
NHKの中途採用・転職難易度、採用倍率は?
NHK(日本放送協会)は、日本を代表する公共放送機関として、長年にわたり質の高い番組を提供してきた組織です。ニュースや教育番組、大河ドラマ、連続テレビ小説など、多様なコンテンツを制作・放送し、国内外で高い評価を得ています。さらに、放送技術の研究開発やデジタルメディア展開にも積極的に取り組み、時代の変化に対応しながら公共放送の役割を果たし続けています。
そんなNHKは転職市場でも非常に人気が高く、「憧れの企業」として多くの求職者が応募するため転職難易度は高めです。特に、募集枠が少ないうえに即戦力として活躍できる専門スキルを求められるため、しっかりとした対策が必要になります。
※本記事は2025年4月に掲載されました。
※記事中の情報は掲載時点でのWeb情報の公開情報を元に弊社が編集・掲載したものであり、企業の公式見解ではありません。
※組織の詳細や制度等は大きく変更になる可能性があります。ご転職を検討の際は、公式HP等で最新の情報をご確認ください。
そもそもなぜNHKの中途採用倍率はなぜ高いのか?
倍率が高い理由としては、
(1)応募数が多い
(2)高い「専門性」が求められる
(3)面接の通過率が低い
の3点が挙げられます。
(1)応募数が多い
NHK(日本放送協会)は、「大河ドラマ」「連続テレビ小説」「紅白歌合戦」など、日本全国で親しまれている番組を多数制作・放送している公共放送機関です。放送業界での認知度が高く、圧倒的なブランド力と信頼性から、多くの人が「NHKで働きたい!」と憧れを持っています。また、NHKは長年にわたって安定した経営を続けており、テレビ・ラジオ放送だけでなく、NHKプラスやNHKオンデマンドなどのデジタル展開、国際放送など、幅広い事業を展開しています。そのため、「公共性の高い仕事に携わりたい」と考える転職希望者や、記者・ディレクター・エンジニア・コンテンツ制作など、メディア業界・放送ビジネスに興味のある人にとっても、魅力的な選択肢になります。
(2)高い「専門性」が求められる
NHK(日本放送協会)は、単なる「放送局」ではなく、公共メディアとして幅広い情報発信やサービスを展開する組織です。そのため、番組制作や報道、デジタルコンテンツの開発において「公共放送としての信頼性を維持しながら、視聴者に価値を提供するスキル」が求められます。
また、事業の大部分は「受信料収入」によって成り立っていますが、NHKオンデマンドや国際放送などの新たな展開も進めており、デジタル領域やグローバル展開に対応できる人材が必要とされています。そのため、特定のポジションでは放送業界やメディア業界での専門知識や実務経験が求められ、未経験者が入り込むのは難しいでしょう。
一方で、エンジニアや社内システム、経営管理などのポジションもあり、放送業界の経験がなくとも、職種としての専門性を活かせる場面は多くあります。そのため、業界未経験者でも、自身の専門スキルを武器に転職を目指すことは十分可能でしょう。
(3)面接の通過率が低い
上記2点の通り、人気企業であり、採用ポジションでの求めるスキルから、おのずと面接通過率も低くなっています。NHKで実現したいことはもちろん、公共放送としての使命を理解し、挑戦を恐れずに新たなメディアの可能性を追求する姿勢や、積極的に新しい知識を吸収し自らの力で行動できる主体性についても、書類選考や面接で評価されます。そのため、NHKが求める具体的なスキルや経験と、自分のキャリアをどのように結びつけるかを明確にすることが重要です。また、面接ではこれらのアピールに加え、論理的思考能力やコミュニケーション能力も評価のポイントとなります。
さらに「なぜNHKなのか」という点も重要です。特に、ポジションによっては同業他社(民放や他のメディア企業)も選択肢となるため、「なぜNHKでなければいけないのか」を論理的に説明することが求められます。こうした厳しい選考基準があるため、面接の通過率は低めとなっています。
どのような対策が必要か?
