サントリーのグローバル事業について:日本と比べて違う点は?
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監修者
sincereed株式会社 藤井 俊介
株式会社リクルートキャリア(現リクルート)にてIT・インターネット領域の法人営業/営業マネジャー、営業領域・IT領域のキャリアアドバイザー組織のマネジャー/部長、東海エリアの部長・地方エリアの部長を歴任。
サントリーの採用コンサルティングを手掛けると共に、サントリーDX領域においてトップクラスの転職支援実績を持つ。
今やグローバルプレーヤーの一員となっているサントリー。世界85を超える国・地域に製品を展開しており、売上利益の半分以上は海外比率で占められています。
そんなサントリーのグローバル化の歴史は創業者時代にまで遡ります。具体的にどのようにグローバル化を進めていったのか?そして現在、各国ではどのような事業を展開しているのか?
ここではサントリーへの転職をお考えの方に、サントリーグローバル事業の歴史や現状をご紹介していきます。企業理解の一つとして参考にしていただければ幸いです。
サントリーへのご転職をお考えの方へ
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サントリーのグローバルな事業展開
サントリーは現在、日本国内に留まらず、海外でも幅広く事業展開しています。アジア・中国での事業展開やアメリカ・オセアニアにおける飲料ビジネスなど、世界各国で事業基盤を強化し、グローバル展開を加速してきました。世界85を超える国・地域に製品を展開しており、現在ではサントリー売上利益の約55%を海外事業が占め、営業利益においては約78%にも及びます。
サントリーグローバル進出の歴史
では、サントリーはいつからグローバル進出を開始したのでしょうか。実はグローバル進出の歴史は、創業者時代にまで遡ります。1922年に赤玉ポートワインの販売を台湾で開始し、1931年に満州・朝鮮・東南アジアにサントリーウイスキーを輸出するなど、既にアジアを中心に海外進出を始めていました。本格的な海外展開は1960年代、メキシコで始まります。国産のウイスキーを普及させるためにメキシコで日本食レストランをオープンし、その中でサントリーのウイスキーを提供。これが成功し、国産ウイスキーの普及にも至りました。
このように少しずつ海外進出を進めていたサントリーですが、次第に日本からの輸出以外で海外進出する方法を検討し始めました。その結果、1980年米国ペプシ系ボトラーであるペプコム社のM&A(買収)に至ります。これを皮切りに、サントリーは次々にM&Aを開始。1983年にはフランス・ボルドーのシャトー・ラグランジュ社買収、1985年に米国ケンウッド・スプリング・ウォーター社買収、1989 年にスコッチウィスキーの名門モリソン・ボウモア・ディスティラーズ社買収、1990年にアジア・オセアニアを中心とする食品会社セレボス・パシフィック社買収と立て続けにM&Aを行い、現在の海外事業の基盤を構築することができました。
そして近年も更なるグローバル化を加速させるべく、2009年以降続々とM&Aを行っています。2009年にニュージーランド飲料大手フルコア、フランス飲料大手オランジーナ・シュウェップス、インドネシアガルーダフードの飲料事業の3つを買収。2013年にはイギリス・グラクソスミスクラインの飲料事業を買収します。そして何よりインパクトが大きかったのは2014年、当時サントリーの社長だった佐治信忠氏によるアメリカのスピリッツ大手ビーム社買収です。この時の買収金額は1.6兆円にも及びました。このM&Aは、サントリーがグローバルプレーヤーとして戦っていく決意表明でもありました。グローバルには、「世界の巨人たち」と呼ばれる清涼飲料の錚々たるメンバーが立ちはだかります。アメリカのザ・コカ・コーラ・カンパニーやペプシコ、酒類では「バドワイザー」で知られるベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブを筆頭とした世界の巨人たちに対し、佐治信忠氏は「洋酒事業はわれわれのビジネスの根幹。ここで世界のプレーヤーになれることは大きいこと」と宣言し、グローバルプレーヤーとしての決意を表明しました。
サントリーのグローバル事業、具体的には?
