【インタビュー】DX推進における、ベネッセグループならではの価値提供
各企業のDX採用の取り組みについて知る本連載。
今回は株式会社ベネッセコーポレーションで全社人事採用を担う北村様と、DX部門のHRBPを担う一杉様に、ベネッセグループのDX推進における事例やDX人材の採用成功ポイントについてお話を伺いました。
北村 洋子 様
株式会社ベネッセコーポレーション
人財開発部 採用課
2011年にベネッセコーポレーションに中途入社。個人向けの商品企画開発を担う。2018年に人財開発部にて採用業務に従事。
一杉 元嗣 様
株式会社ベネッセコーポレーション
Digital Innovation Partners DX人財開発部
2018年にベネッセコーポレーションに中途入社。教育事業の法人営業を3年経験し、退職。企業向け人材採用・育成や組織開発等のサービスを展開する企業にて人事コンサルタントを経験し、2022年にベネッセコーポレーションに再入社。Digital Innovation Partners(DIP)にてHRBPとして従事。
ご経歴・ベネッセでのキャリアについて
ーまずは一杉様、北村様のご経歴をそれぞれお伺いさせてください。
一杉様:私は2012年に新卒で大手通信会社に入社し、6年半ほど営業や事業推進を経験した後、ベネッセに転職しました。ベネッセでは、小中学校向けの教育事業に携わり、約3年営業職に従事していました。その後、リクルートマネジメントソリューションズという会社に一度転職をし、人事コンサルタントを経験しましたが、2022年にベネッセに再び入社することになりました。現在は、Digital Innovation Partners(以下DIP)という組織のDX人財開発部という部門で、全社のデジタルリテラシー向上の施策実行や、HRBPとして採用やDX人材の能力開発、組織開発などを幅広く行っています。
北村様:私は2008年にメガバンクでキャリアをスタートしました。営業を経て、本部で企画を担当したのち、ベネッセに2011年に中途入社しました。ベネッセでは、2011年から個人向けの商品企画・開発を担い、2018年に人事に公募制度を活用して異動しました。現在は採用業務を中心に行っています。途中で育児休暇も取得しています。
ー一杉様は、一度ベネッセを退職されたものの、再びご入社されたのですね。いわゆる”出戻り”をされたのはどういった理由があったのでしょうか。
一杉様:前職では人事コンサルタントという立場で仕事をしていましたが、外からの支援よりも、泥臭いことも含め社内に入り込んで組織を変えていくことにコミットしたくなったことが大きかったです。自組織の中にいないと経験できないことがあるなと思ったときに、ベネッセは今がデジタルシフトにおいて過渡期であり、自分のキャリアと今のベネッセのフェーズとを掛け合わせた時に、このタイミングしかないと思い、戻る決断をしました。
北村様:実は、一杉さん以外にも出戻り社員は多くいます。一度外に出てみて、ベネッセの良さに気づくことが多いみたいですね。会社としても、出戻りに対してウェルカムな風土が強いですし、退職することを”卒業”と言ったりしています。正社員として戻るパターンはもちろん、フリーになって業務委託という形で関わっている方もたくさんいます。雇用形態は様々ですが、みんなで協力してやっていこうという雰囲気があります。
全社でDX推進を強化したことで生まれた新たな価値
ー2020年にDXの推進組織が立ち上がるなど、ベネッセ全社としてDX強化を掲げるに至った背景を教えてください。
一杉様:ベネッセグループは、多様な事業を展開しており、事業ごとにお客様やビジネスモデル、競争環境がそれぞれ異なっています。
事業領域ごとに環境変化も大きく、例えば私が携わっていた学校教育では2019年に「GIGAスクール構想」が立ち上がりました。学校で1人1台タブレットが普及されるようになったタイミングで、競合となるEdTech関連のベンチャー企業も台頭し、事業環境は大きく変わりました。
