自ら課題を見つけ、仕事を創り出す。味の素社の変革期を牽引するDXコンサルタントの挑戦
2025/08/29

自ら課題を見つけ、仕事を創り出す。味の素社の変革期を牽引するDXコンサルタントの挑戦

食品やアミノサイエンス®といった領域で世界中の人々の暮らしを支える味の素社。100年以上の歴史を持つ同社が今、大きな変革期を迎えています。全社的にデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ、キャリア採用も積極的に行うなど、未来に向けた組織づくりを急ピッチで進めています。

 

今回は、そんな同社のDX推進部で、業務改革やデジタルサービス開発、生成AI利活用推進を担う先進ITグループで、シニアマネージャーを務める新城さんにお話をお伺いしました。

 

新城 功久様

コーポレート本部 DX推進部 先進ITグループ シニアマネージャー

 

新卒でエネルギー系のインフラ企業に入社。グループ会社に出向し、システム開発・実装を経験したのち、本社戦略部門にてデジタル活用推進・実行などに従事。その後、大手小売企業に入社。ECサイトや会員向けアプリの開発責任者等を歴任。2024年7月より現職。

※DX推進部の全体像と取り組みについてのインタビューはこちらから
※AIコンサルタント 高木様・髙瀬様へのインタビューはこちらから

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異色のキャリアで見出した「本当にやりたいこと」

―まず、これまでのキャリアについてお伺いさせてください。エネルギー業界大手から小売大手、そして現在の味の素社へと、非常にユニークなキャリアを歩んでいらっしゃいますよね。

 

新城様:最初のキャリアはエネルギー系のインフラ企業で、グループ会社に出向し、BtoC向けデジタルサービス開発・実装を4年間経験し、その後本社の家庭向け営業の戦略・計画を担う部門で、デジタルを活用したオムニチャネル化による販売計画の立案など、事業企画に近い業務を3年半ほど担当しました。

 

―インフラ業界という安定した環境から、転職を考えられたきっかけは何だったのでしょうか?

 

新城様:当時は電力自由化という大きな変革期にあたり、IT投資も活発でさまざまな挑戦ができました。しかし、それが少しずつ落ち着いて運用フェーズに入っていく中で、自分自身はもっと変化の激しい環境に身を置きたいという気持ちが強くなっていきました。そんなとき、小売業界に目を向けました。IT投資の規模が想像以上に大きく、変化も激しい。ここで挑戦してみたいと思いました。特に、インフラ業界にいると直接モノを売る商売の知識や経験が得にくいと感じていたので、「IT活用が競争力の源泉となる世界で自分の力を試したい」という思いが強かったですね。

 

―そこで次のキャリアとして小売業界を選ばれたのですね。その企業ではどういった役割を担われていたのでしょうか?

 

新城様:ECサイトや、会員向けアプリのシステム開発責任者を務めていました。入社当時は私を含めてたった3人で、国内外のECとアプリを担当していました。忙しい分、大きな裁量を持って働くことができました。3年半かけて、障害が多かったシステムを一通り刷新し、組織体制も強化でき、内製化も進んでいました。ある程度やり切ったな、という感覚がありました。

海外で感じた日本のポテンシャル。「伝えられていない価値」を届けたい

―2社目の大手小売企業でも大きな成果を上げられていた中で、次のキャリアを考えられたきっかけは何だったのでしょうか?

 

新城様:実は、明確に転職活動をしていたわけではなかったです。きっかけは、海外出張で東南アジアを訪れたことでした。ショッピングモールはすごい活気で、若者も多く、日本の飲食店が絶大な人気を集めていました。その光景を見て、日本の製品やサービスは本当に素晴らしいのに、その魅力がきちんと伝わっていないことで機会を逃している、と感じていました。

 

例えば、味の素社の「クノール® カップスープ」コーンクリームは、原料のコーンを最も美味しい時期に収穫し、24時間以内にパウダー化するという、とてつもないこだわりを持って作られています。でも、ほとんどの人はその事実を知りませんよね。こうした“クレイジー”とも言えるこだわりが伝われば、もっと多くのファンが生まれるはずです。味の素社のような日本のメーカーが主体となってそうした価値を届けることができれば、日本経済全体の活性化にも繋がるのではないか、と考えるようになりました。特に、お客様との繋がりを直接作るD2C(Direct to Consumer)の領域に、ものすごい伸びしろを感じていました。

 

―その想いが、味の素社への転職に繋がったのですね。

 

新城様:そんなことを考えていたときに、たまたま転職サイトで味の素社からスカウトメールが届いたのが直接のきっかけです。そこから改めて食品メーカーについて調べる中で、先ほどお話ししたような想いが明確になっていきました。

味の素インタビュー

入社後のプレゼンで自ら掴んだ大規模プロジェクト

―味の素社に入社されたのは2024年7月とのことですが、入社当初からD2C事業を担当されることが決まっていたのでしょうか?

