豊田自動織機とデンソーはどんな会社?
まずは、両社の基本的な立ち位置と事業内容を整理しましょう。
同じトヨタグループであっても、その性格は大きく異なります。
豊田自動織機の事業内容・強み
豊田自動織機は、トヨタグループの源流にあたる企業です。
創業者である豊田佐吉が発明した自動織機の製造からスタートし、現在では自動車(車両組立・エンジン)、フォークリフトを中心とした産業車両、繊維機械の3つの柱で事業を展開しています。
最大の強みは、その圧倒的な安定感と多角化された事業ポートフォリオです。
特にフォークリフトは世界シェアNO.1を誇り、自動車業界の景気変動に左右されにくい収益構造を持っています。
グループ内では「本家」としての高い格式を持ち、トヨタ自動車に対しても一定の独立性を保った、非常に格の高い存在です。(*1)
デンソーの事業内容・強み
デンソーは、トヨタ自動車の電装部門が分離独立して誕生した、世界屈指の自動車部品メーカーです。
熱機器、パワートレイン、電子機器、先進安全など、自動車のあらゆる重要部品を手掛けています。
強みは、世界初、世界トップクラスの技術力に裏打ちされたグローバルな競争力です。
売上高の多くを海外で稼ぎ出しており、トヨタグループに属しながらも、世界中の主要自動車メーカーと直接取引を行う独立独歩の姿勢が特徴です。
「トヨタは潰れてもデンソーは潰れない」と言われるほど、その技術資産と顧客基盤は強固です。(*2)
両社の企業規模・売上高・従業員数の違い
直近の決算データに基づくと、売上規模ではデンソーが圧倒しています。
デンソー: 売上高は約7.1兆円。世界各地に拠点を持ち、従業員数は連結で約15.8万人規模のメガサプライヤーです。(*3)
豊田自動織機: 売上高は約4兆円超。従業員数は連結で約8万人規模です。 規模の大きさではデンソーに軍配が上がりますが、豊田自動織機は産業車両という独自のドル箱事業を持っているため、1人あたりの生産性や安定性という面ではデンソーに引けを取りません。(*4)
(*1)参照元:企業情報|豊田自動織機(公式HP)(2026年2月時点)
(*2)参照元:語り継ぐ物語|デンソー(公式HP)(2026年2月時点)
(*3)参照元:会社概要|デンソー(公式HP)(2026年2月時点)
(*4)参照元:企業情報|豊田自動車織機(公式HP)(2026年2月時点)
年収で比較|豊田自動織機とデンソーはどっちが高い?
転職者にとって最も関心が高い年収水準について比較します。
両社の平均年収水準は?
直近の有価証券報告書によると、両社の平均年収は以下の通りです。
豊田自動織機: 約842万円(*5)
デンソー: 約863万円(*6)
平均値で見ると、わずかにデンソーが高い傾向にありますが、その差は誤差の範囲と言えるほど拮抗しています。
どちらも日本企業の平均を大きく上回る高年収企業であることは間違いありません。
年齢別(25歳〜55歳)の年収推移
ご提示いただいたデータを比較すると、30歳時点ではほぼ同等ですが、35歳以降からデンソーが豊田自動織機を上回る傾向にあります。(*7)(*8)
| 年齢 |
豊田自動織機(推定) |
デンソー(推定) |
| 25歳 |
474万円 |
487万円 |
| 30歳 |
609万円 |
646万円 |
| 35歳 |
778万円 |
813万円 |
| 40歳 |
922万円 |
964万円 |
| 45歳 |
985万円 |
1,081万円 |
| 50歳 |
970万円 |
1,151万円 |
| 55歳 |
940万円 |
1,174万円 |
豊田自動織機は30歳から35歳にかけて169万円という大きな伸びを見せますが、40代後半以降はやや緩やかな推移となります。
一方、デンソーは45歳で1,000万円の大台を超え、50代後半にかけても伸び続ける「右肩上がり」の構造が特徴です。
トヨタグループ内で見た年収ポジション
両社ともトヨタグループ内では「御三家」としてトヨタ自動車(2025年賞与7.6ヶ月分)に次ぐトップクラスのポジションに位置します。
特に30歳時点の推定年収をホンダやスバルといった他完成車メーカーと比較しても、デンソーや豊田自動織機の水準は高く、部品・機械メーカーという枠組みを超えた高待遇を維持しています。
(*5)参照元:有価証券報告書|豊田自動織機(公式HP)(2026年2月時点)
(*6)参照元:有価証券報告書|デンソー(公式HP)(2026年2月時点)
(*7)参照元:openwork|豊田自動織機(2026年2月時点)
(*8)参照元:openwork|デンソー(2026年2月時点)
働きやすさ・労働環境の違い
高い給与水準を維持しつつ、ワークライフバランスをどう両立しているかも重要な比較ポイントです。
