【インタビュー】不動産を”モノ”から”サービス”へ。三井不動産の目指すDXとは
2023/07/20

【インタビュー】不動産を”モノ”から”サービス”へ。三井不動産の目指すDXとは

各企業のDX採用の取り組みについて知る本連載。

今回は三井不動産株式会社のDX本部にて事業戦略、業務統括を担う中野様と、同じくDX本部にて人材開発・広報等を担う尾崎様に、三井不動産のDXに対する考え方や、DX人材の採用や育成、活躍人材などについてお話を伺いました。

 

中野 諭 様

三井不動産株式会社 DX本部DX一部 企画グループ長

 

1998年に三井不動産株式会社に入社。

新卒で情報システム部に配属。その後、住宅分譲事業推進、海外事業推進を経て、2020年度より現職。DX本部全体の事業戦略・業務統括を担う。

 

尾崎 純子 様

三井不動産株式会社 DX本部DX一部 企画グループ 技術統括

 

2015年に三井不動産株式会社に入社。

システム開発、データ活用推進などを手がける。2022年度から現職。技術職の人材開発、全社DX研修の企画、DX関連の広報活動などを担当。

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三井不動産におけるDXの取り組み

ー貴社ではこれまで幅広い領域でDXの取り組みをされていますが、改めてDX推進の背景をお伺いできますでしょうか。

 

尾崎様:当社では2017年を”DX元年”としています。ご存じの通り当社の事業領域は多岐にわたりますが、EC事業『&mall(アンドモール)』やシェアオフィス事業『ワークスタイリング』など、それまでの既存事業とは別の形で新しいサービス提供を開始したのが2017年でした。

また、IT技術職掌を新設し、DX推進を担うデジタル分野に秀でた人材の採用強化を開始したのも2017年でした。

 

翌年2018年に発表した長期経営方針「VISION 2025」では、「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーションする」と掲げ、トップのコミットメントのもと、

・既存事業での一層のICT活用を通して、顧客満足度のさらなる向上を実現する。

・不動産業ならではのICT活用を実現し、新しいマーケット、新たな価値を創造する。

・街・オフィス・住宅といった空間でのデータの蓄積、活用に取り組む。

が会社の方針として明確になりました。

 

また、同時に発表したDXの戦略方針「DX VISION 2025」では、顧客志向で社会課題を解決する「事業変革」と、生産性を向上し従業員満足度を高める「働き方改革」の2つを柱とし、全社をあげて戦略的にITで変革を実現していくという意思表示がされました。

 

中野様:現在のDX本部はもともと情報システム部門としての役割が主でしたが、様々な事業を変革していくという役割が加わり、2017年には情報システム部からITイノベーション部へ、そして2020年にはDX本部へと名称も変わり、今も進化を続けています。

※三井不動産「DX白書2022」より抜粋

 

 

ーこれまでの約6年間で、どのようなDX事例が生み出されたのでしょうか。

 

尾崎様:現在公開している『DX白書』に取り組み事例が一部掲載されています。

中でも「柏の葉」のデータプラットフォームは「DX銘柄2022」を、ららぽーと福岡に象徴される次世代商業施設の実現に向けた取り組みは「2022年度IT賞(顧客・事業機能領域)」を受賞し、外部からも評価をいただいています。

 

当社は、オフィス、ホテル・リゾート、住宅、物流施設、商業施設といった多様なアセットタイプを保有し、「リアル」を強みとする会社ですが、既存事業においては、そこに「デジタル」を掛け合わせる「リアル×デジタル」によってDXを推進しています。

 

新規事業においては「ビジネスイノベーション推進部」などと協力しながらDX施策を進めており、これまでにない新たな取り組みや新しいサービスが続々と生まれています。

また、働き方改革につながる業務システムの開発やインフラ基盤整備、セキュリティ強化にも取り組んでいます。

 