DXについては、このような各事業の特性やデジタル化の進展状況などに合わせた具体的戦略が必要となります。また、DX推進のための人財育成やシステム基盤の整理などもグループ共通の課題となっていました。
そのような背景のもと、「各事業のフェイズに合わせたDX推進」、「組織のDX能力向上」という大きく二つのテーマでグループ全体のDXを推進する、Digital Innovation Partners(DIP)が立ち上がりました。
北村様:ベネッセでは、長年サービスのデジタル化やデータ利活用などを進めていましたが、事業ごとに特性が違いました。それを全社横断組織としてプロジェクト化することでより効率的になり、DXが加速したと感じています。併せて、DX人材の育成や能力開発も同時進行しています。
全社横断で大規模に変革していきたい、様々なドメインに同時に携わりたいという方であれば、DIPに所属して複数事業に携わることもできますし、1つの領域を深く掘りたい方であれば、各事業部の中で携わることもできるので、ご本人のご希望に合わせることができます。
ーDIPの立ち上げには苦労した点も多かったと思いますが、当時の状況はいかがでしたか。
北村様:組織を立ち上げるという発想自体はみんなが共感していましたが、実際に立ち上げて推進するとなると、やはり事業部ごとの歴史があったり、やり方がそれぞれ異なったり、ステークホルダーも複数いる中で、うまくプロジェクトマネジメントをしていくのはかなり大変だったと思います。ただ、ベネッセの社員は顧客主義なので、仮にやり方の違いでぶつかったとしても、顧客にとって最適解だという結論に至れば、みんなでそこに向かえる一体感があります。
一杉様:お客様のためになっているのか、は当たり前に普段の会話の中で出てきますね。これは、「よく生きる」という理念に共感してくれる方が入社していることが大きいと思います。お客様にとっての価値を追求したサービス提供ができることにやりがいを感じている人が多いです。
北村様:継続利用されるお客様が多いのがベネッセの特徴なので、短期的な成果はもちろん求めつつも、本質にこだわる余力があるビジネスモデルだなと思います。瞬間風速的な契約数などに振り回されないんですよね。
私は商品開発に携わっていましたが、相当なパワーをかけて企画を進めていた商品を、最終的に「お客様にとって使いやすくない」という理由で白紙にさせたこともありました。かなり衝撃的な思い出ですね。それくらい、お客様にとっての価値になるかを本気で考えています。
ーDIPと各事業のコラボレーションによって新しい価値を世の中に提供できた事例はございますか。
北村様:具体的な事例でいうと、大手コンサルティングファームでデータサイエンティストをされていた方が、入社してからDIPで最初に携わった学校向けの営業支援プロジェクトでしょうか。
ベネッセの学校事業のサービスは9割以上の高等学校に採択いただいているくらい大きな規模感なので、それを変革できたのは大きな事例です。単にツールを使った提案だけで終わるのではなく、データ分析から入り込んだ教育現場の業務改善に加え、その先にある高等学校全体への支援の質が高まっていくことを見据えているプロジェクトでした。分析基盤の設計からしないといけなかったようで、苦労は凄まじかったと言っていましたが、データを分析して提案するだけで終わらずに、変化につながるまでコミットできたのは大きかったと思います。
一杉様:ベネッセは様々なアセスメントサービスを学校向けに提供しているので、データが豊富にあります。ただ、そういったデータを総合的に分析し、提案や利活用につなげる余地がまだまだありました。今回の取組では、分散した各アセスメントのデータを分析し、一元的に見える化する仕組みを導入することで、営業担当者の分析負荷軽減だけでなく、学校への提案・サービス提供価値の向上につなげた事例です。
また、ベネッセはお客様への提供価値をとても大事にする会社です。学校の現場では、先生方の指導力向上や、その先にある子供たちの学力向上に繋がる活動を一人ひとりが意識し、「本当に先生方のご指導の支援につながるのか」という会話が当たり前のようにされています。