◆欧州(サントリー食品ヨーロッパ)
欧州では、フランスの「Orangina」、英国の「Lucozade」、「Ribena」をはじめ、長年にわたり現地で愛されているブランドを中心に事業を行っています。
現在欧州ではお客様の健康志向が高まり、各国で砂糖税の導入も広まっています。こうした背景をもとに、「ナチュラル&ヘルシー」な飲料を求める声が増えており、サントリーとしても2025年までに糖質を35%(2015年比)カットすること、糖質5g/100mlの商品の販売量を2倍にすること、人口着色料や香料の使用を減らすことを目標に掲げています。実際に、「Orangina」「Lucozade」「Ribena」「Schweppes」などの既存コアブランドの低糖・低カロリー化に取り組むとともに、低糖のプレミアムアイスティー「MayTea」を新たに開発し、フランス・ベルギー・スペインで発売。高い評価を獲得しています。
◆アジアパシフィック(サントリー食品アジアパシフィック)
アジアでは、清涼飲料事業と健康食品事業を行っています。清涼飲料事業を展開するベトナム・タイ・インドネシアでは現地で合弁会社を設立。それぞれの飲料市場でお客様のニーズに合わせた事業展開を行っており、流通基盤の強化にも尽力しています。健康食品事業では、タイを中心に「Essence of Chicken」をはじめとする「BRAND’S」ブランドを製造・販売しています。滋養ドリンクや家庭での常備食として、長年にわたってお客様から高い信頼をいただいている商品です。
直近では既存ブランドの強化に加えて、サントリーのR&D技術を活かした「TEA+」「MYTEA」「goodmood」など、新しいカテゴリー開拓にも取り組みはじめています。オセアニアでは、清涼飲料事業でエナジードリンク「V」を販売しました。実際にベトナムで販売されているMYTEAは、現地に住んでいる人なら誰でも知っているほどポピュラーな商品です。東南アジアでも受け入れられるよう、甘めに作られているのが特徴。このようにサントリーでは、現地の企業と協力しながら味や容器を変えることで、現地の嗜好に合わせた製造が可能なのです。
◆アメリカ(Pepsi Bottling Ventures)
アメリカでは、ペプシコ社との合弁会社であるPepsi Bottling Venturesを通じて、ノースカロライナ州で清涼飲料事業を行っています。ペプシコーラを始め、「MOUNTAIN DEW」「DR.PEPPER」などのブランドを中心に事業を行っています。
強力なペプシコブランドの商品に加え、非炭酸市場の伸長を受けて水やコーヒー飲料にも注力しています。さらに北米市場における、都市化・人口動態や消費行動の変化・健康志向をはじめとする消費者ニーズの多様化などを受けて、新しいビジネスの探索にも取り組んでいます。
◆中国(サントリー(中国)ホールディングス)
中国では1995年に清涼飲料事業をスタート。上海、北京を中心に事業を展開してきました。主力ブランドである「三得利烏龍茶」とカジュアルコーヒーの「利趣」を筆頭に、幅広いカテゴリーで飲料市場をリードしています。健康志向の高まりに対応した「黒烏龍茶」「蜜香」「沁檸水」も、お客様より高い評価をいただいている商品です。サントリーの強みである高い商品開発力・生産技術を武器に、健康軸を中心とした付加価値の高いサントリーブランドを中国全域に展開するため、全国に広がる生産拠点・販売網を有する匯源(ホイエン)果汁集団有限公司と合弁で、匯源三得利(上海)飲料有限公司を設立、2015年の年初より事業を開始しました。
また、清涼飲料事業だけでなくビール事業も展開しています。1984年、江蘇省連雲港市に外資として初のビール合弁会社を設立し、ビール事業をスタート。この江蘇省でのビール事業を通じて中国ビジネスのノウハウを蓄積し、その実績をもとに、発展著しい上海でもビール事業に取り組みました。
1996年には「三得利(サントリー)ビール清爽」「三得利ビール 超爽」を発売。飛行船を使用した大胆な宣伝やTVCM、上海の人びとの味覚にあった“爽快系”ビールの提供、独自の営業活動と流通政策などにより急速に業績を伸ばし、1999年には上海におけるシェアNo.1の座を獲得しました。その後も、上海エリアでの初めての生ビールの製造・販売や上海周辺の主要都市である蘇州や無錫においても販売を拡大してきました。