残業時間・有給取得率の傾向
両社とも「ホワイト企業」としての評価が定着していますが、指標にはわずかな違いがあります。
豊田自動織機: 有給取得率が非常に高く、2024年度の取得率は94%以上を誇ります。(*9)有給の取りやすさにおいては、デンソーを上回る満足度を示す口コミも多く見られます。
デンソー: 月平均の残業時間は19時間(2024年実績)(*10)と、大手製造業の中でも少ない部類に入ります。全社的に「働き方変革」を推進しており、1分単位での残業代支給が徹底されています。
福利厚生の比較
トヨタグループ共通のスケールメリットを活かしつつ、個別の制度には以下の違いがあります。
■豊田自動織機の圧倒的な「住居・家族」サポート(*11)
住宅支援: 独身寮や、社宅に安価で入居可能です。また、住宅費補助などの制度も利用できます。
独自休暇: 「ファミリーサポート休暇」など、子供の行事や介護に使える独自の有給休暇制度が充実しています。
■デンソーの自由度の高い「カフェテリアプラン」(*12)
住宅支援:独身寮や家賃補助などの制度があります。
独自制度: あらかじめ付与されたポイントの範囲内で複数の福利厚生メニューから選択し、ポイントを利用して補助を受けることができるカフェテリアプランがあります。
(*9)参照元:データライブラリー|豊田自動織機(公式HP)(2026年2月時点)
(*10)参照元:データ編(社会性報告)|デンソー(公式HP)(2026年2月時点)
(*11)参照元:働く環境|豊田自動織機(公式HP)(2026年2月時点)
(*12)参照元:ワークライフバランス|デンソー(公式HP)(2026年2月時点)
将来性・安定性で選ぶならどっち?
100年に一度の変革期と言われる自動車業界。
将来を見据えて転職先を選ぶなら、両社の事業構造の違いを理解しておく必要があります。
自動車業界の変化(EV・CASE)と両社の立ち位置
■豊田自動織機:分散投資によるリスクヘッジ
豊田自動織機もカーエアコン用コンプレッサーの電動化などでEVシフトに対応していますが、最大の特徴は「非自動車部門」の強さです。
物流倉庫の自動化(マテリアルハンドリング事業)は、EC市場の拡大に伴い急成長しており、自動車業界の浮沈だけに左右されない盤石の体制を築いています。
■デンソー:技術革新の最前線
デンソーは「モビリティの脳と神経」を担う存在へ進化しています。
ガソリン車向けのパワートレイン事業を縮小・売却する一方で、電動化(モーター・インバーター)や自動運転(センサー・AI)領域に巨額の投資を行っています。
特にソフトウェア領域への注力が凄まじく、2030年にはソフトウェア人材を1.8万人にまで増強する計画です。(*13)
技術力・研究開発投資の違い
■豊田自動織機:ニッチトップの継続
エンジンやコンプレッサーといった「ハードウェア」の極限までの磨き上げに強みがあります。
また、フォークリフトの自動運転技術や燃料電池フォークリフトなど、ニッチな市場で圧倒的なシェアを維持し続けるための実利的な技術開発に定評があります。
■デンソー:圧倒的な投資規模
研究開発費は年間で6,000億円規模(*14)に達し、売上高に対する投資比率は約9%と非常に高いのが特徴です。
世界初、世界最小といった「世界一」を追求する開発力があり、特許保有数でも国内トップクラスを維持しています。
海外展開・グローバル需要の強さ
■豊田自動織機:物流のグローバルリーダー
産業車両事業(フォークリフト等)の海外売上比率は約7割に達します。(*15)
北米や欧州の物流インフラを支えており、地政学リスクに対しても事業の多角化がクッションとして機能しています。
■デンソー:グローバル・メガサプライヤー
トヨタグループでありながら、売上の約半数はトヨタ以外(海外メーカー含む)から稼ぎ出しています。
北米、欧州、中国など世界中に製造・販売拠点があり、世界経済の成長をダイレクトに取り込める構造です。
長期的に見た倒産リスク・安定性
両社とも自己資本比率が高く、現預金も潤沢なため、倒産リスクは極めて低いと言えます。
安定性重視なら豊田自動織機:
自動車がEV化しても、物流(フォークリフト)がなくなることはありません。「複数の柱」がある安心感は絶大です。
成長性重視ならデンソー:
EVや自動運転といった「次世代の主役」になる技術を保有しています。変化をチャンスに変える爆発力を持っています。
(*13)参照元:日経クロステック|2024/07.12 掲載記事(2026年2月時点)
(*14)参照元:デンソー早わかり|デンソー(公式HP)(2026年2月時点)
(15*)参照元:豊田自動織機の軌跡|豊田自動織機(公式HP)(2026年2月時点)
