サントリーが手掛けたDXプロジェクト
2023/10/02

サントリーが手掛けたDXプロジェクト


監修者 藤井 俊介

監修者

sincereed株式会社 藤井 俊介

株式会社リクルートキャリア(現リクルート)にてIT・インターネット領域の法人営業/営業マネジャー、営業領域・IT領域のキャリアアドバイザー組織のマネジャー/部長、東海エリアの部長・地方エリアの部長を歴任。
サントリーの採用コンサルティングを手掛けると共に、サントリーDX領域においてトップクラスの転職支援実績を持つ。


サントリーへの転職をお考えの方にとって、サントリーが現在取り組んでいるDXは非常に興味深い内容ではないでしょうか。

サントリーがどんな視点で、どのようなDXに取り組んでいるのか、具体的な内容をご紹介していきます。


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サントリーDXにおける3つの視点

現在サントリーはDXに注力して取り組んでおり、これまでのビジネスモデルからの転換期を迎えています。そんな中、サントリーではDXを3つの視点で捉えています。1つ目は「社内の視点」。スマートファクトリーなど、モノづくりの効率化における変革です。2点目は「顧客の視点」。顧客データをもとにモノ・コトづくりで売り方の変革を進めていきます。最後は「社会の視点」。社会課題を解決することで「価値の変革」を目指します。

それでは3つの視点それぞれにおいて、具体的な取り組み事例をご紹介していきます。

 

「社内の視点」取り組み事例:スマートファクトリー

「社内の視点」の具体的な取り組み事例は、”サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場”において、高度なトレーサビリティと工場経営・働き方のDXを実現するため、IoT基盤を構築した事例です。

2021年5月末に稼働した同工場は、長野県や新潟県、北陸、東海地域などに「サントリー天然水」を供給しています。今回構築したIoT基盤は、工場全体の生産設備・機器に加え、調達、製造、品質管理、出荷などのITシステムからさまざまなデータを高速に収集・統合し、それらのデータを紐づけて、搭載したアプリケーションで活用できるようにしたことが大きな特徴。これらのデジタル技術によって大きく変わった点は下記の3つです。

 

①食品の安心・安全の追及

これまで、商品ごとの製造や検査等の履歴をトレースする際には担当者が作業記録の中から関連する情報を収集して影響範囲の調査を行っていたため、作業に時間や経験、ノウハウを要していました。そこで新たに、商品1本ごとに製造・検査の履歴情報と品質情報を紐づけて統合管理する、高度なトレーサビリティシステムを搭載しました。これによって、お客様から商品に関する問い合わせを受けた際、情報の照会や説明対応を迅速に行うことが可能になりました。また、生産設備・機器のエラーが発生した際は即座に履歴情報をトレースして影響範囲を特定し、その設備を通過した商品に問題がないかどうか迅速に確認することができます。また、蓄積したデータを分析することで、恒常的な品質改善に繋げていくことも可能になりました。

 

②働き方改革の推進

これまで工場内では、報告書作成や問い合わせ対応などのルーティン業務を人手に頼っている状態でした。そこで今回、工場内の生産設備・機器やITシステムからのデータを基に、必要な情報をダッシュボード上で見える化したり、分析したりできるアプリケーションを搭載しました。これによって、今まで人手に頼っていたルーティン業務をデジタル化・自動化することができ、リモートワークの推進と業務効率化の両立を図ることが可能になりました。働き方を改革するとともに、人にしかできない、より創造的な業務へのシフトを図ります。

 

③デジタル化推進による工場経営の高度化

これまでは工程・ライン単位でデータを集約・利活用する個別最適に留まっていました。しかし今回新たに導入したIoT基盤によって、工場全体の生産設備・機器と各ITシステムからデータを収集して統合し、全体最適視点で活用することが可能になりました。工場全体での見える化・デジタル化を推進することで、PDCAサイクルが迅速化し新たな気付きを得るなど、工場経営の更なる高度化が期待できます。

こうした取り組みを通して、サントリー食品インターナショナル(株)は、経済産業省と東京証券取引所が認定する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」に認定されました。DX銘柄とは、企業価値の向上に向けたDX推進をするための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を東京証券取引所に上場している企業の中から選定する制度です。今回の選定ポイントとしては、「企業価値貢献」という観点において、サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場の高度なIoT構築が収益貢献等の成果において明確であるという評価に繋がったそうです。また「DX実現能力」の観点において、DX戦略を実行するためのプロセスが明確かつ、企業トップのメッセージから現場の組織文化までDXの取り組みに一貫性があり、社内外の多岐にわたるステークホルダーを交えた取り組みを行っているという点が評価に繋がりました。

 

「顧客の視点」取り組み事例①ONE WINE

サントリーDXにおける「顧客の視点」の取り組み事例の1つ目は”ONE WINE(ワンワイン)”です。

サントリーのデジタル変革を進める中で生まれた、飲みきりサイズの缶ワイン「ONE WINE」。これは、市場ごとにお客様を捉えるのではなく、お客様1人1人の行動を捉え、その中で潜在的に抱える課題の解決を図ろうと蹴りだしたプロジェクトでした。ワインは好きであるもののボトルを買っても飲みきれず、銘柄も難しいのでなかなか購入に繋がらない、という顧客の課題に着目し、売り方に新たな手法を取り入れました。今までのように大量のプロモーションをしたり、何千もの小売店に依頼して製品を置いてもらったりするのではなく、まずは自社ECを含む楽天市場やAmazonなどのECのみで販売を開始。自社ECを通して個々の顧客と直接繋がり、メルマガやSNSを通して製品コンセプトや楽しみ方を伝えつつ、顧客の反応をもとに訴求方法を改善していきました。その結果、Amazonのワインカテゴリーランキングにおいて1位を獲得。更には販売店から取り扱いのお願いをされる現象も起こる結果となりました。

