三井住友銀行のDXプロジェクト事例
2023/11/13

三井住友銀行のDXプロジェクト事例

監修者 南 征志

監修者

sincereed株式会社 南 征志

新卒で地方銀行にて営業職を経験した後、2018年から株式会社リクルートキャリア(現リクルート)に入社。大手企業や地方エリアの法人営業、またキャリアアドバイザー業務に従事。
キャリアアドバイザーとして数千人の転職支援に従事した経験を持つ。

昨今の技術革新を受けて、三井住友銀行も既存ビジネスだけでなく、非金融にもビジネスを展開したり、デジタル子会社の設立や新たなデジタルサービスを創出したりと、今や総合的なソリューションプロバイダーに変容しつつあります。この動きの中で欠かせないのがDXであり、三井住友銀行が特に注力している分野です。現在は2025年開始に向けた次世代勘定系システムの構築をはじめ、社内で生成AIの業務適応を行うなど積極的なデジタル活用を進めています。また、三井住友銀行の自社だけでなくSMBCグループとしての総力を活用したり、異業種と連携したサービスも多く手掛けています。

こちらの記事では、三井住友銀行がこれまで行ってきたDXの事例やDX人材の研修・採用について、具体的にご紹介していきます。


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三井住友銀行がDXで大事にしているポイント

三井住友銀行がDXの取り組みの中で特に大事にしている2つのポイントをご紹介します。

①目的はお客様の課題解決である

三井住友銀行は、デジタルはあくまでも手段であると捉えています。デジタルありきで新しいビジネスを創ろうとしているわけではない、ということです。目的はお客様の課題解決であり、その方法がデジタルである、という姿勢を徹底して貫くことを大切にしています。今の時代は企業のビジネスにデジタルが密接に結びついているので、お客様の課題解決を起点にビジネスを構築しようとすると、デジタルの領域で解決策が見いだせることが多くなっています。そのため、三井住友銀行にとってもDXはもはや必然になっており、シリコンバレーにサテライトオフィスを設けて最先端の情報収集なども行っています。その際も、シリコンバレーに対して「今お客様がこうした課題を抱えているので、それを解決できる技術をもった企業はないか」といったアプローチを意識し、お客様の課題解決が目的であるという軸を貫いています。

②「カラを、破ろう」

これは、SMBCグループの太田CEOが折に触れて発言している言葉です。長く金融機関に勤めている社員の中には、過去の成功体験をなかなか振り払えない社員も多くいるのが事実ですが、それでは駄目だとトップが強く訴えています。従来の金融機関の概念を打ち破ろうと様々な取り組みを行っており、例えば若手社員が社内起業でベンチャーを起ち上げた事例が2つ。1つ目は電子契約書サービスを手掛けるSMBCクラウドサインです。中途入社社員が37歳の時に社内起業で設立し、彼が社長に就任しています。2つ目は中小企業のデジタル化を支援するプラリタウンで、こちらも新卒入社社員が企画して起ち上げ、30代後半の本人が社長を務めています。

将来的には社内ベンチャーのIPOも視野に入れており、銀行法の改正などで新たなビジネスに踏み出しやすくなった流れも相まって、カラを破る取り組みは更に加速していくことが予想されます。

三井住友銀行 具体的なDX事例

①法人向けサービス

Plari Town(プラリタウン)

2020年8月にサービスを開始した法人向けSaaSプラットフォーム「Plari Town」。中堅・中小企業のデジタル化支援や経営課題解決のサポートを行うサービスで、立ち上げから2年足らずでサービス会員数が9,000社を突破しました。上記でもご紹介した通り、もともとは三井住友銀行の新卒入社社員が企画したサービスで、現在は三井住友銀行の子会社として彼が社長に就任しています。

プラリタウンはデジタルプラットフォームを企業に提供する会社として事業を開始し、現在はWebサイト運営や、デジタル化に関する相談を受けるコンサルティングサービスを実施しています。提供するソリューションは協業するサービス提供企業のもので、例えばセールスフォースやベルフェイス、Sansanなどの営業・顧客管理系サービス、Chatworkなどの社内情報共有ツール、freeeやSMBCグループ企業が提供するNCoreやSMBCクラウドサインなどの経理・総務系のアプリをはじめ、マーケティング・人事・セキュリティ分野の様々なITサービスソリューション企業がプラリタウンのパートナー企業になっています。これらのIT企業としても中堅・中小企業の顧客を開拓したい気持ちはあるものの、デジタル化への関心が薄い企業へのアプローチは難しいため、銀行を入口とした最初の手がかりを提供することがプラリタウンに対する期待となっています。