北村様:いわゆる営業の生産性改善は売り上げにもつながるので、経営上は非常に大事な指標だと思いますが、そこだけを見ているわけではありません。本質的には先生方の自走力を高めたり、高校全体の学力を上げていくことがゴールです。
一杉様:やはりそこがベネッセの事業の素敵なところだなと思っています。私は『ミライシード』などに携わっていましたが、「ベネッセさんのおかげでこんなに授業が変わりました」「子供たちが手をあげるようになりました」って言われたりするんです。開発で携わっているエンジニアなど、少しお客様と遠い職種の方もいますが、そういった声が営業経由でも入ってきますし、私のように元々通信事業会社にいた人間からすると、なかなか起こり得ない。震えるような嬉しい瞬間が、やりがいになるんですよね。
ーお客様の価値向上を目指すことが、働くみなさんのやりがいにも繋がっているのですね。
一杉様:印象に残っているのが、コンサルタントで中途入社された方が「やりがいしか感じない」とおっしゃられていたことです。外部からの支援もとても重要ではあるものの、組織の一員として、中から変化を起こしていくことに、やりがいや意味を見出す方が多いです。
自社の事業に責任をもって携わることはもちろん大変です。しかし、事業会社ならではの手触り感や、事業部と一緒にコミットしながら一体になってできることは、コンサルファームでは味わえないようです。かつ、教育や介護領域は社会貢献性が高く、またDXの観点でもこれからまだまだ伸びしろがあるという点で、デジタル人材には大きな魅力だと思いますね。
北村様:コンサルタントとして4社程経験してこられた方も、今が1番楽しいです、とおっしゃっていました。最終的な成果に携われるので、自分の仕事が結局何になったのか、誰のためになったのかをしっかり実感できます。自分が開発したものをお客様に使っていただくところまで責任の範囲というのは大変である一方、働く甲斐がある、1番の醍醐味だ、という声をよく耳にします。
DX人材採用における成功ポイントとは
ーDIPが発足してから、DX人材の採用はやはり加速したのでしょうか。DX人材を採用するにあたって、何か工夫したポイントや変えたことはございますか。
北村様:DIPの発足により、採用を加速させてることは間違いないですね。1番大事にしているコアな部分は変わらないのですが、より採用ターゲットが最適化されて、職種のラインナップも増えており、”整理できた”という感覚があります。
デジタル人材と一言で言っても、様々な職種があると思いますが、どんなスキルが必要なのか、どこまでの経験であればそのスキルがあると判断できるのかなど、きちんとレベルを定義したところは、採用において重要なアクションだったと思っています。一般的なスキルが高いという指標だけではやはりダメで、”ベネッセにとって必要な能力”を分解して、改めて言語化したというところが大きいです。事業ごとに置かれている環境が違うので、それぞれに合わせてターゲットを明らかにしたことが大事なポイントだったと思います。
一杉様:例えば介護事業と教育事業だと、各事業の成り立ちや成熟度が異なります。それによってアプローチが変わってくるので、全部一緒くたに考えても絶対うまくいかないんですよね。単純にデジタルマーケティングができる人、ではなく、ベネッセの教育事業にとって必要なデジタルマーケティングの能力ってなんだろうとか、こういうことができる人がほしいよね、というところまですり合わせたことで、アンマッチも少なくなり、納得度が高い採用に繋がった感覚があります。
北村様:進研ゼミや進研模試といったアセスメントが強い会社なので、レベル分けや定義付けが自社でも浸透していますね。お客様から見ると、気持ちに寄り添うなどのハイタッチなイメージが強いと思いますが、実は裏ではデータ分析をして細かいロジックを組み立てているような会社です。
ToCサービス企業でもあるため、求職者のみなさんも利用当時のユーザー体験の印象が強いと思うので、「そんなにデータを利活用しているなんて思わなかった」と言われることも多いです。データ利活用などDX領域で第一想起してもらえることがまだ少ないと思うので、もっと伝えていきたいと思っています。