 

新城様:明確には決まっていませんでした。最初のオファーは、DX推進部の中でマーケティング部門を支援するチームのマネジメントやPJ管理、IT・DX人材の育成という少し漠然としたものでした。具体的な大きなプロジェクトの話はまだありませんでした。

 

入社後、自分が外から見て感じていた味の素社の課題、つまり「素晴らしい価値がお客様に伝わっていない」という点と、それを解決するためのアイデアを、デザインツール(Figma)を使って具体的なプロダクトイメージの形に落とし込み、マーケティング部門の役員や責任者に『こういうものを作れば、顧客体験はもっと良くなるはずです』とプレゼンする機会があり、その提案が評価され、「コアメンバーとして一緒にやってほしい」と選出いただき、プロジェクトに本格的に参画することになりました。

 

―ご自身の提案から仕事が生まれた、ということですね。まさに社内コンサルタントのような動き方ですね。

 

新城様:上から与えられた仕事をするというより、自分で課題を見つけて周囲と関係性を築きながら動くことが歓迎される環境だと思います。入社前に当時のDXの部長からも、「キャリア入社の方には、足りない手足を補うのではなく、会社全体に良い変化をもたらし、ビジネスに直接貢献する変革をリードしてほしい」という言葉をいただきました。組織づくりも含めて、これから大きく変えていけるという期待感が、入社の決め手の一つにもなっています。

単品リピートからファンベースへ。2か月半でまとめ上げた事業戦略

―現在、新城さんが最も注力されているD2C事業について、改めて詳しく教えていただけますか?

 

新城様:私が担当しているのは、D2C事業のビジネスモデルそのものを変革するプロジェクトです。これまで当社のD2Cは、特定の商品を繰り返し購入していただく”単品リピート型”が中心で、広告や電話での販売がメインでした。しかし、その市場の競争が激しくなり、ビジネスモデルの変革が急務となっていたのです。

 

―新しいビジネスモデルは、どのような形を目指しているのでしょうか?

 

新城様:目指しているのは”ファンベース”のモデルです。当社には、食に関するレシピや知識、スポーツや健康・美容に関連する多種多様な商品やサービスといった、たくさんの強み(アセット)があります。しかし、それらがバラバラに存在していて、お客様に一貫した体験として届けられていませんでした。そこで、これらのアセットを横串で繋ぎ、お客様と友人のような信頼関係を築くことで、結果的にファンになってもらい、店頭やD2Cでの売上に繋げていこう、という取り組みです。

 

―非常にスピーディーにプロジェクトが進んだとお伺いしました。

 

新城様:私が参画したのが2024年9月で、そこから経営会議に向けて事業戦略を練り上げました。D2C事業部長と私が中心となり、関係部署を巻き込みながら、約2ヶ月半で戦略をまとめ上げ、経営会議で無事に承認を得ることができました。このスピード感は、関係者の皆さんと密に連携できたからこそ実現できたと感じています。非常に大変でしたが、このプロセスを通じて、社内のキーパーソンと強固な関係を築けたことは大きな財産です。

 

例えば、これまで当社がエンドユーザー向けのイベントを企画する際には、イベントを主催する事業部の製品を中心に提供することが一般的でした。しかし、直近行われたウォーキングイベントでは、部署の垣根を超えて、イベント当日に「ほんだし®」を使った豚汁や、日焼け止めとして「JINO」のサンプルを提供したり、スポーツがより楽しくなるデジタルサービスを紹介したりするなど、“オール味の素”での活動が進んでいます。こうした地道な取り組みを積み重ねていく段階で、大きな成果はこれからですが、着実に変化は起きています。

味の素インタビュー

現場の信頼を勝ち取る「アウトプット」への拘り

―さまざまな部署を巻き込む上で、最も大切にされていることは何ですか?

