第二新卒や、未経験の職種にチャレンジする際は、出身大学が自身のポテンシャルや基礎的な学習能力を測る指標となる場合があります。
また、転職先の企業を検討する際、上位大学出身者が多く在籍している企業に注目するのも一つの方法です。こうした企業は、一般的に平均年収が高い傾向にあるため、将来的な年収アップを狙う上で良い候補となり得ます。
転職時に出身大学をどう活用するか
転職活動において、出身大学は自身の強みを補完する要素として活用できます。単に大学名を述べるだけでなく、「論理的思考力がある」「学習意欲が高い」といった自身の能力を裏付ける材料として使いましょう。
面接では、大学で学んだ専門知識や、ゼミでの研究内容を具体的なエピソードとして語ることで、自身の能力を説得力を持ってアピールできます。例えば、「大学の〇〇ゼミでの研究を通して、課題解決能力を培いました」といったように、学歴を単なる肩書きではなく、スキルセットの一部として提示することが重要です。
大学別年収データから見る転職市場の動向
大学別年収データの分析は、転職市場の動向を読み解く上で非常に有効です。
例えば、理系大学の卒業生の年収が上昇傾向にある場合、ITや技術系の職種が市場で高く評価されている状況なのがわかります。このようなデータを読み解くことで、将来性のある業界や、年収アップが見込める職種を特定できます。
年収データの分析はキャリアチェンジのヒントになります。自身のキャリアを長期的に考え、どの業界・職種へ進むべきかを判断する際に、大学別の年収データは貴重な羅針盤となるでしょう。
まとめ|大学別年収ランキングを意識したキャリア設計
大学別の平均年収ランキングは、あくまで一つの参考データです。しかし、深く分析することで将来のキャリア設計に大いに役立ちます。
理系・文系の年収差や、企業・業界別の採用傾向を読み解けば、高年収を目指すための具体的な進路が見えてきます。特に、技術職や専門職は市場価値が高まりやすく、将来の年収アップに繋がりやすい傾向です。
学歴が与える影響は小さくないものの、最終的には個人のスキルや実績が年収を決定します。大学別年収データを羅針盤として、自身の適性や興味に基づいた業界・職種を選び、常にスキルアップを続けることが、理想のキャリ