 

SMBCクラウドサイン

2019年に弁護士ドットコムと共同で設立した電子契約サービス「SMBCクラウドサイン」。一般企業をはじめ地域金融機関や地方公共団体等幅広く採用されています。これまで行っていた紙と印鑑による契約業務をオンラインで完結させるもので、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、リモートワークの加速の影響もあって契約数が急上昇しました。

こちらも、もともとは三井住友銀行の中途入社社員が37歳の時に社内起業で設立し、現在は彼が社長に就任しています。

 

ポラリファイ

オンライン上で本人確認を行うeKYCサービス「ポラリファイ」。これまで店頭窓口や郵送で受付していた本人確認の手続きを、スマートフォンを使用しオンライン上で完結させるサービスです。2017年5月にSMBCグループ、アイルランドのDaon社、NTTデータの合弁で生体認証サービスを取り扱う事業会社として設立されました。オンライン上で本人確認を完結するeKYCサービス、IDとパスワード不要の顔・声・指紋などの生体情報を使った本人認証サービス、偽物を判別する不正検知を提供しています。2017年のサービス開始以降、今や年間1000万件以上利用されるサービスへと成長しました。

 

法人インターネットバンキングWeb21

三井住友銀行の法人口座を開設することで利用できる、インターネットバンキングサービスの一つです。「振込・振替」「給与・賞与振込」「税金・各種料金の振込」など、いつもの業務を来店せずに行うことが可能になります。また、PCやスマホアプリからサービスを利用することが可能です。

振込手数料がATM・窓口よりもお得になったり、オフィスや自宅から当日付の振込や振替が可能になったりと、企業にとって業務効率化に繋がるサービスとして普及が進んでいます。

Sustana(サスタナ)

CO2排出量算定・削減支援サービス「Sustana」。ユーザー企業が自社で保有する様々な企業活動に関するデータをSustanaに取り込むことで、企業とサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の算定から削減施策の立案・実行まで一連の業務をクラウド上で管理できる、トータルサポート型CO2 排出量算定・削減支援クラウドサービスです。CO2排出量の削減目標を設定することもでき、その達成状況に応じて削減施策の提案や削減活動を支援するパートナーの紹介まで、実効性のある削減活動をトータルに支援してくれる点が特徴です。

2023年8月末時点で、累計導入社数は1200社を突破しています。

Biz-Create(ビズクリエイト)

法人向けマッチングサービスとして広くオープンに企業と企業を繋ぐ、プラットフォーム型ビジネスマッチングサイトです。自由にビジネスニーズの発信・閲覧ができ、サイト上でのチャット機能を活用した商談・コミュニケーションも可能です。自社のビジネスニーズの発信、他社が掲載したニーズの検索・閲覧、商談から取引成約に至るまで、サイト上で独自に行うことができます。2023年3月末時点で全国の15000社を超える企業が利用しており、月間2000件弱の新たな商談が生まれています。

Amulet(アミュレット)

売掛債権保証Webポータルサイト「Amulet」。景気が先行き不透明な現代において取引先の経営状態には敏感にならざるを得ない状況ですが、Amuletはそんな課題に着目したサービスで、売掛債権の保証をWebで申し込むことができます。例えば販売先の倒産等、企業が販売先の企業に対して保有している売掛債権が支払い不能の状態になった場合、販売先に代わって三井住友銀行が売掛債権を支払ってくれるというサービスです(あらかじめ販売先ごとに設定した保証上限額が限度)。

突然の取引先の倒産に備えることができ、貸倒リスクを抑えながら取引先の拡大を図ることができます。

②個人顧客向けサービス

SMBCダイレクト

残高照会や振込などの取引がアプリやWebで利用できるサービスです。普通預金口座があれば面倒な申込や手続き等がなく、キャッシュカードの「店番号・口座番号」と「ログイン暗証」でログインし、すぐに利用することができます。振込・送金はもちろん、キャッシュカードの再発行、名義変更、残高証明書の発行、口座解約まで、様々な手続きがご自宅や出先から可能です。

Olive(オリーブ)