その後、2015年には合弁パートナーであった青島啤酒股份有限公司に合弁企業の全株式を譲渡するとともに新たに製造・販売に関するライセンス契約を締結することとしました。
引き続き三得利ビールは上海、江蘇省を中心に販売を継続しております。
グローバル共通の”やってみなはれ”精神
サントリーは創業以来「やってみなはれ」という価値観を大事にしてきており、多少の失敗には目を瞑り、常に挑戦を後押しする風土があります。そんなやってみなはれの精神は海外グループにも浸透。今では、米国にあるビームサントリーでは自分たちで「Yatte Minahare」のバッジを作って身に着けています。ヨーロッパでも、オランジーナ・シュウェップスグループなどが事業を行っているグループ会社においては、どのオフィスでもポスターなどに書かれた「Yatte Minahare」の文字が目に入るほどです。しかし、この「やってみなはれ」の精神は簡単にグローバルに浸透したわけではありません。国が違えば当然文化の違いや考え方の違いも多く、買収後にうまく行かないことも多くありました。そのため、サントリーとしても相当な力を入れて「やってみなはれ」浸透に向けた取り組みを行ってきました。
サントリーがグローバル人事部を発足させたのは2010年。2009年にフランス飲料大手オランジーナ・シュウェップスグループの大型買収を行ったことがきっかけでした。グローバル人事部発足を機にグローバルなHR、タレントマネジメントに本格的に取り組み始め、サントリー創業以来の精神である「やってみなはれ」をグループ全体に伝承していきました。「やってみなはれ」精神をグローバルに浸透させることで、真の「GLOBAL ONE SUNTORY」としての求心力、一体感を高めて競争力の源とすること、またグローバルな事業拡大に対応すべく人材マネジメントガバナンスの変革を推進することを大きな方針としています。
また「サントリー大学」開校も、「やってみなはれ」を海外グループ会社の社員に伝える場の一つです。サントリー大学は企業理念や創業の精神といったサントリーイズムの浸透を目的に、2015年4月に設立されました。サントリー大学では、海外グループ会社の従業員を対象にした「アンバサダープログラム」を実施し、参加者を日本に招いてサントリーグループのDNAを学んでもらう場を設けています。参加者はそこで学んだものを各社に持ち帰って、伝道師として広めてもらうという役割を担っています。
2016年1月には、創業の精神を体感できる空間として「Suntory Founding Spirits Hall」をサントリー社内に設立しました。
このように海外グループ会社の社員に「やってみなはれ」を伝えていく中で、徐々に浸透し受け入れられるようになっていきました。今では全世界を対象にした報酬制度「Yatte Minahare Award(有言実行やってみなはれ大賞)」も行っています。グループや職場単位で1年間の目標を掲げ、「Yatte Minahare」を実施したチームを表彰するというものです。初年度の2015年は世界各地から6000名を超えるエントリーがありました。
このような背景を通してグローバルに浸透した「やってみなはれ」。サントリーはこれからも真のグローバルカンパニーを目指し、チャレンジに邁進していきます。
グローバル事業を牽引する人材育成
前述のとおり、サントリーでは売上の約半分はグローバル事業によるもの。そのため今後のさらなる海外進出のため、グローバル人材の育成には大きな力を入れています。
トレーニー制度
海外グループ会社で1年間の実地研修(OJT)を通じ、専門性・異文化対応力・グローバルリーダーシップ等の修得を目指す。毎月、日本側の専任メンターとも面談で達成度をレビュー。2021年から、派遣者数を倍増且つ、入社3年目から応募可能にし、グローバルキャリア早期形成を強化。
ビジネススクール留学
国内外のビジネススクールに留学し、MBA取得を目指す。2020・2021年留学実績:ハーバード・ビジネス・スクール、コロンビア大、シカゴ大等
グローバルチャレンジ制度