 

新城様:必ず最終形のアウトプット、つまり目に見える具体的なものを作りながら話を進めることです。口頭やパワーポイントでの説明だけだと、どうしてもお互いのイメージにズレが生じてしまいます。例えば、データ分析の話なら実際にダッシュボードを作って見せながら「こういうデータがリアルタイムで見えると、もっと打ち手が増えていきませんか?」と話したり、先ほどのサービス提案のように、具体的なデザインイメージを見せたりします。そうすることで、現場の方も「こんなものができるなら、ぜひ一緒にやりたい」と前向きになってくれます。

 

―エネルギー、小売、そして食品メーカーと、全く異なる業界でDXを経験されています。その中で感じる「食品メーカーならではのDXの面白さ」とは何でしょうか?

 

新城様:やはり扱えるデータの幅広さですね。小売やエネルギー業界でも顧客接点のデータはありますが、食品メーカーはそこからさらに踏み込んで、人々の食の好み、健康状態、栄養に関するデータなどを活用できる可能性があります。工場のサプライチェーンからお客様の食卓まで、全てが繋がっている。この膨大で多様なデータを活用して、新しい価値を生み出せるのが最大の面白さだと感じます。

 

―歴史のあるメーカーだと、新しい取り組みに対して社内の理解を得るのが大変なのでは、と懸念される方もいるかもしれません。その点はいかがでしょうか?

 

新城様:確かに伝統的な企業ですから、縦割りの意識が強い部分もあります。真正面からぶつかっても、弾かれてしまうこともあるかもしれません。しかし、今は会社全体として生成AIの活用など、新しい技術への期待感が非常に高いです。「生成AIやCopilotをどう業務に活用していいか分からない」という現場の悩みに対して、先ほどお話ししたような具体的なアウトプットを見せながら「こうすれば、もっと良くなりますよ」と提案することで、突破口を開くことができます。また、味の素社の特徴として、一つ成功事例ができると、みんなが「それ、いいね!」と一気に乗っかってきてくれる文化があります。だから、まずは小さくても成功事例を作ることが重要だと考えています。

 

―キャリア採用で入社された方が活躍しやすい風土があるのですね。

 

新城様:そう思います。私自身、これまで仕事をする上で、相手がプロパー社員かキャリア採用か意識するようなことはありません。現在、年間採用者の内、キャリア採用の占める比率は、24年度で49%となっており、実際に組織もそうなってきています。会社として本気で変わろうとしている姿勢が、外から見ていても魅力的に映りました。

 

―改めて、新城さんのチームではどのような方と一緒に働きたいと考えていますか?

 

新城様:常にポジティブに物事に取り組める方ですね。事業会社では、専門領域の仕事だけではなく、さまざまな役割を担う必要があります。ですから、「システムの仕事だけをやりたい」という方よりも、自分のスキルを活かして、いかに事業に貢献できたか、いかに生活者の食や健康に貢献できたか、という成果そのものに喜びを感じられる方が、当社の環境にはフィットすると思います。

 

―ECの専門知識を持つ新城さんのような方が、さらに他の領域にもいらっしゃると、組織はもっと強くなりそうですね。

 

新城様:まさしくその通りです。私がECの知識を持っているからこそ、周りが耳を傾けてくれるように、コールセンターや物流や工場の生産管理といった、他の分野の専門知識(ドメイン知識)とITスキルを兼ね備えた方が仲間になってくれると、出せる成果は格段に大きくなるはずです。今回の募集も、私のチームではマーケティング領域のDXコンサルタントを求めていますが、会社全体としてはさまざまな業務領域で、ITを活用して早期に成果を出す専門家を必要としています。

味の素インタビュー

あなたの専門知識と情熱が「食と健康」の課題を解決する

―最後に、味の素社への転職を検討されている求職者の方へメッセージをお願いします。

 

新城様:私自身はプライベートで決して多趣味な人間ではないのですが、食事をしながら家族と過ごす時間は何よりの楽しみです。そして、その楽しみの土台にあるテーマが「食と健康」です。これは多くの人々の生活に密着した、非常に重要なテーマです。食品業界は伝統的な側面もありますが、だからこそDXで解決できる課題が山のようにあり、活かせるデータも豊富に眠っています。

ここで作った成功モデルは、日本国内だけでなく、グローバルに展開できる可能性も秘めています。世の中の「食と健康」に関わる課題を、自分の手で解決したいという情熱のある方、そして、これからの組織を担うIT・DX人材の育成に興味がある方は、ぜひ私たちの仲間になって、一緒に未来の味の素株式会社を創っていきましょう。

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