銀行口座とクレジットカード、証券などの金融サービスをワンストップで提供可能なアプリ「Olive(オリーブ)」。今まではそれぞれ個別のアプリ経由だった銀行口座やクレジット決済、証券や保険などをオリーブ1つで受けることが可能になりました。2023年3月にリリースされ、オリーブアカウント開設者向けのポイント還元効果も追い風となり、サービス開始から約6ヶ月でOliveアカウント開設100万件を突破しました。三井住友銀行の新規口座開設では最も早い達成となり、口座開設したお客様からも、特にポイントが貯まりやすい点において高い評価を得ています。

 

デジタルセーフティボックス

デジタルセーフティボックスは、三井住友銀行に口座を持つ人を対象にした情報管理サービスです。例えば、知らず知らずのうちに増えていく資産情報やIDパスワードの管理方法にお困りの方も多いのではないでしょうか。そのようなIDパスワードやサブスク契約情報、預金口座や保険、有価証券や不動産といった資産情報、医療情報や介護と葬儀の希望、動画を含む個々人に向けたメッセージなどを専用ページで一括管理することができます。相続発生時等のタイミングで、予め登録した家族にスムーズに情報連携することができるので、デジタル版のエンディングノートサービスとして活用されています。

 

ファミリーネットワークサービス

家族のリスクを見える化するスマートフォンアプリ「ファミリーネットワークサービス」。

「おかね」「健康」「生活」の今後起こりうるリスクの見える化を行い、家族間でのコミュニケーションを通じてそれに対する「備え」をすることができる家族課題解決型アプリです。「おかね」に関しては資産情報のシミュレーション機能があったり、「健康」に関しては歩数や血圧、睡眠時間などを記録するとグラフで表示され、離れた家族でも生活リズムや体調の変化を把握することができます。「生活」の見守り機能ではGPS機能を活用し、どこにいるのか知ることができます。遠く離れた高齢の家族がいる場合、子ども世代は親世代のお金や介護に不安を抱えながらも、どうしたら良いか分からないケースがよくあります。そのような課題に対応するべくリリースされたサービスです。

③社内向けツール

次世代勘定系システムの構築

三井住友銀行では次世代勘定系システム構築プロジェクトが進行中です。2021年度に構築に着手し、2025年度に現行システムからの移行完了を目指しています。投資規模は約500億円、20年に一度の大規模な勘定系システムの刷新となっており、三井住友銀行の今後を左右するといっても過言ではありません。

勘定系システム刷新で目指すのは、お客様へのサービス価値向上と業務プロセスのデジタル化をより一層促進させること。例えば現在のインターネットバンキングシステムはメンテナンス作業のため日曜夜間はサービスを停止していますが、オンラインシステムのニーズが向上していることもあり、24時間無停止のオンラインシステム化を目指しています。そしてこの新システムが完成すれば、サービスや機能において他のメガバンクに大きく先行できると考えられています。

 

営業支援情報を提供するダッシュボード開発

ビジネスモデルの変革に向けた取り組みとして、ホールセール(法人取引)領域での営業支援情報を提供するダッシュボードを開発しました。ホールセールの営業担当者は顧客と商談を行う際の準備として、様々なデータを参照しながら資料などを作成しています。しかしその際、顧客の課題解決につながる提案に向けた糸口を探すのに非常に時間を要していました。そこで財務などの顧客属性データや入出金といった取引・契約データなどを一元に分析することで、顧客の課題を抽出・推定します。同業他社での成約事例や新商品の情報、顧客の財務指標や取引状況など最新のトレンドや変化も取りまとめています。このように最新の情報を閲覧することができるようになり、ディスカッション資料の精度が高まるだけでなく業務効率化にも繋がっています。

Global Business Platformの構築

グローバルな取り組みとして、フロント営業を支援するGlobal Business Platform(GBP)を構築しました。大企業を中心とした法人顧客の案件をグローバルで可視化・共有するのが目的で、グローバルベースで案件や計数を集約・可視化することで、採算管理を高度化することができます。金融業界向けCRM(顧客関係管理)サービスの「Salesforce Financial Services Cloud」をベースに開発し、従来は地域ごとに管理していた顧客データベースを集約し一元化しました。GBPの構築により、地域別・ビジネスライン別の採算管理が本社側で実施できるなど効率性が高まっただけでなく、GBPでは営業担当者がスマートフォンを使ってデータの入力や閲覧ができるため、営業活動の生産性も高まっています。