中野様:当社の場合は商品の幅が広いため、DX推進においては複合的に考える必要があります。

例えば、東京ドーム周辺には商業施設も、ホテルも、エンターテイメントもあり、一つの街の中で、それらをどう組み合わせ最適化しながらDXを進めていくかが大きなテーマになります。

 

また、当社グループが運営する他の商業施設やホテルと東京ドームとの間で、相互にノウハウを共有しながら実現していくのは総合ディベロッパーならではの取り組みと言えます。

 

DX白書

※三井不動産「DX白書2022」より抜粋

 

 

ー貴社が大事にされている「リアル×デジタル」によって新たな価値提供ができた代表的な事例についてもお聞かせください。

 

尾崎様:『ワークスタイリング』は新しいビジネスとして比較的早い時期に構築され、現在150の拠点があり、契約企業は1000社、会員数は26万人に上ります。

企業の働き方改革を推進するサテライトオフィスとして、「リアル×デジタル」でお客様に新しい価値を提供することができた、わかりやすい事例だと思います。

 

商業施設においては、オムニチャネルECモール『&mall(アンドモール)』があります。お客様は『&mall』で下調べをした後に三井ショッピングパークで買い物をしたり、逆に三井ショッピングパークで買い物をした際に決めきれなかった商品を後日『&mall』で購入したりというように、リアルとデジタルを相互に利用できます。

こちらも「リアルとデジタルを組み合わせることで新しい価値を付加し、サービスレベルを高める」という発想で進められた良い事例だと思います。

 

中野様:当社の企業ロゴのデザインは「&」がモチーフになっています。どちらか一方を選択するのではなく両方をうまく組み合わせwin-winを目指すという想いがあり、この「&」をロゴやサービス名に使っています。DXにおいても同様で、三井不動産の強みであるリアルのアセットにデジタルを組み合わせたサービスを提供することで『不動産業そのものをイノベーションする』という経営方針を体現しようとしています。

 

ーDX本部が貴社の事業において重要な役割を担っていることが理解できました。実際のプロジェクトはどのような形で進められているのでしょうか。

 

中野様:事業部側とDX本部側、双方でプロジェクトマネージャーを立て、事業部とDX本部が一体となって進めています。

 

例えば新規事業を考えるときには、顧客視点やデータ活用の視点で事業を創造する思考力、最小限のプロダクトで素早く価値を検証するMVP(Minimum Viable Product)開発力、プロダクトを顧客に届けてそれ以降も改善していくグロース・ハック力など、さまざまな能力が必要です。また、情報管理の観点からサイバーセキュリティや効率的で拡張性のある高度なインフラの知識も必要です。事業部側は、そういったスキルや専門的な知識をもっていないことも多いですし、DX本部側から提案し、リードするよう心掛けています。

 

尾崎様:大規模で長期的な案件の場合は、人事異動により事業部門とDX本部の兼務になるケースもあります。事業部側はITの知識をつけ、DX本部側は事業を理解してお互いを知りながらコラボレーションしています。

 

また、外部パートナーの方々とも必要に応じて連携を取らせていただいています。例えば、セキュリティやインフラの技術をもった企業の方にノウハウをご提供いただいたり、スタートアップ企業とコラボレーションして新サービスを考えるような新たな挑戦を行ったりしています。

 

 

三井不動産のキャリア採用の特徴

ー2017年から技術職のキャリア採用を継続されていますが、それだけ必要とされているということでしょうか。

 

尾崎様:プロジェクトは徐々に多様化し、大規模になり、かつ難易度も高くなっていますので、対応できるスキルを持つエキスパート人材が必要です。

システム開発、インフラ構築、セキュリティ、データ活用、マーケティングなど、必要な技術は多岐にわたります。

さらにシステム開発においても、基幹系システムだけではなく、スマホアプリ開発や小規模なWebサービス開発など、プロジェクトによって必要なスキルは異なります。

 

ー求めるDX人材をうまく採用できているのは、どういった理由があるのでしょうか。

 

中野様:当社に入社いただく方の多くは、「三井不動産がもつリアルなフィールドが魅力」だとおっしゃいます。

 