NHKへの転職では面接対策が重要なポイントとなります。書類においても実際に不採用になっているケースもあるため、ここでは書類、面接と合わせて、どのような対策が必要なのかご紹介していきます。
書類対策
一般的な書き方で問題ありませんが、応募ポジションと親和性のある経験、スキルをアピールしましょう。専門職であればどんな業務内容を経験してきたのか、企画系であれば実績を記載するようにしましょう。転職エージェントに相談し、客観的な意見も交えてブラッシュアップしながら進めると良いかと思います。応募書類の重要なポイントは人事担当者に「会ってみたい」と思ってもらうことです。どんなに人物面がよくてもこの書類選考で落ちてしまっては面接で何も伝えられません。
例えば、担当したプロジェクトの概要、目的、規模、期間、チーム構成などや、自分の役割や責任、具体的な成果や達成した目標、プロジェクトで使用した技術やスキル、ツールなども記載すると良いでしょう。また自分の強みや特長を具体的にアピールすることも必要です。
面接対策
NHKの面接では、技術力や専門知識はもちろんのこと、「自社の製品や技術にどれだけ理解があるか」「会社の理念に共感しているか」といったポイントも重視されます。書類選考の倍率が高いため、面接に進めた時点である程度のスキルは認められていますが、最終的に「即戦力になれるかどうか」「社風に合うか」が合否を分ける決め手になります。
企業研究を徹底し、「NHKの公共性」を理解する
NHKは「公共の福祉のために、不偏不党の立場で放送を行う」ことを使命としています。単なるテレビ局ではなく、ニュース・教育・エンターテインメントなど多岐にわたる番組を通じて、社会に貢献することが求められます。そのため、面接では 「なぜNHKで働きたいのか?」 を深く聞かれることが多いです。
「メディア業界に興味があるから」「NHKの番組が好きだから」といった理由だけでは不十分で、なぜ数あるメディアの中でNHKを選ぶのか を、NHKの公共放送としての使命や役割、事業内容と紐づけて話す必要があります。
これまでの経験がNHKでどう活かせるかを明確にする
採用では「即戦力」が重視されるため、「あなたのスキルがNHKでどう活かせるのか?」 を説明できるように準備しましょう。
・職種ごとに求められるスキルを把握する(報道・制作・デジタルサービス・技術・営業など)
・過去の実績を具体的な数字や成果を交えて説明する
・NHKの事業にどのように貢献できるかを明確にする
といった内容を、具体的なエピソードを交えて話せるように準備しましょう。
NHKの公共放送としての価値観を理解する
NHKは「視聴者からの受信料で成り立つ公共放送」です。そのため、商業的な成功だけを追求するのではなく、社会的責任や公平性を意識した業務遂行が求められます。
そのため、面接では 「公共放送としての使命をどのように考えているか」 や、「営利を目的としないメディアでどのような価値を提供したいか」 について言語化できることが重要です。単に「番組を作りたい」「放送に携わりたい」ではなく、NHKの役割と自分の仕事をどう結びつけるか を意識して話せると、好印象につながるでしょう。
さらに、面接の最後に必ず「何か質問がありますか?」と聞かれることが多いので、企業のビジョンや具体的なプロジェクトに関する質問をいくつか準備しておきましょう。これにより、企業に対する関心と理解度をアピールできます。
ただあまりにも応募ポジションとかけ離れた質問は逆効果になります。例えば経営メンバーでない方へ、「今の企業の経営課題と、これからの戦略について伺いたいです」といってもちょっと違いますよね?いわゆるネットから取ってきた質問ではなく、自分自身が面接準備などで疑問に思ったことなど「自分目線」での質問を用意するようにしましょう。
求める人材像
NHKの中途採用では、即戦力となる技術力・専門知識を持つ人材 が求められるのはもちろんのこと、同社の価値観や事業戦略に合った人物であることも重視されます。採用ページからですが求める人材像を引用します。
職種共通
公共放送(メディア)の使命達成のために、他者と協働しながら、必要とされる役割を果たす。倫理観とヒューマニティをもって行動できる。
ディレクター
視聴者の感情を揺さぶるコンテンツを、鋭い問題意識に基づく取材や、斬新な演出で新たに生みだし続ける。
映像デザイン
豊かな発想力と鋭い洞察力を武器に、映像で視聴者を惹きつける。
音響デザイン
豊かな発想力と鋭い洞察力を武器に、音で視聴者を惹きつける。
記者
知られざる真実に肉薄、信頼できる正確な情報を、いちはやくつかみ、分かりやすく伝えると共に、歴史の1ページに記していく。
映像取材
現場での発見感を、独自の表現に昇華させて、もっとも効果的に映像で視聴者に伝える。
映像制作
情報や映像を的確に選択、統合して、新たな意味を見出し、視聴者の感情に訴えるコンテンツを生み出す。
アナウンサー
共感力をもって視聴者に寄り添い、正しい情報や感動を自身の表現を通して届けきる。
経営管理・営業
NHKの未来を描き、視聴者とNHKを繋ぐハブとして多様な力を結集し、公共的価値を最大化しながら、受信料で成り立つ公共放送NHKの財源・経営を支えていく。
メディアエンジニア
進化する技術に柔軟に対応しながら、新たなコンテンツ・サービスを生み出す。確かな技術力で放送・ネットシステムを支え、視聴者へ必要な情報を確実に届ける。
出典:https://www.nhk.or.jp/saiyo/recruit/message/(2025年3月現在)
中途求人から紐解くNHKの求める人材像
NHKの採用情報や求人傾向を分析すると、「こんな人が求められる」という共通点が見えてきます。
公共性の理解 × メディアの未来を考えられる人
「公共放送の使命を理解する」は前提。ただし、それだけでは足りず、「どうすればより多くの視聴者に価値を提供できるか?」「デジタル時代における新しい放送のあり方とは?」といった視点を持ち、事業の発展に貢献できる人が求められます。
変化を楽しみながら、新しいことに挑戦できる人
NHKは、近年デジタル配信・国際放送の強化・AIやデータ活用をはじめとする技術革新など、新しい領域に挑戦しています。そのため、「従来の放送の形」にとらわれず、柔軟な発想で新しいメディアのあり方を模索できる人が歓迎されます。
社内外とのコミュニケーションが得意な人
NHKの番組制作・報道・技術開発は、プロデューサー、記者、技術者、デザイナー、外部の制作会社など、多くの人と協力しながら進める仕事です。そのため、「多様な関係者と円滑にコミュニケーションを取れる」「調整力がある」人が活躍しやすい環境です。
トレンドをキャッチし、企画・提案ができる人
メディア業界は、視聴者の関心や技術革新によって日々変化しています。NHKでも、「視聴者のニーズを的確に捉え、新しい番組やサービスの企画を提案できること」が求められます。
NHKの選考フローは?