顧客データを起点としたモノづくりや売り方の変革をまさに体現していますね。

 

「顧客の視点」取り組み事例②:SUNTORY+

「顧客の視点」の取り組み事例2つ目は「SUNTORY+(サントリープラス)」です。SUNTORY+は2020年7月からスタートした法人向けの健康経営支援サービスアプリ。従業員の健康行動習慣化をサポートする無料サービスで、ユーザーの健康リスクチェックを行い、その判定結果に基づいて普段の生活に取り入れやすい”超低ハードル”な生活行動を複数提案してくれます。血圧・血糖・コレステロール・体脂肪など、主に生活習慣病の対策となる約50種類のタスクが用意されていて、ユーザーは好みの項目を選んで実行することで、健康行動を習慣化していく仕組みです。またSUNTORY+を導入した企業には、職場にサントリー専用の自販機を設置しています。生活習慣病対策の商品である「黒烏龍茶」「胡麻麦茶」「特茶」「伊右衛門+」などを販売することで、サントリー健康飲料の飲用を習慣化する狙いがあります。

 

SUNTORY+は、一般的な健康アプリと比較してユーザーの継続率が非常に高いという特徴があります。ユーザーが達成感を得やすくなるような工夫をしたことがその要因の一つです。これまでの健康アプリは、血圧や体重などを手入力する必要があったり、目標が高かったりと達成が難しいものが多かったそうです。そこで筑波大学発の研究成果活用企業、THF(茨城県つくば市)の社長で、筑波大学名誉教授の田中喜代次氏監修の下、生活の中で取り入れやすいタスクを設定しました。「朝起きて水を飲む」「肩甲骨を寄せて広げる」など、日常の動線の中で無理なく続けられる超低ハードルなタスクを用意し、達成感を感じやすくしたそうです。また、タスクの達成度合いに応じて飲料クーポンや飲料ポイントがもらえたり、バッジや豆知識が獲得できたりするなど、多彩なインセンティブが実装されているという工夫もあります。

 

SUNTORY+開発のきっかけになったのは、社会全体の変革でした。国内の飲料市場が頭打ち状態、かつコンビニの台頭で自販機の売れ行きが伸び悩み、ビジネススタイルとしても店頭に商品を届けて販売をするという売り切り型だったサントリーは、これらの課題を解決する必要がありました。どうしたらユーザーに寄り添いながら継続的に価値を提供し、長期的な購買を実現できるかということを模索した結果、SUNTORY+の開発に至りました。アプリの提供開始から約1年で200社以上が導入し、現在も順調に実績を伸ばしています。

 

「顧客の視点」取り組み事例③:comado

「顧客の視点」取り組み事例3つ目は、「らくらく健康生活サービスアプリ・comado」。気軽にできるフィットネスや暮らしに役立つ情報を教えてくれる健康アプリです。アプリ内で商品購入や会員登録をすれば、健康情報、インストラクターによるフィットネスの動画レッスン、料理レシピなどが無料で閲覧可能です。またアプリ内で会員ステージが上がると、サントリーホールでのコンサートやスポーツの試合観戦への招待などがあり、商品購入以降もオンオフのサービスで接点を持ち続けることができます。

 

「社会の視点」取り組み事例:サントリー先輩

最後に、サントリーDXにおける社会の視点の取り組み事例として”サントリー先輩”をご紹介します。サントリー先輩とは、就活生応援LINEアカウントの名称。LINEの友達登録をすることで、就活生は様々なサントリー社員の中から自分に似た価値観の社員を見つけて仕事のやりがいや就活の経験談を聞くことができます。

 

サントリー先輩を開設した背景にあるのは、就職活動特有の不安や悩みでした。就職活動は人生の大きな節目の一つであるぶん、希望と同時に不安や悩みを抱えやすい時期でもあります。サントリーとしても、就活生が「身近に話を聞ける社会人がいない」「サントリーにどんな人がいるのか分からない」「働くイメージがまだ湧いていない」といった数多くの悩みを抱えていることを実感してきたそうです。そこでこうした不安や悩みを少しでも和らげたいという思いから、サントリー先輩開設に至りました。今までは就活生との接点は採用選考時などがメインでしたが、デジタルの力を活用して年間を通じて接点を持ち、より多くの就活生が自分のやりたいことや得意なことを見つけ、不安や悩みを解決しながら”新しい就職活動”体験を提供したいと考えています。

 

サントリー先輩では、サントリー社員の就職活動体験談など、就活に関するコンテンツにアクセスすることができます。また、チャットボットや有人チャットを通じて、サントリーに関する疑問に思うことをいつでも質問することが可能です。就活生の反響をデータ分析し、悩みに寄り添いながらコンテンツを随時拡充しています。

 

サントリーへの転職をお考えの方へ

サントリーへの転職は難易度は非常に高く、十分な面接対策なしでは内定獲得は難しいと言えます。

sincereedでは、サントリーのデジタル本部発足当初から採用コンサルティングをしながらご支援させていただいております。現在もサントリー様と一緒にデジタル人材採用強化に取り組んでおり、デジタル(DX)領域において数多くの支援実績を誇っております。

弊社だからこそ知りえた選考対策、さらには入社後の早期活躍方法についても多くのアドバイス、サポートが可能となっております。

サントリーへの転職にご興味のある方はまずは一度ご相談いただければ幸いです。


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