現部署での業務を継続しながら1年間のタフなOff-JTプログラムに参加し、グローバルリーダーとして自己変革を目指す。修了後は、将来的にグローバルリーダーとして活躍することを前提とした異動・業務変更の機会を得る。
グローバル学部
自律的・自発的にグローバルなマインドセット、スキル、知識を身に付けられるよう、英語学習、異文化理解、資格取得支援など、さまざまなコンテンツを提供。
サントリーのこれからを担う経営人材育成
グローバル経営人材を継続的に育成していくために、社外/国内外/異業種との接点を多彩に組み込んだ以下のプログラムを展開しています。
Suntory Harvard Program
国境を越えた真の”Global One Suntory”を実現し、世界マーケットで戦い抜く体制を強化するために、ハーバード・ビジネス・スクールと提携して開発したサントリーオリジナルのプログラム。経営トップとのディスカッションなどを通じて、世界的なビジネストレンドやイノベーションについて学び、グローバルなマインドセット、リーダーシップ、そして国境を超えたグループ経営層のネットワークを醸成しています。
Beyond Borders
事業の枠を超えてサントリーグループ全体を牽引するグローバルリーダーを育成することを目的とし、ウォートン・ビジネススクールと共同開発したプログラム。参加者は約8ヶ月にわたるプログラムの中で、自身のリーダーシップを強化し、革新的および戦略的な思考を深め、グローバルに活躍するシニアリーダーに求められる能力を身に付けます。また世界のサントリーグループで活躍するリーダー達のネットワークを築くことにより、国境・事業を超えたグローバルシナジーを醸成しています。
Global Leadership Development Program
サントリーグループ全体から選抜されたチームリーダー層を対象とし、将来のグローバル経営人材を継続的に輩出することを目的としたプログラム。約8ヶ月にわたるプログラムはケンブリッジ大学とパートナーシップを組んで設計されており、参加者は全3回の集合セッションやコーチング・アクションラーニングを経て、最終発表では経営層に直接プレゼンテーションを行います。マインドセットからサステナビリティなどの重要課題までサントリーリーダーシップ考動項目に紐付けながら学ぶことで、グローバル経営におけるリーダーシップのあり方について深く体得していきます。
次世代経営者研修
部長層・課長層を対象とした次世代のサントリーグループをつくる変革型経営層を育成するためのプログラム。社内外のトップリーダーによる講演から参加者自ら経営課題に取り組むアクションラーニングを実施し、最終的にはデジタルやサステナビリティ、グローバルマーケットなど2030年ビジョン実現のために具体的なテーマに沿った経営構想の提言を行います。
突撃!隣のマネジャー
マネジャー層の人材育成力を強化するための取り組みも行っています。「突撃!隣のマネジャー」は、その名の通り管理職以上の従業員同士が、人材育成についての悩みやナレッジを共有し、ベストプラクティスを学ぶことができる企画です。
「メンバー育成といっても何からはじめたら良いかわからない」「キャリアに悩むメンバーへの対処法がわからない」など、属人化しがちな人材育成に関するノウハウを共有するほか、スポーツ分野で活躍する名監督などを招き、マネジメントの極意についての講義を開講しています。今後は他企画・部門との連携も視野に入れ、全社の育成風土をさらに強化していきます。
サントリーへの転職をお考えの方へ
サントリーへの転職は難易度は非常に高く、十分な面接対策なしでは内定獲得は難しいと言えます。
sincereedでは、サントリーのデジタル本部発足当初から採用コンサルティングをしながらご支援させていただいております。現在もサントリー様と一緒にデジタル人材採用強化に取り組んでおり、デジタル(DX)領域において数多くの支援実績を誇っております。
弊社だからこそ知りえた選考対策、さらには入社後の早期活躍方法についても多くのアドバイス、サポートが可能となっております。
サントリーへの転職にご興味のある方はまずは一度ご相談いただければ幸いです。
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