NHKの中途採用の選考フローは、書類選考 → (適性検査) → 複数回の面接→ 内定 という流れが一般的です。職種によってはクリエイティブの試験や適性検査も行われます
書類選考
提出した履歴書・職務経歴書をもとに、NHKの人事部や採用担当者が書類選考を行います。採用担当者は「NHKの事業にどのように貢献できるか」という視点で応募者を評価します
一次試験(面接・適性検査)
書類選考通過者を対象に、面接と適性検査を行います。一次面接・適正検査ともにWEBで実施します。
二次試験(面接等)
一次試験通過者を対象に、WEBで面接等を行います。面接等を複数回実施することがあります。
三次試験(面接)
二次試験通過者を対象に、面接を行います。
一次〜三次面接では「基本的な人物評価」と「経験・スキルの確認」が行われます。
「自己紹介・職務経歴を教えてください」
「NHKに応募した理由は?」
「前職での業務内容と、どのような実績を上げたか?」
「あなたの強み・弱みを教えてください」
「NHKでどのように貢献できますか?」
のような質問から、より深掘りした質問が「NHKの企業文化に合うか」「専門スキルが十分か」がチェックされます。
出典:https://www.nhk.or.jp/saiyo/career/recruitment/(2025年3月現在)
NHKの概要
正式名称 | 日本放送協会 |
放送センター(本部)所在地 | 〒150-8001 東京都渋谷区神南2-2-1 |
代表者 | 会長 稲葉 延雄 |
設立 | 昭和25(1950)年6月1日 |
職員数 | 1万268人(2023年度) |
放送局所在地 | 東京・渋谷と全国の道府県庁所在地などに計54局 |
海外総支局等 | 全世界に計29の取材拠点 |
出典:https://www.nhk.or.jp/info/pr/summary/(2025年3月現在)
NHKの事業内容
NHK(日本放送協会)は、日本の公共放送機関として、以下の主要な事業を展開しています。
国内放送事業
テレビ放送
・総合テレビ(NHK-G): ニュース、ドラマ、バラエティなどの一般向け番組を提供しています。
・教育テレビ(NHK-E): 教育・教養番組や子供向け番組を放送しています。
・衛星放送(NHK BS): 情報、国際ドキュメンタリー、スポーツ中継、文化・娯楽番組を提供しています。
・BSプレミアム4K: 4K画質での文化・娯楽番組を放送しています。
・BS8K: 8K画質での高精細番組を提供しています。
ラジオ放送
・NHKラジオ第1: ニュース、情報、ドラマ、娯楽番組を放送しています。
・NHKラジオ第2: 教育・教養番組、外国語ニュースなどを提供しています。
・NHK-FM: クラシック音楽を中心に、多彩な音楽番組を放送しています。
国際放送事業
・NHKワールド JAPAN:NHKワールドTV: 英語による24時間ニュースや情報番組を放送しています。
・NHKワールドプレミアム: 日本語の番組を海外在住の日本人向けに提供しています。
・NHKワールド・ラジオ日本: 18言語でニュースや情報をラジオ放送しています。
調査研究事業
放送およびその受信の進歩発達に必要な調査研究を行っています。
出典:https://www.nhk.or.jp/info/pr/summary/(2025年3月現在)
NHKのビジョン
NHKは、2024年度からの3カ年経営計画において、「コンテンツ戦略6つの柱」を掲げています。
デジタルと放送が連携して災害時になくてはならない命綱に
「災害情報マップ」を整備、データジャーナリズムの手法を進化させて「命と暮らしを守る」報道をすべての人に届けます。
“フェイク”の時代だからこそ顔の見える信頼のジャーナリズム
フェイクニュースやフィルターバブルなどデジタル時代ならではの課題に世界の報道機関と連携して対応、取材過程が見える報道を目指します。
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世界の“今”を正しく理解するための多様な情報を提供します。
情報空間の健全性を確保し、SDGsなど世界的な課題の解決を目指します。
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誰もが利用できる、ユニバーサルサービスを強化します。
全国ネットワークを生かし、質の高いコンテンツを効率的に生みだします。
出典:https://www.nhk.or.jp/saiyo/about/vision/(2025年3月現在)