転職難易度・求められる人材の違い
両社とも日本最高峰の転職難易度を誇りますが、選考で重視される「軸」には明確な違いがあります。
中途採用の難易度比較
デンソー: 即戦力採用が基本であり、募集職種に関連した実務経験3年以上が必須条件となるケースが多くみられます。特にソフトウェア、IoT、AIといった電動化・自動運転に関わる領域では、世界中のエンジニアと競合するため、国内でも屈指の難関企業です。
豊田自動織機: デンソー同様に高い専門性が求められますが、加えて「トヨタ生産方式(TPS)」への適応力や、現場を巻き込む人間力が重視されます。自動車業界以外の製造業出身者でも、高い改善意識や技術的バックボーンがあれば突破のチャンスがあります。
評価されやすいスキル・経験
デンソー: 専門特化型のスキルが好まれます。C言語、画像認識、パワーエレクトロニクスなどの技術に加え、グローバル拠点を動かすための英語力(TOEIC600〜700点以上)があれば非常に有利です。
豊田自動織機: 「現地現物」の精神に基づく、製造現場での改善・設計経験が評価されます。また、世界シェア1位のフォークリフトを支える物流システムやマテリアルハンドリングの知識も高く評価されるポイントです。
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こんな人には豊田自動織機がおすすめ
トヨタグループの「本家」としての安定感と、バランスの取れた労働環境を求める方に最適です。
安定した環境で長く働きたい人:
離職率はわずか1.3%程度。長期雇用を前提とした教育体制が整っています。
自動車以外の事業にも興味がある人:
物流インフラや繊維機械など、事業の多角化によるリスク分散を魅力に感じる人。
ワークライフバランスを重視したい人:
有給取得率90%超という数字が示す通り、私生活を犠牲にしない働き方が可能です。
こんな人にはデンソーがおすすめ
技術の最先端で自身の市場価値を高め、高い報酬を勝ち取りたい方に適しています。
年収アップ・成長環境を重視したい人:
50代に向けての年収の伸びが大きく、常に「世界一」を求められる刺激的な環境です。
グローバルに活躍したい人:
売上の半分以上を海外で稼ぐ同社では、海外赴任や外資系メーカーとの交渉など、国際的なキャリアを築けます。
最先端分野に携わりたい人:
自動運転や電動化といった、モビリティの未来をゼロから作り上げる達成感を味わいたい人。
FAQ|豊田自動織機とデンソーに関するよくある質問
Q. デンソーと豊田自動織機の年収は?
平均年収はいずれも840万〜860万円前後と国内最高水準で拮抗しています。 最新データでは豊田自動織機が約842万円、デンソーは約863万円。どちらもトヨタ自動車に次ぐグループトップクラスの待遇です。
Q.デンソーと豊田自動織機では、年齢・職種による年収差はある?
30歳時点では両社とも600万〜650万円程度ですが、40代以降に差が開きます。デンソーは45歳以降で1,000万円超えが一般的になる一方、豊田自動織機は900万〜1,000万円強で安定推移する傾向があります。デンソーはソフト系エンジニア等の専門職で中途提示額が高騰するケースが見られます。豊田自動織機は部門間の格差が少なく、全社的に安定した昇給体系です。
Q.デンソーと豊田自動織機の長期的な年収推移の考え方は?
「額面の伸び」か「支出抑制による実質所得」かがポイントです。デンソーは、実力主義を強めており、早期の管理職昇進で30代後半での1,000万円到達も可能。稼ぐ力を最大化したい人向けです。豊田自動織機は、 伝統的な年功序列で着実に上昇します。格安の寮・社宅による「住居費の大幅な抑制」が強みで、手元に残る実益はデンソーと遜色ありません。
まとめ|豊田自動織機とデンソーはどっちを選ぶべきか
両社とも日本を代表する超ホワイト企業であり、どちらを選んでも充実したキャリアと言えるでしょう。
最終判断は以下の軸で行ってみると良いかもしれません。
■豊田自動織機が合う人
グループ本家の「圧倒的安定感」を重視する人。フォークリフト等の多角的事業による景気耐性と、有給取得率90%超の「ワークライフバランス」を両立し、堅実に働きたい方に最適です。
■デンソーが合う人
EV・ソフト領域での「技術的挑戦」を求める人。グローバルな環境で変化を楽しみ、40代以降の「高い年収の伸び」と市場価値の向上を追求したい上昇志向の方に向いています。
どちらを選んでも給与や福利厚生では大きな違いはありません。
自身のライフプランが「安定」か「挑戦」か、その優先順位で決めるのもひとつかもしれません。
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