自社のプロジェクトに企画段階から主体的にかかわることができるのは、総合ディベロッパーのDX部門だからこその経験だと思います。三井不動産が手掛ける全ての空間が活躍の場になり、「事業を変革する」「新事業を作る」「社会に影響を与える」それらを大規模に行えるところは当社で働いていただくことの大きな魅力です。

 

また事業領域も多様なので、例えば商業のECをリアル店舗と結びつけたり、物流と結びつけたり、といった広がりも出てきます。関係者が多く調整が大変ではありますが、新しい経験としてスキルアップにもつながるのではないでしょうか。

 

ー改めてこの6年間キャリア採用をされてみて感じる、活躍されている方の特徴はございますか。

 

中野様:高い技術力やITの知見があることは当然のことながら、さらに求められるのは高いコミュニケーション能力とコンサルティング力だと思っています。

事業理解と同時にDXをリードできることが重要で、事業部の意見を受け入れつつ、何らかの提案ができる人は活躍されています。前向きに現場に深く入っていく方は、事業部からも信頼され、プロジェクトのキーマンになっていることが多いです。

 

また、事業部門だけではなく、DXを一緒に実現してくださる外部パートナーの方々とのコミュニケーションも含めた調整能力も大事です。ポジティブかつ積極的に周囲とコミュニケーションできる人間性、スタンスがあると良いですね。

 

三井不動産が考えるDX人材のキャリア形成

ーキャリア構築や育成に関してはどのようにお考えでしょうか。

 

尾崎様:当社では”DXは総合格闘技”だといっています。その名の通り、一つの技ではなく、複数の技を組み合わせて総合的に勝てるようにするという意味です。

 

システム開発もできるがインフラも分かる、データ分析だけでなくマーケティングも分かる、という風にご本人がスキルの守備範囲を広げていくイメージを持っています。

 

また各分野に精通した外部の方を出向者として受け入れたり、あるいは集中的に伴走していただいたりして、内部の人材にそのノウハウ、スキルをトランスファーしていく「外部ナレッジの取り込み」も行っています。

 

ー社内のITリテラシーのばらつきがDX推進のハードルになっているという話もよく伺いますが、貴社ではIT活用の理解を促進する取り組み等はされていらっしゃいますか。

 

尾崎様:技術職に特化したものではありませんが、去年から『DxU(ディーバイユー)』という社内のDX研修を始めております。細かくステップを刻んでおり、初歩的な知識をオンラインで学習するものから、業務上の課題を持ち込んで、実際に解決していくような実践形式のものまで用意しています。

 

「DX白書」は、社外の方々に三井不動産のDXについて理解していただくとともに、社内にDXの可能性を広く知ってもらうための重要なツールと位置づけて作成しています。

また、社内にはDX関連に特化したポータルサイトがあり、DX関連の記事の紹介、新しい取り組みや事例の共有などを行っています。

 

三井不動産

 

三井不動産への応募を検討されている方へのメッセージ

ー最後に、三井不動産様へ応募を検討されているDX人材へ向けて、ぜひメッセージをお願いします。

 

尾崎様:私たちが目指すのは、不動産を”モノ”としてではなく、”サービス”として提供する “Real Estate as a Service”の実現です。

DXを加速させていくうえで、IT技術職の力がとても必要とされています。自らリードするという意志のある方にぜひお越しいただきたいと思っています。

 

中野様:当社のDX本部は情報システム部門とDX部門の両方の機能を持っていることが特徴です。事業変革、働き方改革、大規模なシステム開発、それを支える基盤、といった形で一体となってDXを実現させています。

 

デジタルでできることが増える一方で、リアルの大事さも改めてフォーカスされつつあると感じています。不動産業界も、全てにおいてテクノロジーやデジタルを活用することが多くなり、極めてDX本部の役割は大きく、重くなっていきます。そのような状況で、リアルの不動産にどう付加価値を付けて差別化していくか、デジタルを活かしていけるのか、ぜひ一緒に考えていきましょう。

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