ー採用要件の整理が進んだことで、これまでと異なる人材が採用できた等の新しい事例はございますか。
一杉様:最近は、スタートアップからの応募者も増えています。直近スタートアップでデジタルマーケティングのマネージャーをされていた方が、ベネッセの柔軟さを魅力にご入社された実績もあります。
DIPができたことで、大企業によくある身動きが取りにくいといったイメージが転換できたと思っています。実際に、先ほど話が出たデータサイエンティストの社員は、Digital Innovation Fund(DIF)というファンド事業を兼務していますし、今年度中途入社されたDIPの社員交流会でも、皆さんやりたいことができる雰囲気だとおっしゃっていました。そういった柔軟さもベネッセの魅力の1つなので、裁量や柔軟さを求める方には、より選んでいただくことが増えたと思います。
ベネッセならではの人財開発・リスキリング
ーDX人材のキャリア構築や育成に関して、具体的な取り組みについてお伺いさせてください。
北村様:マネジメントとしてキャリアアップするジェネラリスト型のキャリアパスと、エキスパートとして専門性を高めるキャリアパスを人事制度として用意しています。そのうえで、それぞれが決めた道に向かってリスキルすることを会社として手厚く支援しています。例えば、目的に合わせた幅広い研修を設けたり、「リスキル休暇」という特別休暇制度を設けたりしています。
一杉様:研修が充実していることに加えて、アセスメントをうまく活用しているのもベネッセならではだと思います。専門職向けのデジタル活用におけるアセスメントを実施し、苦手分野・得意分野を把握したうえで、それに紐づく研修プログラムを受講できるラーニングパスを提示したり、専門スキルを持つ社員が講師となる社内勉強会も積極的に行われていますね。
また、全社員向けにDXリテラシーチェックテストも実施しており、デジタルの素養としてITパスポートレベルの知識を持てるよう展開しています。DX推進にあたって、やはり共通言語が必要になってくるので、社員全員がDXのリテラシーや思考を身につけることを目指しています。
北村様:専門性をさらに高めていくといった点では、リスキル休暇に加えて、諸条件はありますが、能力開発ポイントという、社員の能力開発に対して資金援助を行う制度があります。大学に通ったり資格取得をしたりと、年齢問わず積極的に活用されています。
一杉様:教育事業の会社だけあって、学びに対する後押しは相当強いですね。研修に出るだけでも上司の承認がいる、といった話はほぼ聞かないです。上司との面談でも当たり前のように「リスキル休暇を取ろうか」といった会話がされていますし、ミッションシートの目標管理においても学びの項目が入っていて、上司と確認しながらスキルアップすることに取り組める環境にあります。
ベネッセコーポレーションへの応募を検討している方へのメッセージ
ー最後に、ベネッセコーポレーション様への応募を検討されているDX人材に向けて、ぜひメッセージをお願いいたします。
北村様:ベネッセは教育事業においては国内圧倒的シェアを誇ります。多くの顧客を持ち、かつ長くご契約いただいている顧客が多いため、データの量と質が良いことも魅力です。施策立案の幅が広がる面白さがあるはずです。
そしてベネッセは、担当者の意思が最も重要視される現場が強い企業です。大きなリソースを持ちつつ、自由度高く挑戦できる環境は、日々充実して働ける場所だと思います!
一杉様:事業会社で働きたい方であれば、ぜひベネッセに、と強く思っています。事業会社ならではの手触り感を感じるのはもちろんのこと、事業領域が幼児期からシニアまで、長い時間軸で展開されています。ベネッセのサービスはライフサイクルに応じてお客様の「よく生きる」をサポートしており、お客様からの声をお聞かせいただきながら、さらに付加価値の高いサービスを提供しつづけるといった、やりがいのある仕事なので、強くおすすめしたいです。