生成AIの活用

生成AIの業務適用に向けた実証実験を2023年4月に開始し、同7月から従業員専用「生成AIアシスタント」として、銀行全体に展開されました。生成AIアシスタントはChatGPTの基本機能をベースとし情報が外部へ流出しない仕組みで、従業員が日常的に気軽に利用できるように、Teams内で利用するアプローチを採用しました。Teamsの中で、まさにメンバーの1人として生成AIアシスタントが、質問への回答、議事録や記事の要約、発言原稿の作成、英文記事や海外からのメールの翻訳、プログラムコードの作成など従業員をサポートしてくれます。

今回の生成AIアシスタントは開発からルールづくりまで、わずか4ヶ月で実用化に至った、非常にスピード感あるプロジェクトでした。今後は生成AIが行内の情報を学習しコンテンツを作成する「行内規定検索サービス」の開発・実用化や、個別ユースケースへの対応なども目指していく方向です。

 

三井住友銀行 デジタル人材の育成や採用

SMBCグループは全従業員向けにDX研修を実施するなど、一人ひとりにDXの素養を持たせ、あらゆる場面でデジタル技術の活用を当たり前にするような組織文化の醸成を目指しています。ただし全従業員に高度なDXスキルを求めるわけではなく、社内ではデジタル人材を3つの区分に分けて考えており、それぞれに対してレベルの異なる期待役割が設けられています。具体的な3つの区分や研修内容、採用情報についてご紹介していきます。

 

デジタル人材の3区分

SMBCグループでは、データ活用を支える人材を上位から

①データサイエンティスト

②ビジネスデータプランナー

③データリテラシー

の3つに区分しています。まずデータサイエンティストはデータマネジメント部などの専門部署に所属し、高度なデータ分析による業務の高度化や付加価値の創出を図るのが役割とされています。続いてビジネスデータプランナーは業務企画や商品企画部に所属している従業員を指しており、データを活用したビジネス企画の推進を図る役割。最後のデータリテラシーは全従業員が対象で、デジタルツールスキルの取得などを通して日常業務の中でデータ活用を図ってほしいとしています。

中でも育成に注力しているのはビジネスデータプランナー。データサイエンティストは専門スキルは高いものの、ビジネス知見に関しては最前線にいる営業担当などと比べるとまだ弱い傾向があります。データ活用に関しては実際のビジネスの課題を踏まえたうえで、どのようなデータを活用すれば解決に繋がるか、という思考が重要になってくることもあり、業務企画や商品企画を担当する人材にこそ、ビジネスデータプランナーとしての知見を身に着けて課題解決に繋げてほしいという考えです。

 

全従業員向けDX研修

2016年にSMBCグループのデジタルIT専門教育組織として発足し、全従業員を対象にDXスキル学習プログラムを提供する「デジタルユニバーシティ」。2020年にSMBCグループが、非金融分野への挑戦などを盛り込んだ経営ビジョンを掲げDXの取り組みをさらに加速させたことを受け、2021年からはグループ5万人以上の全従業員に向けた「デジタル変革プログラム」をスタートさせました。以前は手法や知識にフォーカスした内容だった研修を、「デジタル変革プログラム」では「なぜデジタルを学ぶ必要があるのか?」といったマインドにフォーカスするスタイルに変更しています。

「マインド」「リテラシー」「スキル」という段階ごとのプログラムが用意されており、形式は動画視聴、ワークショップ、スマホアプリでの自主学習、外部有識者による勉強会など様々。1時間以上集中して行うものもあればラジオのようにながら聴きで気軽に参加できるものなど、豊富なプログラムが用意されています。

 

デジタル人材の採用

三井住友銀行は、上記のように今いる社員のデジタルスキルの向上だけでなく、外部からの採用を通してDXを更に加速させたい考えです。実際、経営戦略の一つである「経営基盤の格段の強化」に向けて、今後2023年から3年間で「IT」「リスク管理」「法務・コンプライアンス」の分野における人材を1000名増員、「DX・アナリティクス」の分野における人材を300名増員する計画を表明しました。また、新卒採用においても専門志向の高い学生の採用に向けてデータサイエンス等に特化した3つのコースを新設するなど、三井住友銀行ではデジタル分野に特化した人材の強化に注力しています。

 

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三井住友銀行への転職は難易度は非常に高く、十分な面接対策なしでは内定獲得は難しいと言えます。

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